余桃之罪、もしくは電光朝露

関西フィル、日本センチュリー、京都市交響楽団、大阪フィルの定期会員です。アイドルやら声優やら。妄想8割、信憑性皆無。

大阪フィルハーモニー交響楽団第528回定期演奏会

2019年05月23日 | 大阪フィルハーモニー交響楽団
2019年5月23日(木)19:00フェスティバルホール

指揮:シャルル・デュトワ
コンサートマスター:崔 文洙(首席客演コンサートマスター)
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団[合唱指導:福島章恭]

曲目:
ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」 作品9
ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
ベルリオーズ/幻想交響曲作品14

色々あったデュトワ、学生オケやアルゲリッチ絡みの仕事はすでにあったとはいえ、日本楽壇本格復帰が事務所の差配かなにかで東京ではなく、大阪になるという。
発表になった当初、喜ぶはずの大フィルファンですら「なんで大フィルやねん」「京響のほうが合うてんで」と、一抹の寂しさを持って迎え、尾高監督の病欠となった6月の大阪国際フェスティバル「サロメ」もデュトワが代役するという瓢箪から駒みたいな話も「スケジュールがら空きやないか」「仕事選ばんのか」と、嬉しいけれどもやはり哀しさも同時にこみ上げる始末。

プログラムは十八番のフランス音楽、外れも逸れもありえないド真ん中の直球です。

キャリーバッグを転がしてる客の多いこと。顔見知りと談笑してるんだけど見事に関東弁。
こんなに遠征客が多いのも珍しい。それだけ復帰が望まれていたんでしょうが。
予約殺到といいつつも完売ではないし、2日目から1日目への席の振替も変なところへ飛ばされるほどでもない。
いつもよりはかなり埋まっている客席と、いつもより不思議なテンションの客とともに開演。

ローマの謝肉祭。出だしからイタリアの明るさと生命力を強く感じさせる、驚くべき軽快さ。
フルネが来たとき以来の響きが大フィルから出ていて、指揮者の並々ならぬ力量を感じる。
曲が終わるや、1曲めとは思えないほどの熱いブラボーが飛ぶ。復帰を待っていた人たちでしょうね。

ダフニスとクロエ。組曲なのに合唱付きの贅沢さだが、デュトワの希望らしい。
俺は全然衰えていないぜ、というデモンストレーション含みかな。成功して当たり前のプログラムだからこそ、ハードルを上げてみせる的な。
最上に整理されたバランスの良い響き、各楽器の浮き沈みの的確な統御、要所を締めて華麗さのみに偏らない組み立て、どれも一級の仕上げだった。
鈍な大フィルでこの曲を振った日本の指揮者ではなんとかオケを浮かせた井上道義がトップだったが、それとはさらに格段の違いがあったね。
大フィルが大阪以外でこの曲をやりましてね。誰とは言わんが某氏が振っていて。あまりにも重く動かず、しかもところどころひどい音が出るオケに、俺は何の曲を聞いているのか分からなくなって曲目を確かめたことがあった。
そんなことが懐かしく思い出されるほどのデュトワの名指揮だったのだ。
出番は少なかったが合唱団の出来にはデュトワも満足だったらしい。在阪オケが抱えている合唱団の中ではすでに首座に登ったとみていい大フィル合唱団。チチェスター詩篇にブラームスの埋葬の歌にと、良い仕事が続いている。

幻想交響曲。
ベルリオーズ没後150年のメモリアルイヤー、プロオケはどこもかしこもこればかりなのは少々残念だが。
官能すら感じさせる目覚ましいダイナミクス、詩情豊かな色彩美、デュトワ自身の有名な録音とは異なった、後半2楽章の感興の赴くままのテンポの動きなど圧巻の出来栄えだった。
初日でこうなのだから二日目はどうなることか。
オケの集中・緊張も常になく高く見事だった。ノーミスでしたもんね。

また来てくれたらとは思うが、まあ、観測気球みたいな公演で、これで成功したのでN響は難しくともどこか他の在京オケに客演しはじめるんだろうな。

Various: Charles Dutoit
Decca
Decca

ラヴェル:管弦楽曲集
デュトワ(シャルル),ラヴェル,モントリオール交響楽団
ユニバーサル ミュージック



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