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オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

見立多以尽 とりけしたい

2019-01-07 | 見立多以盡

月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画

見立多以尽(みたてたいづくし)より

『とりけしたい』

国立国会図書館デジタルコレクション

大蘇芳年筆 

 

詞書

出て三日人なら如何(いか)に猫の恋

と 故人もいいし早咲の 梅も盛のつく頃に

隅田(すだ)の上流(うわて)の夜泊(よどまり)は

足もと暗き朧月に 顔をそむけて忍びがえし

浮雲(あぶな)くわたる糸爪(いとづめ)を 

研ぐや 遂げずや 挑まれつ 

争(いど)みつ 狂う恋中を

嗅ぎ出されては最(も)う 仮名読の

先生実に情ないといわん。

轉々堂主人戯誌

 

仮名読 : 明治時代の小新聞のひとつ

糸爪 : 常に三味線を弾く人の左人さし指の爪の先に 弦との摩擦でできたくぼみ

 

 

 


見立多以尽 はやくひらかせたい

2019-01-05 | 見立多以盡

月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画

見立多以尽(みたてたいづくし)より

『はやくひらかせたい』

 

国立国会図書館デジタルコレクション

大蘇芳年筆 

 

詞書

耐忍(しんぼ)さしゃんせ あの梅の木も

雪の中から花が咲く と聞えし都々逸の

意(こころ)は適(うま)く穿(うが)ち得し 若木の花の未開紅

雨風の夜の出稼(おざしき)に 褄(つま)は濡ても唯一重

二夫(かさねづま)せぬ 季咲(きざき)の鉢もの

堅固(かた)い蕾と人々に いわれて操(みさお) 立通す

末は愛(めで)たく歯も青花礠(そめつけ)の

盆栽ならぬ本妻と 風聴(ひろめ)も済んで売れる身は

結びし神の縁日の梅。

南茅場町の隠士 轉々堂主人


穿つ : 表に現れない事実・世態・人情の機微を巧みにとらえること