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オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

見立多以尽 洋行がしたい

2019-01-12 | 見立多以盡

月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画

見立多以尽(みたてたいづくし)より

『洋行がしたい』

 

国立国会図書館デジタルコレクション

大蘇芳年筆 

 

詞書

深窓に養われて 掌(たなごころ)の珠(たま)

挿(かざし)の花 と双親(ふたおや)の寵愛ふかく

令弱(おぼこ)と唱(とな)うる 婦女子の身にして

雷名を五大洲(ごだいしゅう)に轟かすものは 何ぞや

学問の功(いさおし)と 品行の正しきが故なり

好文木(こうぶんぎ)の香を慕ふ 野婦(やぶ)鶯も冬枯に 

スペルリングの笹なきから 雨雪の中を厭(いと)いなく 

勉め励めば来る春に 囀(さえづ)る声が千金の 

月給とりとよばるるも 聖経(きょう)読み鳥と尊(とうと)まるるも

唯(ただ)この学びの 一事にある而己(のみ)。

操觚者 轉々堂主人述

 

五大洲 : 地球上の五つの大陸

功 : 労力をつくして事をなしとげた結果

好文木 : 梅の異名  晋の武帝が学問に親しむと花が開き

         学問をやめると花が開かなかったという故事に由来する

 

 

 

 


見立多以尽 かほが見たい

2019-01-09 | 見立多以盡

月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画

見立多以尽(みたてたいづくし)より

『かおが見たい』

 

国立国会図書館デジタルコレクション

大蘇芳年筆 

 

詞書

巫山(ふさん)の雨を憎む歌妓(べっぴん)は 

俳優買(どうらく)の お座敷つづきに 

とかく不参の雨を妬(ねた)まれ 

破鏡(はきょう)ふたたび待合の 軒行燈を照さずして 

髭大尽を取逃せば 懇望(ねだり)て置いた釵(かんざし)も

落花かさねて頭(こおべ)にのぼらず 

何と正午の号砲後(どんすぎ)に 化粧(みじまい)だけは仕あげても 

面白からぬ口なしの 山吹色の楮幣(さつ)の顔 

見ねば心のすみかねる 欲の世の中 欲の世の中。

操觚者 轉々堂主人

 

【巫山の雨】: 楚の懐王が昼寝の夢の中で巫山の神女と契ったという故事から

男女が夢の中で結ばれること また、男女が情を交わすこと。

 

【落花枝に返らず 破鏡再び照らさず】: 一度損なわれたものや

死んでしまったものは二度と元に戻らないというたとえ