月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画
見立多以尽(みたてたいづくし)より
『きれいになりたい』
国立国会図書館デジタルコレクション
大蘇芳年筆
詞書
年立(としたち)かえる朝まだき 霞て青む柳湯へ
よろず吉川町かけて 集う弦妓(げいしや)が左に右(とにかく)と
客の噂のよしあしも なにわの事の何(なん)となく
恋の湊の賑いは みな水船の水性(みずごとか)
冷たい中を極熱く 沸すは胸の焔(ほのお)にて
角ふり立(たつ)る鬼子母神 柘榴口(ざくろぐち)には縁もある
葛藤(もつれ)も竹の箲(ささら)もて 奇麗に流す板の間の
転ぶ気遣いさへなくば 又澄かかる水かけ論
石鹸(しやぼん)の泡と消(きえ)やすき
其(その)争いも娯楽(たのしみ)ならん歟(か)
轉々堂主人戯稿
柘榴口 : 江戸時代の銭湯で浴槽の前方上部を覆うように仕切り
客がその下を腰をかがめてくぐり抜けて浴槽に入るようにした入口のことをいう。
コトバンクより