「男子たる者、百世に芳しきを流すことができなければ、まさに臭きを万年に遺すべきである」陳舜臣著:小説十八史略(中)P.516。
「男子たる者、百世に芳しきを流すことができなければ、まさに臭きを万年に遺すべきである」陳舜臣著:小説十八史略(中)P.516。
年功序列や流動性について、時折考えることがある。
思いついた事を整理しておく。
年功序列を基本としている組織の一番の利点は、おそらく組織の秩序を保ちやすい事だと思われる。年功序列だと、クーデターや下剋上のような事が起きにくいので、上層部になれば楽になる。欠点は、実際の能力と本来要求される能力の差が大きくなる事だろう。この差は、上層部になれば、なるほど大きくなりやすい。この差、言い換えれば上層部の能力不足を組織運営の手法や仕組みで解消しようとする。ただし、これには限界がある。
一方、年功序列でなく流動性の高い、言い換えれば実力本位の組織にすると、本来要求される能力のある人間にその職務を担わせる事が通常である。そうすると、その性質上、実際の能力と本来要求される能力の差は小さくなる。実力本位の組織の欠点は、能力を常に問われるわけで、構成員の入れ替わりが激しい。多分、クーデターや下剋上のような事が起きやすい。そういった観点では、組織の秩序を維持する事が難しい。実力本地の組織では、上層部が常に能力がある事を示す必要がある。
個人的な感覚では、血縁や地縁を大事にすると年功序列になりやすく、理念を大事にすると実力本位になりやすいように思う。日本社会は血縁や地縁を大事にしているので年功序列になりやすく、米国だと理念を大事にしているので実力本位の社会になりやすいように思う。
図書館で借りて読んだ“ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか”の感想を以下に記す。仕事の関係で読んだ本である。起業家として名高いピーター・ティールが書いているため、起業の指南書とも捉えられる内容となっている。書名の通り、ゼロからワン(何か)を生み出すための方法について書かれている。べき乗則を理解したうえで、未来を変えられる事に集中することが肝要と感じた。未来は分からないので、無から有を作り出す方法を完全に予測することは難しいように思う。完全に予測できないが、色々な方法論があり、その点は参考になる。改善に終始すると、世の中を変革する事は出来ないため、世の中を変革するような内容を考える必要があるという主張は理解できる。本書で書かれているこういった心構えや考え方、方法論が大事だと感じた。第11章等で、販売や営業の重要性を力説している点は、企業経営に長年携わっている著者ならではの文章であり、その通りだと感じた。最後に書かれている“ゼロから1を生み出すための第一歩は、自分の頭で考えることだ”は、至極当然である。
本書で書かれている考えで特に印象に残った記述は以下の通り。
スタートアップの原則。1.小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい。2.出来の悪い計画でも、ないよりはいい。3.競争の激しい市場では収益が消失する。4.販売はプロダクトと同じくらい大切だ。
ベンチャーのリターンは、正規分布でなくべき乗則に従う(P.119)。我々の住む世界は、正規分布でなくべき乗則に従う(P.117)。べき乗則の例としては、ほんの数社の価値の価値が、ほかのすべての企業の価値をはるかに超える(P.117)。そのため、その数社に投資すべき。
どんなビジネスも答えを出すべき七つの質問(P.204)。1.エンジニアリング:段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発できるだろうか?2.タイミング:このビジネスを始めるのに、今が適切なタイミングか?3.独占:大きなシェアがとれるような小さな市場から始めているか?4.人材:正しいチーム作りができているか?5.販売:プロダクトを作るだけでなく、それを届ける方法があるか?6.永続性:この先十年、二十年と生き残れるポジショニングができているか?7.隠された真実:他社が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?確かにこの質問に5つ以上は答えられないと、ビジネスで大きな成功を収める事は難しいと思う。
つまりゼロから1を生み出すことだ。そのための第一歩は、自分の頭で考えることだ。