12月10日と11日、劇団AUNの公演を見てきました(in笹塚ファクトリー)。10日が「夏の夜の夢」、11日が「マクベス」。どちらも再演です。「夏の夜の夢」なんて、昨年やったばっかりじゃないかしら。でも、解釈も変わっていたし、とくに「マクベス」なんて前回と全く違う演出で、とても面白かったです。相変わらず若々しい役者ばかりだしね。
まずは「夏の夜の夢」について書こうと思います。
前は少しわからなかったところが、今回は私なりにわかった気がしました。この芝居、テーマは女の幸せ。そんな気がしました。
前回の公演では、ヒポリタ(領主の新妻)が何故無表情なのかわからなかったのです。物語の最後に、妖精たちが現れてヒロイン3人に子供を抱かせるところもよく理解できなかった。
冒頭でヒポリタの夫、シーシュースが、「力をもってあなた(の心)を勝ち得た」というようなセリフを言うのですが、今回、それを聞いて、ああそうか、って気がつきました。ヒポリタは力づくで奪われて嫁にならんとしているだけで、決してまだシーシュースを心から愛しているわけではないのです。だから彼女は夫となる男を終始冷ややかな目で見つめ、父親や恋人たちの勝手に振り回される美しい娘たち(ヘレナ、ハーミア)を、自分自身を見るかのように、気遣わしげに見つめるのでしょう。なんかそう考えるとすごく腑に落ちるのです。
物語の最後でも、初夜に向けて心はやる男たちとはうらはらに、三人の女たちは不安におののいている。今回は妖精のイタズラでとんでもない目に巻き込まれたけども、またいつなんどき、移り気な男たちのせいで哀しい目にあうかしれないのだから(「溜め息などつくな娘よ/男なんて浮気なもの!」byから騒ぎ)。ところが、妖精たちがその腕に赤子を抱かせると、彼女らは微笑み合い、物語の中で一番の、愛情あふれんばかりの美しい笑顔に変わるのです。あのヒポリタさえが最後に美しい笑みを見せる!結局、『女を強く美しくするのは、しょうもない男どもではなく、我が子の存在』なのかしら、なんて思わされた幕切れでした。
むろん、子供がいなくても、気ままに生きていても幸せを勝ち得ている素敵な女もこの作品には存在します。それは妖精王オーベロンを尻に敷く女王タイテーニア。しかしそのためには、ガッツとパワーと色気とたゆまぬ努力が必要なのだな。おまけに愛嬌までいる。女って、大変…。
ディミートリアス役の谷田歩君はAUNの若手看板だと思うのですが(二枚目だし)、こういう役はぴったりですね。ちょっとエゴイスティックな感じがね、いいんです。うんうん。あとタイテーニア役の森本佳代子嬢もど迫力で良かったなぁ。それからロバ頭ボトム役の北島善紀。ベタな九州弁がえらい面白かったです。この人結構こういう笑わかしの役、多いかも。
一番肝要なパック役は長谷川耕。二枚目看板が谷田歩なら、曲者看板がこの人。前回の公演よりのびやかで、好ましく見られました。
あ、あと忘れちゃいけないのが客演でオーベロン役の横田栄司。初めて見たのですが、男らしくて稚気にも溢れていて、素敵な王様でした。
まずは「夏の夜の夢」について書こうと思います。
前は少しわからなかったところが、今回は私なりにわかった気がしました。この芝居、テーマは女の幸せ。そんな気がしました。
前回の公演では、ヒポリタ(領主の新妻)が何故無表情なのかわからなかったのです。物語の最後に、妖精たちが現れてヒロイン3人に子供を抱かせるところもよく理解できなかった。
冒頭でヒポリタの夫、シーシュースが、「力をもってあなた(の心)を勝ち得た」というようなセリフを言うのですが、今回、それを聞いて、ああそうか、って気がつきました。ヒポリタは力づくで奪われて嫁にならんとしているだけで、決してまだシーシュースを心から愛しているわけではないのです。だから彼女は夫となる男を終始冷ややかな目で見つめ、父親や恋人たちの勝手に振り回される美しい娘たち(ヘレナ、ハーミア)を、自分自身を見るかのように、気遣わしげに見つめるのでしょう。なんかそう考えるとすごく腑に落ちるのです。
物語の最後でも、初夜に向けて心はやる男たちとはうらはらに、三人の女たちは不安におののいている。今回は妖精のイタズラでとんでもない目に巻き込まれたけども、またいつなんどき、移り気な男たちのせいで哀しい目にあうかしれないのだから(「溜め息などつくな娘よ/男なんて浮気なもの!」byから騒ぎ)。ところが、妖精たちがその腕に赤子を抱かせると、彼女らは微笑み合い、物語の中で一番の、愛情あふれんばかりの美しい笑顔に変わるのです。あのヒポリタさえが最後に美しい笑みを見せる!結局、『女を強く美しくするのは、しょうもない男どもではなく、我が子の存在』なのかしら、なんて思わされた幕切れでした。
むろん、子供がいなくても、気ままに生きていても幸せを勝ち得ている素敵な女もこの作品には存在します。それは妖精王オーベロンを尻に敷く女王タイテーニア。しかしそのためには、ガッツとパワーと色気とたゆまぬ努力が必要なのだな。おまけに愛嬌までいる。女って、大変…。
ディミートリアス役の谷田歩君はAUNの若手看板だと思うのですが(二枚目だし)、こういう役はぴったりですね。ちょっとエゴイスティックな感じがね、いいんです。うんうん。あとタイテーニア役の森本佳代子嬢もど迫力で良かったなぁ。それからロバ頭ボトム役の北島善紀。ベタな九州弁がえらい面白かったです。この人結構こういう笑わかしの役、多いかも。
一番肝要なパック役は長谷川耕。二枚目看板が谷田歩なら、曲者看板がこの人。前回の公演よりのびやかで、好ましく見られました。
あ、あと忘れちゃいけないのが客演でオーベロン役の横田栄司。初めて見たのですが、男らしくて稚気にも溢れていて、素敵な王様でした。