月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画
見立多以尽(みたてたいづくし)より
『洋行がしたい』
国立国会図書館デジタルコレクション
大蘇芳年筆
詞書
深窓に養われて 掌(たなごころ)の珠(たま)
挿(かざし)の花 と双親(ふたおや)の寵愛ふかく
令弱(おぼこ)と唱(とな)うる 婦女子の身にして
雷名を五大洲(ごだいしゅう)に轟かすものは 何ぞや
学問の功(いさおし)と 品行の正しきが故なり
好文木(こうぶんぎ)の香を慕ふ 野婦(やぶ)鶯も冬枯に
スペルリングの笹なきから 雨雪の中を厭(いと)いなく
勉め励めば来る春に 囀(さえづ)る声が千金の
月給とりとよばるるも 聖経(きょう)読み鳥と尊(とうと)まるるも
唯(ただ)この学びの 一事にある而己(のみ)。
操觚者 轉々堂主人述
五大洲 : 地球上の五つの大陸
功 : 労力をつくして事をなしとげた結果
好文木 : 梅の異名 晋の武帝が学問に親しむと花が開き
学問をやめると花が開かなかったという故事に由来する