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やまなし地域文化フォーラム

フォーラムや関連団体の案内や活動のブログです。
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レンガを観察してみた(山梨煉瓦研究ネットワークの活動報告①)

2025年06月04日 | 連携:山梨煉瓦研究ネットワーク
早いものでもう6月ですね。夏を感じる暑い日もあれば肌寒い日もあったり何かと不安定な気候で参っちゃいますが、皆さんも体調管理にお気をつけください。
さて、今回は山梨煉瓦研究ネットワークの活動の一旦をご報告させてください。(活動の趣旨や目的は別途お知らせします)
今回がはじめての活動となりました。
研究会の参加者はレンガに興味のある有志の集まりですが、実はレンガについてはみんな素人・・・
はじめの一歩として大日影トンネルや菱山道路隧道などレンガ構造物が沢山残っている甲州市勝沼周辺を見学に行きました。


[菱山道路隧道]

今回紹介したいのは、甲州街道沿いにある旧田中銀行社屋の土蔵です。大正9年に建てられたようで、瓦葺の屋根とレンガが合わさってモダンな建物です。



レンガを接着させるためにモルタルが使われています。その目地の仕上げ方を観察すると・・・
扉のある正面から写真右側の面にかけては、中央部が半円形をした覆輪目地で、建物裏側や写真左側の面は沈み目地です。


[目地の境目 左側:覆輪目地、右側:沈み目地]


[目地の種類(喜田信代1999『日本レンガ紀行』日本貿易出版 より引用)

沈み目地は一般的な仕上げで、覆輪目地はで丁寧な仕上げと言われ職人さんの高度な技術が見られます。
では、同じ建物なのにどうして二種類の仕上げが見られるのでしょうか?
今回はあくまで一つの仮説になりますが、覆輪目地のある正面と写真右側は建物の外観がよく見える位置にあり、見栄えを意識したからかもしれません。
一軒の建物ですが、色々な気づきを貰えた気がします。

もっとレンガや地域の歴史を理解し、面白さや見どころ報告していきます。
暖かく見守ってもらえると嬉しいです。

フォーラムについてのお知らせが更新されております。
参加申込み方法の変更

第3回は6月15日(日)に開催します!
会場:山梨県立青少年センター別館 多目的ホール
ご参加お待ちしております!
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レンガでできた鉄道施設〜長禅寺架道橋〜

2025年04月09日 | 連携:山梨煉瓦研究ネットワーク

新年度がはじまり、早いものでもう一週間ですね。
山梨から新天地へ旅立った人もいれば、山梨で新しい暮らしをはじめた人もいるでしょう。
そんな私たちの移動を支えるものの一つに鉄道がありますよね〜
特急あずさ号やかいじ号に乗ったことは、みなさんも一度や二度ではないはず?(あずさ2号は現在ダイヤにないとか・・・)

特急あずさやかいじ号の走る中央本線の歴史は、今から120年以上も昔。
中央本線の開通に至る歴史について今回詳細は省きますが、八王子を起点とする現在のルートの建設は、明治29年から工事が始まりました。
その後、明治34年に、八王子から上野原の区間まで開通し、明治35年には、当時日本で最も長いトンネルであった笹子隧道が完成し、明治36年(1903)6月に甲府駅まで開通します。
今日は、そんな近代の歴史を物語る鉄道施設を紹介します。
今回は、紹介するのは、長禅寺架道橋(甲府市)です。場所は甲府五山で知られる長禅寺の山門正面にあります。

現地にいってみるとレンガで作られたものとコンクリート製のものがあります。
レンガ積みの方は中央本線用(写真手前)で、一方コンクリートの方は身延線用(写真奥)でどちらも、現役バリバリの架道橋です。ちなみに身延線の市川大門から甲府駅の区間は昭和3年に完成した区間です。


レンガは江戸時代末期にオランダ人技術者が日本で生産をはじめ、明治時代になると西洋文化の浸透とともに、建築材料として広く用いられるようになり、中央本線が作られた頃の鉄道建築材料はレンガが主流でした。
さて、この架道橋を見てみると、一段ずつレンガの長い面(長手)と短い面(小口)が交互に積まれています。
これは、イギリス積みと呼ばれる工法で、強度に優れた積み方です。
架道橋には隅石が設けられ、石垣の隅角部のように、強化するという実用的な機能のほかに、レンガとの色合いのコントラストで、装飾的な効果を狙ったと言われています。当時の技術力と美意識が垣間見れます。


当初蒸気機関車であった鉄道は、電車へと変わり、もともと単線だった線路も複線化するなど、時代と共に変化していきます。
線路周辺を歩いたりしていると、現在の街並みのなかに溶け込んで古くから活躍する鉄道施設が県内には他にもあります。
普段何気なく見ている風景から近代のロマンを感じれるなんて、少し素敵ではないでしょうか。

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