春夏秋冬 予告編(っぽいの)
「気の毒になぁ……」
市丸ギンは呟いた。
遠くで霊圧がぶつかり合っている。藍染櫻姫が戦っているのだ。町の人間がほぼ全員殺されてしまい、
魂魄が消滅させられていた。消滅と言うことは生まれ変わりもせず、消えてしまったと言うことで、
無事な魂を探せと櫻姫に言われて探したら、居た。
少女だった。年齢は十代後半、因果の鎖が切れていた。鎖を繋ぐ術をギンは知らない。
町の人間は死亡した。死神によって殺された。
現世では死神というのは不幸の代名詞で黒いフードを被って大鎌を持っている形で描かれているらしい。
ギンは死神だった。向こうで戦っている二人もそうだ。
堕ちた魂を浄化し、残されし魂をすくい上げ、あの世と言われている場所で暮らしている死神だ。
笑っているような、困っているような表情をギンは浮かべた。
いつも笑っているような顔を見せ続け、感情が窺い知れないギンではあるが、
今の表情をあえて形容するならば、惜しんでいた。
死神がやってきて無差別に町の人間を次々と斬魄刀で殺していき、消滅させたのはたまたまだった。
この町はたまたま選ばれて、たまたまそこにいた者達は殺された。
霊圧が、またあがった。
『苦しくない?』
「苦しくないよ」
『無事なのは、この子だけみたいだ』
脳裏に声がする。青色の鳥が飛んでいた。お伽噺で見た鳳凰が青色になったかのような鳥だ。
町全体を飛び回り無事な魂を探してくれたようだが、無事なのは倒れている少女だけだった。
「碧蒼。戦いは終わりそう?」
『そろそろ終わりそうだよ』
「じゃあ、ボクも仕事をするか……貧乏籤。引いてもうたな」
彼にしては優しく、哀れんでいるような声で言った。
ギンは斬魄刀を腰帯から外した。鞘の方を倒れている少女に向ける。魂葬するのだ。
あの世である尸魂界に行っても彼女は知っている者には出会えない。流魂街は広すぎるところで、知り合いの魂を
探すのにも一苦労ではあるが、知り合いを探そうにも魂はすでにこの世界から消えてしまっている。