月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画
見立多以尽(みたてたいづくし)より
『とりけしたい』
国立国会図書館デジタルコレクション
大蘇芳年筆
詞書
出て三日人なら如何(いか)に猫の恋
と 故人もいいし早咲の 梅も盛のつく頃に
隅田(すだ)の上流(うわて)の夜泊(よどまり)は
足もと暗き朧月に 顔をそむけて忍びがえし
浮雲(あぶな)くわたる糸爪(いとづめ)を
研ぐや 遂げずや 挑まれつ
争(いど)みつ 狂う恋中を
嗅ぎ出されては最(も)う 仮名読の
先生実に情ないといわん。
轉々堂主人戯誌
仮名読 : 明治時代の小新聞のひとつ
糸爪 : 常に三味線を弾く人の左人さし指の爪の先に 弦との摩擦でできたくぼみ