オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

見立多以尽 もつと降せたい

2018-12-21 | 見立多以盡

月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画

見立多以尽(みたてたいづくし)より

『もっと降せたい』

 

国立国会図書館デジタルコレクション

大蘇芳年筆 

 

詞書

客の量目(かんめ)をひく三味線の 

糸(いと)し可愛(かあい)も山吹の 色には出(いだ)さぬ体(ふり)ながら

光りをたのむ金春(こんはる)の 雨故(ゆえ)借る簑布団

八重か一重か しら紙に 包んだままの楮幣(ぺらさつ)を 

上から探(おし)て前帯へ はさんで見ても何となく 

済ぬ心の奥の間か 厠にゆきて人しれず 

明(あけ)て尻尾(しっぽ)を古寝妓(ふるねこ)が

転々(ごろごろ)咽喉(のど)を鳴すぞ 怖ろし

操觚者 黄昏舎迂人記


楮幣(ちょ へい) : 紙幣と同じ