変人技術士の備忘録(別称:すいりき板改)

技術士の日々の思いつきを列記。
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タテ社会の人間関係 単一社会の理論(Human relationship of vertical society, theory of single society)

2024-04-14 21:45:34 | 読書
 2023年11月頃にKindleで読んだ“タテ社会の人間関係 単一社会の理論”の感想を以下に記す。読んだきかっけはよく覚えていないが、日本社会の問題点が気になった事が一因だったように思う。文体が一般向けでない分、しっかりした構成の文章になっている。日本のことを諸外国と比較して、書かれている話である。ただし、本書で書かれている日本の特徴は単一社会によるもので、日本特有のものではないと書かれており、それには同感である。
 印象に残った単一社会である日本社会の特徴は、「論理的、宗教的でない道徳的社会」である。これをもう少し詳しく引用すると、「次のようになる。日本人の価値観の根底には、 絶対を設定する思考、あるいは論理的探求、といったものが存在しないか、あるいは、あってもきわめて低調で、その代わりに直接的、感情的人間関係を前提とする相対性原理が強く存在しているといえよう。」 この記述を読んだときは、かなり驚いた上に、納得した。一方で、このような社会は、生存に適していない可能性が高いとも思った。個人的には、絶対を設定する思考、あるいは論理的探求が大事だと思っている。ただし、自分は、これらがない、もしくは低調になりやすいと思った方がいい。その上で、自分の考え・行動を規定するようにしていきたい。
 また、「みんながこういっているから」という道徳は、社会がおかれた条件によって変わるもので、根拠として弱いという事に、本書を読んで気付いた。今後は、「みんながこういっているから」を根拠にする代わりに、論理を根拠にするように心がける。おそらく、日本人には、道徳が根拠として弱いという意識はあまりないように思う。
 以下は、「論理的、宗教的でない道徳的社会」の詳しい説明である。
本書にならって、詳しく述べると、以下の通りになる。人と人との関係を何よりも優先するものである価値観は、宗教的ではなく、道徳的である。「みんながこういっているから」「他人がこうするから」「みんながこうしろというから」ということによって、自己や他人に関する考え・行動を規制する。この道徳は、社会がおかれた条件によって変わる、相対的なものである。宗教は、基本的な意味で、絶対性を前提としており、道徳とは異なる。
 別の表現で書くと、単一社会は、社会のおかれた条件により、ころころと考えや行動が変わり、その様は非論理的、もしくは論理性が極めて低調になる特徴を有すことになる。
なお、単一社会がこのような特徴を有す理由は、本書では書かれていない。この理由は、 橋爪 大三郎氏の「シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 世界は四大文明でできている」や「4行でわかる世界の文明」がヒントになると思う。「4行でわかる世界の文明」では、イスラム教やキリスト教のような宗教の普遍的は、あらゆる時間と場所に適用できるもの指している。「4行でわかる世界の文明」の宗教の普遍性と、本書の宗教の絶対性とは同じ意味と解釈している。言語や民族が異なる人達と社会を形成するためには、あらゆる時間と場所に適用できる宗教が必要と思われる。日本のような言語や民族が同じような単一社会は、普遍的な宗教よりも、道徳の方が有用となるようである。また、論理的についても、同様になると思われる。つまり、言語や民族が異なる人達の社会を形成するためには、宗教に加え、論理も必要になると思われる。一方で、単一社会では、論理が低調の方がよいようである。
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