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柏尾の藤切り祭(大善寺)

2025年05月07日 | 山梨の歴史文化ニュース
ゴールデンウィークみなさんいかがお過ごしでしたでしょうか?
5月5日の子供の日に甲州市勝沼町の大善寺では藤切り祭が行われました。
大善寺といえば鎌倉時代(13世紀末)に再建された本堂(国宝)や、ご本尊である薬師如来像とその脇侍である日光菩薩像・月光菩薩像(いずれも重要文化財)はじめ、山梨県を代表する寺院です。

[大善寺本堂]

藤切り祭は、山梨県指定無形民俗文化財に指定され、国の選択無形民俗文化財(記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財)でもある、山梨を代表する祭礼行事の一つです。

お祭りの由来は、修験道の開祖とされる役行者が金峰山(奈良県吉野)で大蛇を退治し、地域を救った故事にならって始まったものとされています。文化11年(1814)に編纂された『甲斐国志』に記述があり、少なくとも江戸時代には現在とほぼ同じ内容で行われていたことがわかっています。

5月5日は、大蛇に魂を入れる「天狗祭」が行われ、本堂で大護摩祈祷が行われます。
その後、稚児堂に移動し修験者の法力を計る「山伏問答」や薬師如来の十二大願を表す十二本の藤を修験者が投げ撒く「投げ藤」、日光・月光菩薩へ奉納される「稚児の舞」等が行われます。その後、お祭りのクライマックスである「藤切り」が行われます。

[山伏問答]

「藤切り」は、藤づるでつくった大蛇を御神木に吊り下げ、役行者が刀で切り落とします。
切り落とした藤や御神木で使用した藤づるは、無病息災や果実豊作、魔除けの効果がある縁起物として、参詣者に配られました。かつては藤づるを競って奪う勇壮なお祭りの姿も魅力の一つでしたが、コロナ禍をはさみ、去年から配り渡される方法をとっているようです。

[御神体と大蛇]


[藤切りの様子]

もともと藤切り祭も5月8日に開催していましたが、人々が集まりやすい祝日である子供の日に変更したようです。実際、多くの人で賑わっていました。
人口減少による担い手不足等で全国各地では、無形文化財の指定解除や休止が起こっていますが、祭礼行事は、地域の風土や人々の暮らしの特色を豊かに伝えてくれます。
一つでも多くの祭礼行事が、これからも続いて欲しいなと感じる連休でした。

[配られた藤。健康に過ごせますように!]

※祭礼の詳細については、以下の刊行物に詳しく書かれていますので、ご参照ください。
甲州市教育委員会文化財課編2017『国記録選択無形民俗文化財調査報告書 柏尾大善寺の藤切り祭』甲州市文化財調査報告書第20集

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