輸入小麦
日本の小麦の80%以上は輸入である。日本の小麦は軟質小麦であり、パンにはあまり適していない。アメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入される硬質小麦はパンに適している。
小麦の輸入は、日本政府の指定商社のみが行って、政府に輸入関税としての手数料を支払う。政府はその関税で国内小麦農家を保護している。
輸入小麦はパン、菓子、麺など、何にでも利用できる。また価格も安い。国内小麦農家は大規模経営で対抗しているが、規模拡大は減反政策の水田跡を利用することが多く、輸入小麦への対抗は難しい。
日本の小麦栽培
日本の小麦生産量(2017年)は90万4,900トンである。
北海道:60万8,000トン(67.1%)
福岡県: 4万9,400トン(10.4%)
佐賀県: 3万4,100トン(3.8%)
愛知県: 2万6,200トン(2.9%)
北海道の小麦
北海道の小麦生産量は国産小麦の67.1%、全小麦消費量の10%を生産する。主要産地は十勝地方である。1970年代の減反政策による転換作物として、本格的に小麦が栽培されるようになった。春まき小麦は4月に種まき、9月に収穫する。タンパク質が多く、パン・中華麺に適しているが、生産量が少ない、病害虫に弱い、味が輸入小麦に劣る。
秋まき小麦は9月に種まき、越冬し、翌年7月~8月に収穫する。春の農繁期に作業がないため、生産農家が多い。主としてうどん用である。
機械化された大規模農家が多く、1法人当たりの耕作面積は100haを越える。
九州の小麦栽培
九州の小麦栽培は、水田裏作としての小麦栽培である。秋の種まきあるいは梅雨の収穫時期に降水量が多いと、小麦の生産量が大きく落ち込む。天候によって収穫量に大差が生じるため、裏作の麦類からの収入は不安定である。