オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

古今名婦伝 「千寿前」

2018-06-10 | 豊国錦絵

千寿前(せんじゅのまえ)は平安時代末期の女性

源頼朝の官女で 後に北条政子付きの女房となった

永万元年(1165) - 文治4年(1188)

慶応2年(1866)出版  歌川豊国(国貞)絵

 

千壽前(せんじゅのまえ)

駿州手越宿の長者の娘にて鎌倉殿(源頼朝)の侍女(こしもと)となる

三位中将平重衡(たいらのしげひら)が生虜となって鎌倉に下向のおり

右大将(頼朝)殿は徒然を慰めようと 千寿前に酒副えて遣わせると

重衡卿は殊に喜悦し千寿に琵琶を弾かせ横笛と合奏(あわ)せ

そののちおもんばかりの契りを結ぶが

いく程もなく奈良に送られ 首を斬られたと云う

千寿はかくと聞いて哀愁やる方なく欝悶ついに病となり

久しく煩いて身まかった年廿四歳

顔色の美なる遊藝に拙からぬは云うまでもなく

性志(うまれつき)だが情深き女であったので

惜しまぬ者はいないであろう

         (柳亭種彦記)


崑山集に                        

『ことごとし なりもなついり 庭のびわ』  矢野正恭