地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

27.群馬県のキャベツ 地理総合

2019-03-17 15:52:57 | 地理講義

キャベツの2大産地
キャベツの生産量の多いのは、群馬県と愛知県である。群馬県は夏秋キャベツ、愛知県は冬春キャベツが中心である。群馬県の主要産地は嬬恋村、愛知県の主要産地は田原市・豊橋市である。

 群群馬県嬬恋村のキャベツ生産
妻恋村の人口は9,500人、そのうち3,000人がキャベツ栽培に関わっている。浅間山麓にあり、標高800~1,400mの高冷地黒ボク土壌で、気温は7月18.6℃、8月19.5℃である。夏秋キャベツの栽培に適している。嬬恋キャベツのブランドで東京・大阪市場にJA嬬恋が共同出荷する。

1930年代は大阪・神戸市場に共同出荷をしていた。東京に出荷するようになったのは戦後の1946年からである。1955年には品種の統一、共同出荷体制の強化、岩手・長野のキャベツ産地との出荷調整をして、出荷と収入の安定を図ることができるようになった。
以後、産地指定制(1963)、価格安定事業(1963)、野菜指定産地近代化事業(1966)、野菜生産出荷調整強化事業(1970)、国営パイロット事業(1971)、東京都との安定供給契約(1973)、重要野菜需給調整特別事業(1980)などにより、豊作による価格暴落の損失を補填したり、異常気象による不作と減収を補うことができた。
また、2011年には契約野菜安定供給事業により、出荷価格の下落が予想される場合、出荷40日前までに平均出荷額の25%を負担すれば、平均出荷額の70%を得ることができるようになった。
段ボール1箱120円に6~8玉のキャベツを入れて予冷車で出荷、1箱当たりの市場価格は500~1,000円であり、大きな利益を得ることはできない。しかし、価格の暴落や不作時には収入が補填される仕組みがあり、安定した収入を得ている。




愛知県のキャベツ生産
東三河地方は大河川がなく、農業はさつまいもと小麦栽培が中心であった。1968年に豊川用水が開通すると、豊橋市・田原市を中心にキャベツ栽培が盛んになった。名古屋を主要市場とする近郊農業であったが、温暖な気候を生かして冬キャベツと春のキャベツを大量に生産できるようになると、東京・大阪をはじめ、全国市場をめざすようになった。
東三河のキャベツ栽培は、名古屋を市場とする意味では近郊農業だが、東京・大阪市場にも大量出荷する意味では輸送園芸である。


 


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