余桃之罪、もしくは電光朝露

関西フィル、日本センチュリー、京都市交響楽団、大阪フィルの定期会員です。アイドルやら声優やら。妄想8割、信憑性皆無。

関西フィル大阪市中央公会堂特別演奏会プレミアム

2019年05月22日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
19年5月22日(水)15:00 大阪市中央公会堂

指揮:オーギュスタン・デュメイ
フルート:椎名 朋美(関西フィル首席奏者)
クラリネット:梅本 貴子(関西フィル首席奏者)
コンサートマスター:ギオルギ・バブアゼ(関西フィルコンサートマスター)

曲目:
モーツァルト/フルート協奏曲第2番 ニ長調 K.314
モーツァルト/クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
ベートーヴェン/交響曲第8番 ヘ長調 作品93

21日夕方から22日朝にかけてはかなりの大雨。東海~関東はまだまだ大変だそうだ。
屋久島では「五十年に一度の大雨」というが、このフレーズも毎年耳にしている気がする。今年も去年のような超大型台風が来なければいいけどねえ・・・。
それもあってか、まだ5月やというのに30℃ちかい気温。半ドンで切り上げて大川べりを天満橋から意気揚々と歩いたら思わず汗だくになった。
今年はじめて扇子を使ったね。

毎年この時期にくる我らが監督デュメイ。いつもならスプリングコンサートと題してデュメイのヴァイオリンを含んだ室内楽公演などあるのだが、今年は秋のみ。
公演自体も定期と今回の中央公会堂の2回だけ。寂しいね。
先日の定期は相変わらず唯一無二のデュメイワールドがベートーヴェンの第4交響曲で炸裂したんだけども、今回は団員ソリストの2曲にベト8という室内楽公演拡大版にいずみ定期を足したようなプログラム。
平日昼間ながら1階席はかなり埋まる。

フルート協奏曲第2番。オーボエ協奏曲を作曲した翌年に、ほぼそのまま編曲して作られた作品。
第1楽章は、フルートのための作品として先にできていたんじゃないかと思うぐらいにフルートの音色に楽想がマッチしている。
独奏は関西フィルフルート首席で木管奏陣の中では最も入団時期の若い椎名さん。
耳に優しい丸みと膨らみのある音でいい感じに涼んだ。
クラリネット協奏曲。モーツァルト最晩年の名曲。
若手代表だった梅本さんもあと数年で・・・歳だって。
彼女が入団した時の定期は藤岡幸夫指揮で吉松の交響曲第3番がメインだったかな。プログラム冊子に「入団しました」みたいな紹介があったのを覚えている。懐かしいね。
モーツァルトのクラリネット協奏曲もNHK大阪ホールで関西フィルを従えて演奏したことがあるはず。あの頃は大阪府が4オケに演奏会企画を用意していて。
ワインレッドのドレス(隣のおばさまたちは「あずき色」言うてはりました)に身を包んで、くっきりと力強い独奏。
両曲ともデュメイの伴奏は素早いパッセージはより早く、歌うところはたっぷりと流麗に弾かせていて、彼の弾くモーツァルトさながらの展開だった。

後半はベートーヴェン。定期でもいずみでも東京でも名古屋でもやったしCDにもなった。たぶんこのコンビで一番演奏しているベートーヴェンの交響曲じゃないかしら。
早めのテンポで一気に駆け抜ける両端楽章、強弱の対比が激烈な中間楽章と性格をさっぱり描き分ける。
初期の頃は追い込まれて素っ頓狂な音も飛び出していた関西フィルさんもさすがに慣れたもので綺麗に付いてゆく。音楽監督になって8年経ってますからなあ。
先週の定期と同様に杖ついて歩いてるのでアンコールはないかなと思っていたら、ありました。
ええ、ビゼーのアダージェット。まあ、これしかないが、これ以外にありえない。
久々に中央公会堂の雰囲気を味わえたし、初夏のひとときを楽しく過ごせた。

Beethoven/Brahms: Violin Conce
Onyx Classics UK
Onyx Classics UK

関西フィルハーモニー管弦楽団2011年「定期・特別演奏会」シリーズ他について

2011年02月01日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団

音楽監督/オーギュスタン・デュメイ
首席指揮者/藤岡幸夫
桂冠名誉指揮者/飯守泰次郎
主催:特定非営利活動法人 関西フィルハーモニー管弦楽団
特別協賛:ダイキン工業株式会社
後援:朝日新聞社・朝日放送・朝日友の会・毎日放送・ドイツ文化センター

2011年「定期・特別演奏会」シリーズ
Evolutionism 2011-First Movement~オーギュスタン・デュメイ音楽監督就任記念~

11.2.15(火)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第226回定期演奏会
指揮/岩村 力 ヴァイオリン/神尾真由子
曲目:ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.77 権代敦彦/ジャペータ~葬送の音楽I~ レスピーギ/交響詩「ローマの松」

11.3.19(土)15:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第227回定期演奏会
指揮/藤岡幸夫 トロンボーン/風早宏隆(関西フィルハーモニー管弦楽団首席奏者)
曲目:ヴォーン=ウイリアムズ/トマス・タリスの主題による幻想曲 吉松 隆/トロンボーン協奏曲「オリオン・マシーン」 チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調op.74「悲愴」

11.4.29(金・祝)15:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第228回定期演奏会~珠玉のオール・ベートーヴェン・プログラム~
指揮・ヴァイオリン/オーギュスタン・デュメイ ピアノ/マリア・ジョアン・ピリス チェロ/パヴェル・ゴムツィアコフ
曲目:ベートーヴェン/ロマンス第1番ト長調op.40 ベートーヴェン/ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲ハ長調op.56 ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番op.72a ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調op.58

11.5.31(火)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第229回定期演奏会~飯守泰次郎&関西フィル、オペラ演奏会形式上演シリーズ第11回~
指揮/飯守泰次郎 ピアノ/イェルク・デームス
テノール/竹田昌弘,二塚直紀 バリトン/片桐直樹
曲目:モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466 ワーグナー/楽劇「ジークフリート」第1幕(演奏会形式による原語上演・字幕付き)

11.6.23(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第230回定期演奏会
指揮/尾高忠明 チェロ/宮田 大
曲目:リャードフ/交響詩「魔法にかけられた湖」op.62,ショスタコーヴィチ/チェロ協奏曲第1番変ホ長調op.107 ラフマニノフ/交響曲第1番ニ短調op.13

11.7.8(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第231回定期演奏会~飯守ブルックナーツィクルス2011-2020第1夜~
指揮/飯守泰次郎 ヴァイオリン/松田里奈
曲目:池辺晋一郎/悲しみの森 ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26 ブルックナー/交響曲第1番ハ短調(リンツ稿)

11.9.2(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第232回定期演奏会
指揮・ヴァイオリン/オーギュスタン・デュメイ
曲目:ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲 モーツァルト/交響曲第29番イ長調K.201

11.10.7(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第233回定期演奏会
指揮/藤岡幸夫 ソプラノ/半田美和子 ピアノ/中野翔太
曲目:一柳 慧/インタースペース リスト/ピアノ協奏曲第2番イ長調 マーラー/交響曲第4番ト長調

11.11.18(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第234回定期演奏会
指揮/オーギュスタン・デュメイ ピアノ/ベルトラン・シャマユ
曲目:サン=サーンス/交響曲第1番変ホ長調op.2 ブラームス/ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op.83

11.12.11(日)15:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団「第九」特別定期演奏会
指揮/小松長生 独唱/調整中 合唱/田辺第九合唱団
曲目:ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調op.125「合唱付き」ほか

2011年 いずみホールシリーズ

11.6.15(水)未定 いずみホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 いずみホールシリーズ vol.22
指揮/藤岡幸夫 ピアノ/菊池洋子
曲目:ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲 モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467 ブラームス/交響曲第4番ホ短調 op.98

11.9.10(土)15:00 いずみホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 いずみホールシリーズ vol.23~音楽監督デュメイとのモーツァルト選集第1回~
指揮・ヴァイオリン/オーギュスタン・デュメイ ヴァイオリン/ラチャ・アヴァネシアン
曲目:モーツァルト/2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネ モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」イ長調 モーツァルト/交響曲第41番「ジュピター」ハ長調

11.10.22(土)未定 いずみホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 いずみホールシリーズ vol.24
指揮/飯守泰次郎 ピアノ/相沢吏江子、濱田あや
曲目:J.S.バッハ/2台のピアノのための協奏曲第2番ハ長調 モーツァルト/2台のピアノのための協奏曲 ドヴォルザーク/交響曲第7番ニ短調op.70

11.11.13(日)15:00 いずみホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 いずみホールシリーズ vol.25~音楽監督デュメイとのモーツァルト選集第1回~
指揮・ヴァイオリン/オーギュスタン・デュメイ ピアノ/児玉 桃
曲目:モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲 モーツァルト/ピアノ協奏曲第9番「ジュノーム」変ホ長調

2011年 Meet the Classic

11.8.7(日)15:00 いずみホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 Meet the Classic Vol.23
指揮/藤岡幸夫 バンドネオン/三浦一馬
曲目:ピアソラ/バンドネオン協奏曲 ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調op.92

大阪市中央公会堂 特別演奏会

11.3.13(日)15:00 大阪中央公会堂
関西フィルハーモニー管弦楽団 大阪中央公会堂特別演奏会
指揮/飯守泰次郎 ヴァイオリン/小栗まち絵
曲目:ロッシーニ/歌劇「アルジェのイタリア女」序曲 ヴュータン/ヴァイオリン協奏曲第4番ニ短調op.31 シューマン/交響曲 第3番変ホ長調op.97「ライン」

奈良・城陽定期演奏会

11.4.3(日)15:00 なら100年会館
関西フィルハーモニー管弦楽団 第2回奈良定期演奏会
指揮/藤岡幸夫 ピアノ/山本貴志
曲目:チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ長調op.23 ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」変ホ長調op.55

11.8.28(日)未定 文化パルク城陽
関西フィルハーモニー管弦楽団 第1回城陽定期演奏会
指揮/藤岡幸夫 ヴァイオリン/オーギュスタン・デュメイ
曲目:モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216 チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」ロ短調op.74

ついに来てしまったデュメイ音楽監督時代。10年続いた飯守時代に別れを告げて新たな時代へ洋々と出帆する。
デュメイは定期3公演と和泉シリーズ2公演(コミュニティコンサートにも出る)、ソリストとのみして1公演に登場とこれまでの倍の活躍。第228回はパートナーであり世界的ピアニストであるピリスを招いてのオールベートーヴェンプログラム、第232回は前回不覚の途中降板となったヴァイオリン協奏曲へ再挑戦。いずみシリーズではこれまで関西フィルとも数々取り上げてきたデュメイの代名詞とも言えるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲を中心にオールモーツァルトプログラムとして彼にしか成し得ない古典の世界を創り上げる。重要なのは第234回で、これまで関西フィルとのすべての演奏会で独奏を行なってきたデュメイがあえて伝家の宝刀を封印し指揮に専念して、サン=サーンスの珍曲と若手ソリストを迎えたブラームスでのサポートに回る。関西フィルと東京シティ・フィルの両オケで同時に桂冠名誉指揮者に退いた飯守泰次郎だが、両オケともに継続的な関係を続ける。関西フィルと長らく続けてきた演奏会形式オペラは今年度もワーグナーを取り上げる(第229回)。第231回はブルックナー交響曲全曲演奏会の第1回。これまでもしばしばブルックナーを取り上げてきた両者が実に10年をかけて全曲演奏に取り組むという一大プロジェクトの開始で期待が高まる。首席指揮者藤岡は第227回を関西フィル初登場の第127回と同じプログラム(1曲目だけが異なる)の再演で関西フィルとの13年間の真価を問う。第233回はマーラーイヤーに合わせてメルヘン色満点の4番を。客演指揮者には兵庫芸術文化センター管でレジデントコンダクダーを務める期待の若手岩村による近現代の難曲に挑戦する第226回、いまや日本中のオケから客演に招かれる実力派の名匠尾高はリャードフの小品とラフマニノフの第1交響曲という珍しいロシアプロ。
ソリストはピリス、デムスの大物に神尾、宮田、松田、中野、シャマユと人気実力申し分ない若手を迎えるが、期待したいのは主席奏者風早による吉松のオリオン・マシーン。第127回定期ではソリストの箱山芳樹が縦横無尽に動いてCDでは絶対に分からない吉松作品の面白さが溢れていたがそれがどうなるか。

特別演奏会ではデュメイをソリストとして城陽に投入する。初回をなんとしても成功させたい関西フィルの気合の入れよう。
中央公会堂は久々に飯守先生が指揮台に立つ。華やかなラインに期待したい。

当然のように定期会員として参戦するけど、実はデュメイのいずみシリーズが京響定期とセンチュリーの四季コンサートと被った。どうしたものか。
飯守先生が退かれたのでそろそろ藤岡幸夫のポジションも考え時かも知れぬ。芸術性はともかく集客と意欲はなかなか代えがたい御仁だけに人選には慎重を期したい。

関西フィルハーモニー管弦楽団 いずみホールシリーズ Vol.21

2010年11月03日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団

10.11.3(水・祝)15:00 いずみホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 いずみホールシリーズ Vol.21
指揮・ピアノ/パウル・パドゥラ=スコダ
コンマス/ゲオルギ・バブアゼ(関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
曲目:
モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番op.72a
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調op.58
シューベルト/即興曲op.90,D899-2変イ長調(アンコール)

指揮者もピアニストも70歳以上の爺で固めたこのシリーズもラスト。
いつぞやの関フィル定期では信じられないぐらいの名演を残して未だに語り草になっているスコダが再び弾き振りで登場。
9割5分は埋まったんじゃないですか。定着しきった感がある。来年はデュメイでモツコン全曲だから満員確実でしょう。
にしても体調があまり良くなくて脂汗が滲むのよ。しんどいなあ。

K491。
モーツァルトの短調曲は少ないですがどれも異様な哀しみを湛えていて非常に人気がある。24番もお好きな人にはたまらんでしょう。おぢさん個人としては陰気に過ぎるのであまり聴きませんが、スコダの年季の入った軽やかな音色で弾かれるとやはり名作だと言わなくてはいけない。技術的には衰えがかなりあるので楽譜からはいろいろと逸脱する。日本の音大生のマシなのを連れてくれば楽譜的には正しいものが聴けるけども、音楽的にスコダほど愉しいかはまた別の話。期待に違わぬ演奏にいきなり客のボルテージがMAXで疲れる。うしろのおばさんの拍手が頭に響く。

レオノーレ。
なるほどスコダは19世紀後半から流れる演奏解釈の流儀に連なる人なんだと思いますね、ここまでオーケストレーションを改変した上でかなり恣意的なテンポの動きを多用して劇的な仕上げにしてくると。ピアノを弾いている時とは違った面を感じて面白かった。指揮者としてよりも音楽家として指揮台に立ってるだけなのでオーケストラは必死に音楽作り。挙げる手を間違ったり拍を飛ばしたりと実に微笑ましい指揮ぶりだった。

4番。
おぢさんは4番がベートーヴェンのピアノ協奏曲では一番お好み。それだけにこの演奏がオケも含めいかにミスだらけかは分かる、分かるけども、もうこれでいいんじゃないか。
先生!ズレてピアノだけが残って聞こえますが!
先生!合わせきれずに木管が先食いして出てきましたが!
先生!本番なのに弾き直そうとしないでほしいのですが!
色んなことが起きてフォローしあってどつぼに嵌まり、最後まで行けばなんとかなるんだと老いも若きも手を取り合って、客皆手に汗握り、最後はベートーヴェンなんてどうでもいいぐらい素敵な人生賛歌で終わった。
アンコールのシューベルトも情感たっぷりだがやはり指が回らず。

うるさがたの客が「酷かったね!」と言いつつも最高の笑顔を見せていた。
そう、酷かった。でも一瞬足りとも醜くない。こういう風に老いたいと思いつつ俺も「ええ、酷かったですね!」と笑顔で返した。

関西フィルハーモニー管弦楽団 第224回定期演奏会 [灼熱のマエストロ]

2010年10月08日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団

10.10.8(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第224回定期演奏会 [灼熱のマエストロ]
指揮/小林研一郎
ピアノ/田村 響
オルガン/片桐聖子
コンマス/ゲオルギ・バブアゼ(関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
曲目:
芥川也寸志/弦楽のためのトリプティーク
ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ短調op.11
サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調op.78「オルガン付き」
サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調op.78「オルガン付き」より第2楽章終結部(アンコール)

9割ぐらいのお客様。
コバケン効果ですわな。かつてコバケンさんは関フィルの首席客演指揮者だった。ということはデュメイの前任っすよ。
プレトークからコバケン節全開で芥川先生との思い出を語りつつも実は己の自慢話だったり政治が文化に興味がないことを嘆いたり関フィルを心にもなく褒めてみたりする。なによりも客に媚び放題、殷勤な姿勢を崩さない。そりゃそうだ。この中の誰かがいつスポンサーになるか、スポンサーのツテになるかと思えば慎重にならざるを得ないじゃないか。正しい態度ではあるけれど、ここらへんが鼻につく人もいるんだろう。司会の西濱さんは関フィルとのこれから、というような意味を含めて今後についてを聞いたのにちゃっかりと己が今一番専心しているチェコフィルとのベートーヴェン交響曲全集録音の宣伝をして終わった。見事だね。

芥川。
コバケンさんは天才なのでその作品の持つ大筋と本質を把握したらそれを直押しに押してくる。
このトリプティークも野太く土俗的な歌声として纏めた。紛れもなく伊福部昭の弟子の作品だと感じる。江戸っ子で洒脱な都会派がちょっと鄙びたものに思いを馳せてみた、的なアプローチのほうが好きだけど。

ショパン。
どんな協奏曲もチャイコンに仕上げる指揮者と見た目と裏腹に乙女チックで繊細なソリストの指向が最後まで噛み合わず。
人選ミスor選曲ミス。どちらでせう。

休憩挟んでサン=サーンスさんの3番。
コバケンさんは天才なのでその作品の持つ大筋と本質を把握したらそれを直押しに押してくる。
で、出来るオケと出来ないオケとでやり方が少しだけ違う。CDで出てるチェコフィルと名古屋フィルのオルガン付き聴き比べてみたら分かるかな。
出来ないオケだと大筋を形作って聞かせ所のフレージング以外はパワーコントロールだけ。出来るオケだと経過句にも細かい表情がつけられていて「本当はここまでしたいんだな」というのがよく分かる。もっとも、オルガン付きなんてのはそこまでする価値のある作品でもないので力押しのほうがよほど愉しい。
無論、関フィルさんは出来ない子ですから力押し。爽快感溢れる終結だった。と、思う。爆演って会場出る頃にはどうでもよくなるのが大半なんで。
定例のコバケンスピーチの後は定例のコバケンアンコール、第2楽章終結部最後の15秒。
つい5分前に燃え上がるような終結をやったとは思えない不感症な音の出だしに感心する。関フィルさんはよく言えば人間的、悪く言えばダメだなあ。
同じアンコールをヴェロ/センチュリーで聞いたけど、あれは本番と全く同じテンションに一瞬でギアチェンジするセンチュリーさんのエグさの表れでもあったわけだ。

四方に向かって団員全員で深々とお辞儀するいつものノリには辟易する。あれはいらん。

関西フィルハーモニー管弦楽団 UMEDA 演奏会午後への前奏曲Vol.8

2010年10月04日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.10.4(月)13:30 梅田芸術劇場 メインホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 UMEDA 演奏会 Vol.8
指揮/藤岡幸夫(関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者)
カウンター・テノール/米良美一
司会/西濱秀樹(関西フィルハーモニー管弦楽団理事・事務局長)
曲目:
ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
ヘンデル/歌劇「リナルド」より“私を泣かせてください”
讃美歌/アメイジング・グレイス
久石 譲/映画「もののけ姫」より「もののけ姫」
喜納昌吉/花(すべての人の心に花を)
美輪明宏/ヨイトマケの唄
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調op.67「運命」
アイルランド民謡/ダニー・ボーイ(アンコール)

関フィルさん絶好調みたいな雰囲気を無理にでも作ってきた感があるこのブログですが、世間的にも関フィルさんは好調だというような認知をされてきてる。
一番気を張ってる定期やいずみ定期や東京公演では本当のところは分からないのではないか。たまにはルーチンな関フィルさんのお姿など拝見して気持ちを新たにしたい。と思って飛び込みで見てきた。当日券あったし職場も近いもので。

8割ぐらい入ってるのかな。うちのおじおばを潜り込ませている大フィルさんのマチネとは別世界の客入り。
企画力とトークだよ。ほんとに。

米良さんは身体の問題からなかなか苦労のある生きざまだった、という演歌的人生を近年告白されて講演活動等も盛ん。カウンターテノールとしてはピークも過ぎ去ってクラシカルな現場からは遠くなっている。
根が明るい方なのでトークも爆笑気味、衣装もド派手。もののけ姫はかなり声質も悪くなって悲しい。ヨイトマケの唄はご自身の人生と重ね合わせて絶唱。客席からすすり泣きが聞こえる。


ロッシーニはどうでもいい。
運命だ。すっかり忘れてた。言葉は悪いが不良指揮者と不平団員の不毛なせめぎ合い、これが10年変わらない部分でもあるわけ。10年もの間、たくさんの共演を重ね過ぎたが故に若干倦怠期の味わいも加わっちゃってね。
合奏力では在阪オケ最下位と言われて久しいわけですが、その地位を他には譲らない王者の風格。運命なんてよほどのことがない限り気合も入らんから擦れっ枯らしですよ。

でもお客さん喜んでたし、おぢさんも楽しんだ。2時間涼しく本も読めたし・・・。

小口出資で関西フィルのコンサート 近畿大阪銀

2010年09月25日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
小口出資で関西フィルのコンサート 近畿大阪銀  - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100924/fnc1009242357025-n1.htm
近畿大阪銀行は24日、運営資金を大口スポンサーや入場料に頼らず個人からの小口出資でまかなう「ファンドレイジング手法」によるコンサート「ずっと大阪を、もっと元気に!」を、関西フィルハーモニー管弦楽団、いずみホール(大阪市中央区)と共に来年2月2日に同ホールで開催すると発表した。
 運営資金は1口5千円で800口を募集し、いずみホールの利用料や関フィルの出演料、宣伝費などに充てる。出資者のみが同コンサートを鑑賞できる。
 出資者からのリクエストで楽曲を決めたり、当日に出資者が参加できる企画を設けたりする予定。主催者側は「通常のチケットを買ってもらうコンサートと違い、観客兼オーナーとして参画する事業になる」と話している。
 出資の申し込みは10月1日からで先着順。問い合わせは近畿大阪銀の同コンサート係((電)06・6945・2374)。


関西フィルの演奏会、小口資金集め支援 近畿大阪銀  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819A96E0E6E2E0E78DE0E6E2EBE0E2E3E29E9693E2E2E2;p=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5;o=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2
近畿大阪銀行は取引先企業や個人から小口の運営資金を集め、関西フィルハーモニー管弦楽団(大阪市)の演奏会開催を支援する。景気低迷で大口スポンサーや自治体による交響楽団への支援が難しくなるなか、中小企業や個人から1口5000円を集めて資金を賄う。24日記者会見した桔梗芳人社長は「経済状況に左右されず文化活動を支える仕組みを目指す」と語った。
 2011年2月2日に大阪市中央区の「いずみホール」で開く。10月1日から12月30日まで同行の店舗やホームページで800口まで募集し、開催に必要な400万円を集める。資金を拠出した企業や個人は口数に応じて鑑賞券を申し込める仕組みとする。
 関西フィルの藤岡幸夫・首席指揮者は「今回の活動を機に、初めてクラシック音楽に興味を持つ人を増やしたい」と話していた。


定期やいずみシリーズでほぼ毎回スポット協賛を獲得してるところへ、さらにこういう企画。
不況には営業力だよ。おぢさんの職場のビルに西濱さんが飛び込みで営業しにきたこともあった。
見習おう。

関西フィルハーモニー管弦楽団第223回定期演奏会[古典至上主義]~創立40周年記念ガラ・コンサート~

2010年09月10日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.9.10(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第223回定期演奏会 [古典至上主義] ~創立40周年記念ガラ・コンサート~
指揮・ヴァイオリン/オーギュスタン・デュメイ(関西フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者)
バス・バリトン/ジョゼ・ヴァン・ダム
コンマス/岩谷祐之(関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
曲目:
モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219「トルコ風」
~ジョゼ・ヴァン・ダム、華麗なるオペラ・アリア集~
モーツァルト/カタログの歌「奥様、これが恋人のカタログ」(歌劇「ドン・ジョヴァンニ」)
モーツァルト/「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」(歌劇「フィガロの結婚」)
モーツァルト/「ため息をつきながら」(歌劇「フィガロの結婚」)
ヴェルディ/「ひとり寂しく眠ろう」(歌劇「ドン・カルロ」)
ドリーブ/「おまえの優しい眼差し」(歌劇「ラクメ」)
ロッシーニ/「中傷とはそよ風のように」(歌劇「セヴィリアの理髪師」)
ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調op.93
ビゼー/劇音楽「アルルの女」よりアダージェット(アンコール)

次期音楽監督デュメイを迎えて9割は入っているお客様。
3月が無念の途中降板だったので今度こそという思いが強い。関フィルさんも同じ思いなのだろう、プレトーク代わりに挨拶に出てきた西浜さんも「今日はデュメイさん元気です!」と力強い言葉。

トルコ風。
デュメイとやるモーツァルトのVn協弾き振りも何度目だ。来季は全曲演奏にも挑戦(1番はコンマスの岩谷くんですが)する。
今回はこれを東京でもやるのでデュメイ&関西フィルの特徴を関東でもご披露しようということなんでしょう。
座ってるか立ってるかの違いはあれ、モーツァルトの時代ではこの弾き振りが通常のあり方だった・・・と言ってみたもののデュメイは異質な気もしますが。
終楽章ではメガネを飛ばしての熱演、下手したら踏んで割りそうなところに落とした。アシコン席にいることの多い友永さんはかなりはしかい方なので岩谷さんにそっと「どーする?」と目配せ。 ここまできて拾うわけにもいかないのでそのままに。
あと10cmぐらいで踏みそうなところを行ったり来たりするから妙な緊張感を加えつつ終わり。
ソロはもう完成されきってて、あとはその日の体調の差ぐらいしか違いはない。オケは何年か前のいずみシリーズに比べて跳ね馬のようなソロに見合った音が少しづつ出てきているので来年はもっと良くなっているはず。来年が楽しみや。

ジョゼ・ヴァン・ダム、華麗なるオペラ・アリア集。
オペラ出演は今年で止めることにしたヴァン・ダム70歳。もうすでに後進の指導に軸足を移している。往年の名歌手の来演とあって関西の声楽家の顔もチラホラと見える客席。
声量はさすがに衰えを隠せなかったがヴェルディとドリーブの深い心理表現やドリーブとロッシーニでの美しい発声は素晴らしいものがあった。何よりも美しさを優先したカラヤンに数多く起用されたのは当然のことだ。何時間聞いていてもきっと飽きないだろう。ペレアスとメリザンドのカラヤン盤のヴァン・ダムが大好きでした。
デュメイが意外やちゃんと指揮者してて安心。

休憩挟んでベートーヴェン。
すでに8時半近いわけで。客席はもう聴く気力が無い人もいる(笑) 長いよ!ガラコンサートととはいえ。
これでベト8があっさりさわやかで終わってくれたら良かったんだけど、デュメイのベートーヴェンがそんな一筋縄でいくわけもなく、第9よりも巨大なスケールで迫る両端楽章、拍動が激しく耳を叩く第2楽章と第3楽章とボクサースタイルの指揮同様にボディーブローの連続だった。もうやめてくれといくらタオルを投げ込んでもロープを掴んでもデュメイはクリンチしてリング中央まで連れ戻すから・・・。前回リタイアしたのが信じられないくらいの生命力溢れるベートーヴェンで、下手な古楽器演奏よりもワイルド。それだけに関フィルさんの管楽器では応じきるところまではいかない部分もあった。

東京公演もあるのでアンコールもご披露。たしかゴキさんが出し物に仕上げたビゼーのアダージェット。
ホットになりすぎたプログラムをしっとり〆て終演。

彼が音楽監督というイメージが湧かないけど、面白くなることは間違いない。

関西フィル Meet the Classic Vol.21 ~デュメイ&藤岡 衝撃の初共演!~

2010年09月05日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.9.5(日)15:00 いずみホール
関西フィル Meet the Classic Vol.21 ~デュメイ&藤岡 衝撃の初共演!~
指揮/藤岡幸夫(関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者)
ヴァイオリン/オーギュスタン・デュメイ(関西フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者)
コンマス/岩谷祐之(関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
曲目:
アンダーソン/舞踏会の美女
ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調 op.88
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.77
エルガー/夕べの歌(アンコール)

関フィルさんは東京公演を含むデュメイウィークに突入。
その第1弾が首席指揮者の藤岡幸夫とデュメイの初共演ということで当然のように完売。

いつものように舞踏会の美女の後、トーク。
西濱「舞踏会の美女で幕を開けましたMeet the Classic、いきなりなんやねんとお思いになられたと思いますが、Meet the Classicオープニングのテーマ曲でございます。何があろうとこれはやりますので(笑)」
藤岡「もう21回、関西フィルといっしょに演奏させてもらうようになって最初に始めた企画で毎回たくさんのお客様でうれしいです、耳にタコが出来てる人もいるかも知れないけどクラシックってのは分かる分からないじゃなくて感じるか感じないかなんで、それをこの企画で出していけたらと」
西濱「21回全部来られてる方はおられますか?(誰もおらず)残念・・・おられたら何かさし上げようかと思ってたんですけど、いや残念(笑)」
というような感じ。
今回の協賛を引き受けてくださった大塚製薬様が大奮発でSOYJOY7本セットを来場者にお配り下さるという発表にどよめく客席。おぢさんの後ろの席のおばさんが「どうせやったら全種類(11本)でええやんか」と口走ったのがまさに大阪、なんとなく嬉しかった。

ドヴォルザーク。
デュメイのリハが始まってるのか分からんが、弦楽器の音が幸夫が振ってる時の関フィルの音じゃない。幸夫の傾向として少々汚い音を出してもくっきりと曲想を押し出すところがあるし、先日のシューマンのようにそれが年々強まっているにせよ、今日はそれだけではないと思う。弦セクションの音があまりにも立ちすぎている。
曲の把握は十年一日のごとく。代わり映えしない。良くなったところは昔は一つ一つの場面が紙芝居のように別個で、ぎこちない組み立てだったのが関フィルとの長い付き合いで一筆書きのような力強い流れを生み出せているところ。これはオケのお陰か。ヴィオラがええね。
聴き疲れがした。

休憩挟んでブラームス。
いつものように椅子ありで弾くデュメイ。
ソリストの芸格が指揮者と違いすぎた。ただでさえ伴奏上手とは言えないのに。
縦横無尽に雲烟飛動するヴァイオリニストにブンブン振り回されガンガン引きずり回されて見てて切なかった。しかもそこまでしてるのにブラームスの書いた旋律の美しさがちゃんとブラームスとして明確に伝わってくるえげつなさ。
いずみではなかなか聞けない怒号のようなブラボーで終了というか終戦・・・。
指揮者が立たせる前にデュメイがオーボエの朝倉さんを立たせて握手しにいっちゃって。次期音楽監督としてのパフォーマンスもやられた。
アンコールもやったけど、完全に主役を食われたね。

創立40周年記念パーティが隣のホテルであるそうで降り板の団員さんが正装してSOYJOY配布。
助成にアフィニス文化財団様、協賛は大塚製薬株式会社様でした。
厳しい残暑の熱中症予防にポカリスエットで水分補給いたしましょうね。

関西フィルハーモニー管弦楽団いずみホールシリーズ Vol.20

2010年08月05日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.8.5(木)19:00 いずみホール
関西フィル いずみホールシリーズ Vol.20
指揮/飯守泰次郎(関西フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者)
ピアノ/舘野 泉
曲目:
武満 徹/弦楽のためのレクイエム
ブリテン/ディヴァージョンズop.20 (左手ピアノとオーケストラのための主題と変奏)
カッチーニ(吉松編曲)/アヴェ・マリア(アンコール)
ブラームス/交響曲第2番ニ長調op.73

京橋からいずみホールへと蝉の抜け殻を踏みながらOBPを歩く。暑い。
関西フィル創立40周年と飯守泰次郎の関西フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者就任10年を記念して作られたブラームス交響曲全集の販促活動の意味合いもほんのり含んだ今回。
9割がた埋まっております。うれしいですわー。
舘野さんの応援組織の方もたくさんのようです。

武満。
実演でこの曲聴くたびになんとも言えない響きに包まれて幸せにはなる。でも武満というとこればかり演奏されるから飽きた。11月のセンチュリー定期も波の盆がこれに差し替えになってしまって嫌になる。

ブリテン。
ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲やプロコフィエフのピアノ協奏曲第4番などの遺嘱で知られる隻腕のピアニスト、パウル・ウィトゲンシュタインの委嘱作の一つ。
演奏が難しくてあまり演奏される機会がなく、演者全員が初挑戦。録音もあまりないしね。
聴いて思うに。これはもっと演奏していい曲だよ。カラフルで楽しいもの。内容が多彩なぶん「演奏が難しい」という飯守先生の言葉も良く分かりましたが。
アンコールは多くの人が涙する逸品に成長したカッチーニのアヴェ・マリア。

休憩挟んでブラームス。
関西でポストを持ってる邦人指揮者の中でただ一人芸術家と呼べそうなのは飯守先生。あとは素敵なドライバーか、下手したら素人よりはマシかぐらいの時がある棒振りか・・・。先生は分からない人が見たら分からないまま、分かる人が見ても分からない棒捌きなので振られるほうにも相当の労苦がある。そこを長年の結びつきで補いつつ作り上げてゆく。フラっと来たような客演指揮者ごときでは出せない味。
この曲は長年の懸案だった第1交響曲を世に問うて成功し、安堵と休息の中から一気に生まれた作品。プレトークでは保養地ペルチャッハの美しい自然について語られたが、書き終えたのはクララ・シューマンの屋敷があったバーデン・バーデン(リヒテンタール)。沈鬱なところは少なく、湖畔を渡る風のような旋律と未来へ向けた明るい情熱の音楽なのであまりいじくりまわすとかえっておかしくなる。
先生がかつてセンチュリー定期でこれを振った時(名演でした)から基本的なスタンスは変わらない。流れを損なわない程度の自然なテンポの揺れ、激しい音色を努めて排除して出来る限り全体を一つの柔らかい歌のように纏めてゆく。シューベルトかなと思うぐらい優しい第2楽章。終楽章はもう少しリズムにエッジが効いてても良かったかな。ホルンとファゴットが良かった。

大阪市の助成公演でした。
この日の痛恨事はNHK大阪ホールでNHK大阪放送局開局85周年記念「よみがえる関西のオーケストラ作品」公開録画をやってたことだ。センチュリーさんが出たらしい。情報をつかんだ時にはいずみ行きを決めてしまっていたので仕方がないが・・・。

関西フィルハーモニー管弦楽団 第222回定期演奏会 [愛の神髄]

2010年07月30日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.7.30(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第222回定期演奏会 [愛の神髄]
指揮/飯守泰次郎(関西フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者)
トリスタン(テノール)/竹田昌弘
イゾルデ(ソプラノ)/畑田弘美
マルケ王(バリトン)/木川田 澄
ブランゲーネ(アルト)/福原寿美枝
クルヴェナール(バス)/橘 茂
メロート(テノール)/松原 友
字幕/三宅幸夫
練習ピアニスト/小梶由美子、西聡美
曲目:
ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
ワーグナー/「トリスタンとイゾルデ」第2幕[演奏会形式] (原語上演・字幕付き)

いつも以上に興奮気味の飯守先生のプレトークは割愛。
字幕装置の影響もあってステージの横からクワイア席あたりは販売してない様子。8割ぐらいですかね。補助席が出ております。えっ東京からいらしたんですか、というようなコアなファンがいて驚く。飯守/ワーグナーってのはそこまでさせるブランドなんですなあ。
マラ2マラ5と関フィルさんにとっては大規模作品が続いていますが、今回も30名近いエキストラを動員して挑みます。

タンホイザー。
おぢさんこれがワーグナーで一番好きかもしれん。
朗々たるホルンの開始、チェロのものすごい祈りの歌、淫蕩なヴァイオリンのざわめきとから前プロとは思えぬ雰囲気で楽しんだ。

休憩挟んでトリスタン第2幕。
イゾルデはやや声量不足ながら丁寧な歌唱、関西ではお馴染みのトリスタンは相変わらず輝かしい声、もう少し影のある雰囲気が欲しかった。マルケ王はめっちゃええ声色を駆使して実のある演技で裏切られた老王の悲哀が滲む、さすがベテラン、クルヴェナールは一瞬の出番を演奏会形式なのにそれなりに演出して見事に決めた。メロートは偽りの誠実さと素顔の狡猾さの二面性を出さないといけない面倒な役をしっかり好演。圧巻はやはりこの人ブランゲーネの福原寿美枝。見張りの歌が甘美なホラーになる妖艶さで場内を圧倒した。
眼光紙背に徹する飯守先生の譜読みの確かさ、ブーレーズのリングがやられていたころのバイロイトで身につけた明晰な響きと、表現のためには少々の合奏の乱れなどものともしないドイツ仕込みの指揮ぶりという相反するものががっつり噛みあって感動の80分でした。

飯守先生の関西フィル常任指揮者就任10年間の記念碑としてブラームス交響曲全集が発売になるわけですが、会場では1日だけだけど先行発売。もちろん買いました。

ブラームス:交響曲全集
飯守泰次郎
フォンテック

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協賛はお馴染みになりました阪急電鉄株式会社様です。
また今回は財団法人花王芸術・科学財団様財団法人アフィニス文化財団様財団法人三菱UFJ信託芸術文化財団様の助成を受けております。
誠にありがとうございます。

関西フィル40周年ガラ・コンサートに向けて、デュメイのビデオメッセージが届きました!

2010年07月14日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
●関西フィル40周年ガラ・コンサートに向けて、デュメイのビデオメッセージが届きました! | KAJIMOTO | ニュース
http://www.kajimotomusic.com/news/2010/06/29/40.php


演奏: 関西フィルハーモニー管弦楽団(指揮:オーギュスタン・デュメイ)
曲目: ベートーヴェン: 交響曲第6番 ヘ長調 作品68「田園」 第5楽章 アレグレットより

あのベートーヴェンを記録した音源があったということなんだろうか。

関西フィルハーモニー管弦楽団 第221回定期演奏会 [秘められた野生]

2010年06月11日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.6.11(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第221回定期演奏会 [秘められた野生]
指揮/大友直人
ヴァイオリン/岩谷祐之(関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
コンマス/ゲオルギ・バブアゼ(関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
曲目:
芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽
伊福部昭/ヴァイオリン協奏曲第2番
バルトーク/管弦楽のための協奏曲 Sz.116

おぢさんからすればちっとも新しい作品ではないけども、やはり一般には新し目のプログラムだからでしょう。8割いくかどうかの客入り。

プレトーク。
伊福部先生の作品はデビューしたばかりの大友さんが委嘱者で初演者の小林武史先生から直接指名を受けてN響と放送ライブしたという思い出あり。以来30年ぶりの挑戦になる。今日のプログラムを作るに当たって小林先生の教え子である岩谷さんが伊福部作品をやりたいとリクエストしてきたときは感激した。今日は客席に小林先生もお見えです。
伊福部先生といえば教育者として大変な業績を残されている、黛敏郎さんや芥川也寸志さんを育てた。それで冒頭に芥川先生の名曲を置いた。
バルトークは戦禍を避けてアメリカに亡命したが、戦争に苦しむ欧州との違いにバルトークは衝撃を受けた。平和なアメリカの地に居て良いのかどうかというところからバルトークの苦悩は深く、この作品にもそういう内面が現れていると思う。

芥川。
プレトークで述べた理由以前に実は直人がこの曲を好きなだけだったり。FMのDJをしてたときも邦人作品特集などになると必ずこれをかけていたぐらいだから。
建設へと向かう足音と喪われたものたちへの挽歌からなる第1楽章、復興から発展へと転じる人々の歓喜が爆発する第2楽章。まことに名曲。演奏は可もなく不可もなく・・・。なにせ体力勝負のプログラムなのでどこかしらセーブしないといけないから金管などはやや抑え気味。
吹奏楽にも編曲されて人気の作品なので聴くほうの耳も肥えているのでなかなか難しい。

伊福部。
ヴァイオリンが終始憑り付かれたようにハイテンションで引き続けないといかんのですね。アメノウズメもかくやと思わせる。
あの・・・うーん・・・こればかりは聴かないと分からんなあ。音質がいまいちですけど初演者の小林先生のCDが出ておりますので聴いてください。
少なくともバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番をやるならこっちもたまにはやってくれよとは思う。日本人なら楽しめる作品。

休憩挟んでバルトーク。
芸術家としては突っ込みの浅い芸風でいまいち感銘の薄い演奏ばかりをやる直人ですが、色々あった井上時代後期からムント時代に随分と荒れた京響さんを基礎から組みなおす勢いで合奏力強化を託されたりと指揮者としては堅実な手腕の持ち主。持ち味の異なる奏者の無理の無い混合と適切なパートバランス、関西フィルさんの現在を最良の形で引き出す見事さ。
歌いたがる関フィルさんと節度を求める直人の合間でアクの強い民謡調の部分が良い感じに薄まってた(笑)
前にオケコンやったのはいつ?斎藤一郎?あれに比べると今は関フィルさん充実の時ですな。それだけに石川さんが居ないのがまだ切ない。


関西フィルハーモニー管弦楽団 第220回定期演奏会 [高貴なる熱情]

2010年05月27日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.5.27(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第220回定期演奏会 [高貴なる熱情]
指揮/尾高忠明
ピアノ/仲道郁代
コンマス/ギオルギ・バブアゼ(関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
曲目:
ワーグナー/歌劇「リエンツィ」序曲
シューマン/ピアノ協奏曲イ短調op.54
ウォルトン/交響曲第1番変ロ短調

メインが知名度に劣るプログラムですが8割に届くぐらいは入ってる感じ。
ソリストの力かな。

信じられぬことだが、長らくトロンボーンの首席を張ってきた石川さんが先月の定期直後に脳出血のため49歳の若さで亡くなられた。新入団の若手に首席を譲って、豊かな経験を次の世代に受け渡そうとし始めた矢先の出来事で、楽団の損失と楽員の喪失感は極めて大きい。
プログラムには1ページを使って追悼の言葉とたくさんの思い出の写真。

プレトーク。
協奏曲がシューマンならばタンホイザーではなくリエンツィ、前回共演したときに関西フィルのトランペットが好印象だったし、今回は4本用意出来るというのでリエンツィ。ワーグナーの毒という言葉があるが、リエンツィは若書きなのでそれほど毒が強くない。関西フィルの飯守泰次郎先生はワーグナーの毒にのめり込んでる方なのでおわかりいただけると思う。仲道さんとは久々の共演。素晴らしい曲なので期待してて欲しい。
ウォルトンはイギリスで初めて出会った作品、とにかく難しいがオケのやる気もすごいし頑張りたい。
(関西フィルに一言)4つのオケを一つにしようとかいろいろありますが、とんでもない話。それぞれ特色のあるオーケストラなわけなので。何かご意見のある方はあとで来て下さい。僕が掛け合いますから。

リエンツィ。
飯守先生&関西フィルのワーグナーを聞き慣れていると、曲の違い以前に飯守先生がどれだけワーグナーに入れ込んでるのかを感じる。尾高さんが曲の変化をざっくりと捉えて演奏しているように聴こえちゃうもの。飯守先生ならこういう序曲でももっと微細な起伏を随所にしかけて、心理の変化を追求する。単なるオーケストラピースに終わらない。楽しく大きく盛り上がった演奏だったけど、飯守先生のワーグナーが聴きたくなった。

シューマン。
高音はなかなか華麗、低音になるにつれて豪快に叩くだけで音が潰れて聴こえる。始終そういう感じで聴くのが辛かった。協奏曲向きの人ではないんでしょう。リサイタルなどに家人が足を運びますがサロンマナーも含めて大変素敵な時間が過ごせるそうだし・・・。

ウォルトン。
プレトークでは関西フィルとしては2度目、尾高さんが関西でやるのも2度目ということでしたが、おぢさんはイギリス音楽マニアなのでそのどちらにも当然足を運んでいる。関西フィルは2002年の第152回定期で湯浅さんと(その前の回がフルネ唯一の関フィル客演だった)、アンサンブルがまとまりきらないところがあったが面白い演奏だった。尾高さんは1999年に大フィルの第324回定期。武満の鳥は星形の庭に降りるとベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番(独奏/清水和音)という掴み所のないプログラム、ウォルトンでは客の反応も鈍くて哀しかった。

関西フィルハーモニー管弦楽団 - 5月27日開催、「第220回定期演奏会」情報!
http://www.kansaiphil.jp/modules/news/index.php?page=article&storyid=81

5月27日開催の第220回定期演奏会「英国が生んだ大交響曲!激情渦巻く45分!」に向けて、この公演を指揮するマエストロ・尾高忠明氏からメッセージが届きました。

【マエストロ・尾高忠明氏からのメッセージ】
 『僕は釣りが大好きだ。だからウォルトンと言えば「釣魚大全」のアイザック・ウォルトンだった。でも、英国で仕事を始めてウォルトンを演奏する機会が増えてきた。
 はじめて、ウォルトンの交響曲第1番を指揮したのはプロムスでだった。超難曲だがめちゃくちゃに面白い。エキサイティングな所、綺麗なところ、映画音楽みたいな所……。しかし、本当に圧倒的に難しい。日本のあるオーケストラで練習を始めた時に、第2バイオリンが倍の遅いテンポで始めた時にはびっくりしたが、それも良い思い出だ。その初めての演奏はBBCミュージックマガジンの付録CDになった。
 今でも、先輩の英国人指揮者から「何日練習したの?」「怖かっただろ!」などのお言葉を戴く。その日は何か総てがよい方向に向かってくれた。
 ここまで、素晴らしい演奏を続けている関西フィルとのウォルトン。絶対に総て良い方向に向かうと信じている。
 久しぶりの仲道さんとの共演も楽しみだ。』


この文中のCD(BBCMM123)には第1楽章の壮大な終結に思わず拍手が起こる瞬間が記録されていて面白い。カップリングになっているのは武満のフロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイムのイギリス初演(A・デイヴィス指揮BBCso)。これの微妙な客の反応も楽しい。
弦楽器とホルンのざわめきの中から聴こえるオーボエの呼び声から始まる第1楽章、これが書かれたのは1934年~1935年。ヒトラーの政権奪取・日本の国際連盟脱退が1933年だから世界の空気というのは想像できますわな。石川さんを喪った金管のテンションが異常なぐらいに暗く熱く・・・。第2楽章はPresto con malizia(プレスト・コン・マリーツィア)という珍しい発想記号、「悪意を持って」の意味らしい。そろそろサッカーワールドカップですけど、日本でしか使われていないサッカー用語に「マリーシア」というものがありますね。反則ギリギリのラフプレーのようなものを指すやつ。あれと言葉は同じです。意味はもう少し幅広いようですが。そんな発想記号ですから、激しい上下行に急変するデュナーミクとリズム、強烈な全休止で終結と見せかけて再発進して短いコーダが付け加えられるといった有様で大変難しい。大フィルは御大晩年の時期でとにかく鈍重だったし、前回の関フィルも金管キズ多しだったが今回は違った。尾高さんの巧みな整理と導きの賜物。
第3楽章はショスタコーヴィチの緩徐楽章に似た味わいの音楽、静謐な祈りと苦悩の悶えが交錯して第1楽章同様、書かれた時代の雰囲気が伝わる。フルートが聴きもの。演奏も良かった。終楽章は合唱のいない合唱曲のような雄大な賛歌。波のように寄せては返すオケのうねりが場内全体を揺らして充実の終結だった。

大成功といっていい。

関西フィル いずみホールシリーズ Vol.19

2010年05月12日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.5.12(水)19:00 いずみホール
関西フィル いずみホールシリーズ Vol.19
指揮/飯守泰次郎
ピアノ/イェルク・デームス
曲目:
イェルク・デームス/「オルガニストのテーマによる変奏曲」op.57(1990)~フランク没後100周年に寄せて~(管弦楽伴奏版世界初演)
モーツァルト/ピアノ協奏曲第26番ニ長調K.537「戴冠式」
モーツァルト/メヌエット ト長調K.1(アンコール)
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調 op.67「運命」

完売とのことではなかったが実際入ってみたら9割以上埋まってた。デームス関係なくこれだけ埋まってるとしたらうれしい。
去年はね、センチュリーさんのブル4と被ったので泣く泣く諦めたデームスでしたので楽しみ。

デームス自作自演。
当初は一部カットでの演奏ということだったが、「全部やってもいい?」というデームスの訴えに西濱さんが「好きにしなはれ」と答えて全曲演奏に。変奏曲っていうからラフマニノフのパガ狂ぐらいのものを想像してたけど、これはロンドじゃないのかと思うぐらい微温的展開。デームスじゃなかったら許されてない作品だと立腹するところだったが、二度と聴くこともあるまいと思えば少しは有難く思われてうやむやに。

モーツァルト。
今年のいずみシリーズはオールドファンには神様同然のピアニストが3人。デームス・舘野・バドゥラ=スコダが並んでるわけ。キャリアのピークはとっくに過ぎてるはずなのに、時折見せる選ばれた人間だけの才能の片鱗に手を合わせるシリーズでもある。
デームス拝み倒してきた。
ペダルの至妙な使い方をじっと見てた。あんなに細かく踏み分けて意味あるのかと思ったけど、あれだけ出てくる音に変化がつけて聴かされたら言葉もない。木管に溶け込んで見せたりヴァイオリンの上を跳ねたり自在だ。指なんて力が入ってるとは思えない軽さ。弾くまでもなくピアノ自ら鳴りにいってるように見える。
アンコールはモーツァルト8歳の作品を82歳が弾く。老人だからこそ童心に帰れる。
素敵。

休憩挟んでベト5。
ベーレンライター版です!というのが飯守先生プレトークの最後のお言葉だった。
関西フィルとは過去に全曲演奏をこの版でやっているし、東京での手兵東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団とCDも作ってる。シティとはマルケヴィッチ版で再度全曲演奏・録音するようですが・・・。
むしろこれってジンマン版じゃね?と思うような部分もありましたが、がっつり古典配置の関フィルさんから重みのある音をこれでもかと引き出せるのはさすがです。むかしは元気はいいけどただただうるさいだけのドイツ音楽しかやれなかった関フィルさんが懐かしい。

やっぱり名曲はいいなあと思いながら帰る。
明日はセンチュリー定期で名曲では無い作品と、新曲の誕生に立ち会うのでその前にいい流れが出来た。

関西フィルハーモニー管弦楽団 第219回定期演奏会 [未来への絆]

2010年04月29日 | 関西フィルハーモニー管弦楽団
10.4.29(木・祝)15:00 ザ・シンフォニーホール
関西フィルハーモニー管弦楽団 第219回定期演奏会 [未来への絆]
指揮/藤岡幸夫(関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者)
チェロ/伊東 裕
コンマス/岩谷祐之(関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)
曲目:
チャイコフスキー/ロココの主題による変奏曲イ長調op.33
マーラー/交響曲第5番嬰ハ短調

恒例みどりの日コンサート。満員なんてもんじゃない。
立ち見も限界になってます(2000年以降のザ・シンフォニーホールの入場者数最高記録だと後日判明)。

プレトーク。
なんと幸夫はマラ5初振りと判明(笑)。大丈夫か。
第3楽章のソロホルンはマーラー自身の投影で、ここをどう振るかどう造るで決まると思う。勝負どころだと力説。
おお、正しいよ。そうだ第3楽章だ。

チャイコフスキー。
奈良県生まれの伊東裕くん、現在高校3年生。08年日本音楽コンクール優勝の逸材ということで。
確かにいい音はしてる。ちょっと線が細いかなとは思うけど。
ただこれでソリストとして売ってくとなると個性がまだまだ足りない。これからですよ、神尾真由子さんも関フィル定期に7年前に出たときはすごい才能だとは思っても、今みたいな扱いにまで登ってくとまでは思ってなかったし。10年後くらいに「オレ伊東裕が10代の頃から聴いてたんだよね」と自慢したいので是非頑張ってください。
伴奏は若手を迎えると田舎の親戚みたいなアットホームさでバックアップする関フィルさんらしい温もり。
しかしこの曲聴いててあまり面白いと思わないんだが演奏する側はどうなのか。

休憩挟んでマラ5。
冒頭のTpが外してあとはグダグダになる展開だったらこのブログも簡単に「酷かった」で済ませてラクなんだけど。
第1楽章はミスは無いけど指揮者もオケも探り探りでやや平凡、第2楽章はマーラー独特の異常な発想記号通りに嵐のように頑張ったが(トロンボーン!)スコア以上のものは何も出なかった。第4楽章は幸夫の見た目のイメージならもっと濃く演奏しそうなもんだが、実は伸びやかでスマートなスタイルが持ち味なので美しいけども印象薄。終楽章は各楽員の出来る限りを結集した管弦楽のための協奏曲的な技術上の完成に終始して内容まではとても掘り下げる余裕はなかった。
じゃどこが良かったかって第3楽章ですよ。わざわざ首席ホルンを第3楽章だけ別のところに配置してソロホルンをマーラーその人に見立てる。この楽章だけをマーラー版「英雄の生涯」にしてしまうと見えてくる様々な情景。ブラームス的なセンチメンタルな感情、男の孤独とガキっぽい憧れがぐるぐる回る、切なくも悲しく美しい音楽だったのだとようやくこの楽章が腑に落ちた。
これが聴けただけで十分幸せです。今後この曲を聴くときの心の置き方が身についた気がします。

関フィル定期3回目のマラ5(黒岩・コバケン)、ここ10年でこのオケがどれほど伸びたかを示すものになったと言っていんじゃないですかね。