オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

『皇國二十四功』 弼宰相春衡

2018-02-25 | 皇國二十四功

弼宰相春衡(ひつのさいしょうはるひら)は

軽大臣(かるのおとど)の息子

 

「今昔百鬼拾遺」に曰く

軽大臣という人が遣唐使として唐に居た頃

唐人から口の利けなくなる毒薬を飲まされ

身を着飾り頭に燈台を乗せられ

燈台鬼(とうだいき)と名づけられ行方知れずとなった。

 

 

大蘇芳年 画 御届明治二十年九月

 

【弼宰相春衡】

灯台本暗しのたとえの如く 父ははるけき唐邦(からくに)へ

遣唐使の命を奉じて行たるままに帰らねば

彼地へ渡りてそこかしこと尋ね当れば思ひきや

物言ふ事もかなわを頂き 灯台の鬼と成て泣いる体を父と察し

ゆるしを乞て帰朝せしが かく残酷なる恥辱を受るは

開化の進まぬ花街の忘八(くつわ)が遊女を責るに似て

焼火箸より尚熱い大蝋燭の流れの身のつらさを託(かこつ)は

雲上人も娼妓も同じ務(つとめ)なりかし

柳亭種彦記

 

 忘八・・・遊女屋の主人の異称

雲上人・・・公卿