千寿前(せんじゅのまえ)は平安時代末期の女性
源頼朝の官女で 後に北条政子付きの女房となった
永万元年(1165) - 文治4年(1188)
慶応2年(1866)出版 歌川豊国(国貞)絵
千壽前(せんじゅのまえ)
駿州手越宿の長者の娘にて鎌倉殿(源頼朝)の侍女(こしもと)となる
三位中将平重衡(たいらのしげひら)が生虜となって鎌倉に下向のおり
右大将(頼朝)殿は徒然を慰めようと 千寿前に酒副えて遣わせると
重衡卿は殊に喜悦し千寿に琵琶を弾かせ横笛と合奏(あわ)せ
そののちおもんばかりの契りを結ぶが
いく程もなく奈良に送られ 首を斬られたと云う
千寿はかくと聞いて哀愁やる方なく欝悶ついに病となり
久しく煩いて身まかった年廿四歳
顔色の美なる遊藝に拙からぬは云うまでもなく
性志(うまれつき)だが情深き女であったので
惜しまぬ者はいないであろう
(柳亭種彦記)
崑山集に
『ことごとし なりもなついり 庭のびわ』 矢野正恭