~ さぁ、あたしにも葛籠をお寄こし! ~
『おもゐつゝら』
(おもいつづら)
大蘇芳年筆
昔話 「舌切り雀」
心優しい爺が助けた雀が、婆が用意しておいた糊を食べてしまい
怒った婆に舌を切られて雀は家から追い出されます
山から帰ってこのことを知った爺は悲しみ、雀を探して山の中を歩き回り
いくつかの苦難を越えて宿にたどり着き、そこで雀たちから歓待を受けます
帰り際、出された2つの葛籠(つづら)のどちらを土産として持っていくかと訊かれ
「ありがとう。儂は年寄りだから、こちらの小さい葛籠をもらうことにしよう」
爺は小さな葛籠を受け取って家に帰りました。
葛籠の中には金銀財宝がいっぱいに詰まっているではありませんか
これを見た強欲な婆は自分も貰おうと雀の宿へ向かい
そして大きな葛籠を奪うように受け取っていきました。
雀たちから「家に着くまでは開けてはならない」と言われたのに
待ち切れずに帰り道で開けてみると、中から魑魅魍魎妖怪変化が現れた
「ヒェー!たっ、助けておくれー!」
驚いた婆は腰を抜かしてしまい、一目散に家へ逃げ帰りました。
さて、儂はどちらをもらうことにしようかのう?
「新形三十六怪撰」 全作品の関係話完了しました。
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