オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

古今名婦伝 「須磨松風」

2018-06-14 | 豊国錦絵

松風は平安時代初期の女性

生没年未詳

松風・村雨姉妹と在原行平の伝承は謡曲「松風」の題材となった

文久3年(1863)出版  歌川豊国(国貞)絵

 

須磨松風(すまのまつかぜ)

在原行平(ありわらのゆきひら)卿が津の國須磨に左遷された時

潮汲む蜑(あま)の子の中に容優(すがたゆう)に艶(やさ)しく

志量(こころざし)も卑しからぬ女を見つけ

傍らに呼びよせ姉を松風、妹を村雨と呼ばせ

配処の徒然を慰めあういわれは

謡曲(うたい)で誰も知らないものはいない。

此の二人は元讃岐の國塩飽某(しあくなにがし)の娘だったが

継母に憎まれ此の國にさまよい来て

矢田辺郡(やたべごうり)田井の畑という里の

邑長(むらおさ)に使われていたと須磨の人は云い傳え

今も水鏡池に二人の蜑(あま)の墳(つか)が残っている

                     (柳亭種彦記)

支考の句に               

『松風に 新酒をすます 夜寒かな』