2018年センター試験追・再試験第1問
解答
【1】④
解説 地形の問題。
(ア)C ベネズエラのギアナ高地にあるエンジェル滝。
(イ)A フィンランドの氷河湖。最終氷河期の侵食谷が湖になった。
(ウ)B アフリカの西部地溝帯と東部地溝帯。
詳細な解説
C:エンジェル滝
ギアナ高地は安定大陸にある楯状地であり、ギアナ楯状地といわれる。エンジェル滝は高度差1,000mで、世界で最も落差のある滝である。
A:フィンランドの氷河湖
2万年前の最終氷河期に、氷河の侵食した大小の低地が、現在は大小の湖になっている。この氷河湖の数は30,000とも50,000とも言われる。フィンランドではスオミと言われることがある。
B:アフリカ大地溝帯
西部地溝帯にタンガニーカ湖・マラウィ湖などがある。東部地溝帯にケニア山・キリマンジョロ山などの火山がある。アフリカプレートの長大な割れ目であり、大地溝帯よりも東側は東に向かって移動する。
解答
【2】①
解説 ハイサーグラフの判別。
①(ケ) プエルトモント(チリ)。地中海性気候Cs。
②(ク) ペテロパブロフスク(ロシア)。亜寒帯湿潤気候Df。
③(カ) ダブリン(アイルランド)。西岸海洋性気候Cfb。
④(キ) ダーバン(南アフリカ)。温暖湿潤気候Cfa。
詳細な解説
① 地中海性気候Cs
1月が最暖月だから南半球。南半球の地中海気候は南アフリカのケープタウン、オーストラリアのパース、チリのプエルトモントなどがある。チリのサンチャゴは地中海性気候であったが、最新統計ではステップ気候に区分される。地中海性気候は、夏は亜熱帯高圧帯におおわれて乾季になる。
② 亜寒帯湿潤気候Df
冬に-3℃よりも低温の亜寒帯気候Dは、北半球にのみ存在する。ロシア東部のシベリアは冬に乾季でDwが広がるが、カムチャツカなどの東岸は海の影響があって年中多雨のDfである。北海道もDfである。
③ 西岸海洋性気候Cfb
東岸のDfaとの相違は最暖月気温が22℃より低い場合にはCfbであり、22℃よりも高い場合にはCfaである。西岸海洋性気候は、ヨーロッパでは大西洋を北上する暖流北大西洋海流と偏西風の影響が強く、気温年較差が小さい。
④ 温暖湿潤気候Cfa
大陸東岸の典型的気候であり、気温年較差が大きい。イタリアの南部は地中海性気候だが、イタリア北部は温暖湿潤気候である。
解答
【3】①
解説 大陸棚
①× 深さ200mまでを大陸棚とすると、7.5%である。
②◯ 大陸棚は浅く、プランクトンが豊富である。
③◯ 北海の海底油田・ガス田は大陸棚開発の典型である。
④◯ 2万年前の最終氷河期には海面が200m前後低下した。
詳細な解説
① 大西洋の大陸棚面積は、他よりやや高い割合だが、それでも8.7%である。
② 大陸棚は200mよりも浅いので太陽光線が届き、海草やプランクトンが豊富で魚が集まりやすい。漁場としてだけでなく、石油などの資源にも優れ、沿岸国は排他的経済水域を設定し、200海里までの漁業資源・地下資源を独占している。
③ 北海油田が典型。イギリスとノルウェーが海底の石油・天然ガスのほぼすべてを独占している。また、北海はタラ漁場であり、日本の漁船が操業していたが、現在は操業できない。
④ 2万年前の最終氷河期には最大200mの海面低下があり、現在の大陸棚は陸地となった。氷河期の堆積平野が、のちの海面上昇により、大陸棚となった。大陸棚には海峡も含まれ、人類は氷河来に陸地化した海峡を越えて全世界に住むようになった。
解答
【4】②
解説 ロシアシベリアのレナ川
①× 河口付近はツンドラだが、それ以外は永久凍土が地下にあっても針葉樹林は分布する。
②◯ ツンドラでは夏は地下の永久凍土は解けないが、表層は解け、蘚苔類が見られる。
③× 永久凍土からの水供給量はわずかである。雨や雪解け水がレナ川の水を涵養する。
④× 上流の方が気温が高いから、上流の雪解け水が下流の洪水の原因になる。
詳細な解説
レナ川はバイカル湖岸のバイカル山脈を水源とする。針葉樹林帯を流れ、下流はツンドラで森林は少ない。河口は堆積が進んで三角州になっている。
シベリアの河川は春に洪水が多発する。上流が低緯度で高温のために雪解け水が大量に河川に流れ込むからである。
解答
【5】③
解説 ウズベキスタン・カザフスタンのアラル海縮小問題
①◯ アムダリア川を灌漑用水に大量使用したため、アラル海周辺の砂漠化が進んだ。
②◯ 気温が高いと湿度は下がって雨量は減り、乾燥化が進む。
③× 化石燃料の使用が少ない地域だから、草原を破壊するような酸性雨はない。
④◯ アラル海が干上がり、周辺に砂塵が拡散し、生活が困難になった。
詳細な解説
① アラル海に注ぐアムダリア川下流で綿花栽培が盛んになった。必要な水はアムダリア川の灌漑用水を利用したが、過剰な取水であったため、砂漠化が進んだ。
② もともと砂漠であったが、アラル海の水面の縮小によって気温が上昇し、砂漠の乾燥化がさらに進行した。
③ 酸性雨は石炭・石油の大量使用により、空気中に硝酸・硫酸が増えることである。草原・樹木・湖沼の生態系に影響はあるが、アラル海周辺では化石燃料の消費は少ない。
④ アラル海が干上がり、塩分を含んだ砂塵が周辺の集落を襲い、砂漠化が一層進み、生活は完全に破壊された。
解答
【6】④
解説 世界の自然災害
(サ)極端気温。アフリカで少ないことから、異常高温・異常低温。
(シ)洪水。世界的に発生するが、ロシアでは少ない。
(ス)干ばつ。アフリカのサヘルに集中している。
詳細な解説
(サ)極端気候はヨーロッパでは異常寒波、インドなどではでは異常高温が頻発する。アフリカのサハラ砂漠はもともと高温であり、異常寒波・異常高温はない。
(シ)ヨーロッパではライン川・ドナウ川・テムズ川などで洪水が起こるようになった。もともと河川勾配はゆるやかで堤防も少なく、大雨で洪水が起こりやすい。浸水期間も長くなる。
(ス)干ばつはサヘルで頻発する。サヘルはサハラ砂漠南縁のステップ気候・サバナ気候地域であり、わずかの降水量の減少で干ばつが発生する。