森の中のセールスマン?
今年もいつの間にか白雲愁色の季節になりました・・・
野草の花の穂が日の光を浴びています・・・
白、紫、紅赤色した名も知らぬ、小さな花が咲いています・・・
涼しい風を感じて滝道を歩くと、箕面渓流の音と、ヒグラシの鳴声とが
なぜか不思議な静寂感を覚えます。
早や去り行くような夏の姿を感じ、その哀惜の情に思わず
たたずんでしまいます。
滝道の落合谷から後鬼谷(ごきだに)を登り、尾根に着いた所で
一休みをしていました。
半分朽ちかけた木のベンチに座り、汗だくの顔を拭いていると・・・
* こんにちわ! ええ季節ですな~
山歩きですか? ええですな!
と、一見ハイカーのような? セールスマンのような?
そんな格好の中年男性が声をかけてきました・・・
こんな山の中で、改まって声をかけられたのは初めてです。
・ そうですね! 気持ちのいい季節になりました・・・
* ところで田舎の家に興味ありませんか?
・ 田舎の家ですか? どういうことですか?
男性はリュックから丸包みを取り出し、一枚のチラシを私に見せ
ながら説明を始めました・・・
何でも、箕面から車で40分ぐらいで行ける亀岡(京都府)の
森の中の家・・・
100坪近くの土地に、二階建ての家付きだとか・・・
* 森に囲まれた最高の別荘ですわ・・・ との事。
そしておもむろに・・・
価格は大サービスの 800万円・・・ どうです? と。
心の中では 安い! と思いつつ・・・
写真をみればついつい見とれ、ヨダレが垂れそうで(笑)
夢がわいてきそうな物件です。
* 一度見に行きませんか?
気にいってもろたらもう少し安くします・・・
この山 下りたとこに車止めてますんですぐ行けますし、
またここまでお送りしますさかいに・・・
なんと言う段取りのよさ・・・ (笑)
森歩きをゆっくりと楽しんでいるのに、その誘いはないと思うのだが、
そんな森の好きそうな客の心理を巧みにつかんだトークに、
思わず乗りそうになってしまった(笑)
・ すいませんが・・・ 私、別荘はもう持ってるものですから
いりません!
よくそんなウソがつけるものだが、これも方便!
仕方ないよな・・・(笑)
私は六箇山方面へ向いながら、あのパンフレットを何度も
頭の中で思い浮かべていました・・・(笑)
いいな!
あんな別荘があったらな~
森の中の家なんていいよな!
やっぱり見るだけでも、見ておいたらよかったかな・・・(笑)
何とも優柔不断な自分の性格に苦笑です。
お陰で家路につくまで、その情景と夢物語が頭を離れず、せっかくの
季節を感じることなく、とんだ森の散策になってしまいました (笑)
森の中でセールスなんかするな!
大迷惑だ! (笑)
ツク ツク ボーシ ツク ツク ボーシ~ 大きな鳴声のセミが・・・
そんなこと 勝手や! 勝手やボーシ! ? と聞えました・・・(笑)
「歩きつつ 森の別荘 夢浸り」 (花詩)
09-8・22(完)