地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

26.千葉県の大根 地理総合

2019-03-16 15:38:58 | 地理講義

東京市場の大根
夏の一時期を除いては、近郊農業の発展した千葉県産・神奈川県産大根が多くを占める。夏は近郊農業の大根栽培地の休養時期である。夏には青森県・北海道産の、寒冷地の大根が多くを占める。青森県・北海道の大根栽培は、輸送園芸の典型であり、出荷先は東京に限らず、大阪市場にも多い。



大阪市場の大根
大阪の近郊農業としては、和歌山県産・徳島県産の大根が市場に出回るが、量は少ない。ほとんどが九州(長崎・鹿児島)と北海道・東北(青森・岩手)の遠方の産地の大根である。東京市場では近郊農業が大きな割合を占めるが、大阪市場では輸送園芸が大きな割合を占める。大阪近郊では価格の安い大根を大規模に栽培する適地がないためである。

 大根の産地別出回り時期
北海道・東北の寒冷地では春から農作業が始まるので、大根の大都市市場出荷は夏に限られる。九州や大都市近郊では冬にはビニール利用のトンネル栽培や、安価なべたがけ栽培によって大根を栽培でき、価格の安い夏を除いて、年中出荷する。


千葉県の大根栽培
千葉県の生産量が増加したのは、千葉県営畑地帯総合整備事業(1970~2006年)の進行により、利根川の灌漑用水が房総台地に供給されるようになったからである。整備事業以前の1960年に農協を通す系統出荷体制が整っていたし、1966年に秋冬大根の産地指定をされて、トンネル栽培が普及していた。しかし、夏大根が主体であり、北海道産大根と市場で競合し、安値であった。灌漑が整備されてからは、北海道産とは競合しない季節に、東京市場に出荷するようになった。


灌漑整備事業の進行中の1986年、春大根の指定を受け、10~5月の出荷量が増加した。価格の高い、端境期の出荷である。
生産コストの低いトンネル栽培、さらに低いべたがけ栽培が普及した。冬・春大根では東京市場を神奈川県産大根とともに、独占するまでになった。

 

北海道の大根
東京・大阪市場では、北海道産大根は7~9月には半分が北海道産大根である。5月の播種から始まる露地栽培であり、収穫時期には畑では大型収穫・運搬機を使ったり、共同選果場では箱詰めロボットを使ったりし、コストダウンを図っている。しかし、東京・大阪まで冷蔵トラックやJR冷蔵コンテナで運ばなくてはならない。1箱10kg当たり、選果場人権費、箱などの資材費、運賃などで800円がかかる。そのうち、段ボール箱代100円、トラック運賃300円が大きい。
東京・大阪の市場価格は10kg当たり平均1,000~1500円である。農家の手取りは200~700円であり、利益の出ない場合がしばしばあって、大根栽培農家の生産意欲を失ってしまう。
北海道でも冬の積雪の少ない地域では春大根が栽培される。ビニールハウスに2月に播種、5~6月に収穫し、北海道内を市場とする。


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