米下院、BBB法案を僅差で可決
218 VS 214 トランプ薄氷の勝利
*************************
独立記念日で議会休会を前に、なんと大型減税法(BBB)を下院で成立させようとトランプ執行部とジョンソン下院議長は全力を挙げた。
7月3日、下院は218票 VS 214票で法案を成立させた。
「アメリカを再び偉大に」とキャッチフレーズを刻印した帽子は飛ぶように売れて、日本の政治家でもかぶっている手合いがいる。もじって「日本を再び偉大に」と唱える政治団体も登場した。
かれらのメルクマールが、この法律の成立で、他方、民主党とリベラルメディアは徹底した反対キャンペーンを張った。
政府の歳出を劇的に削減し、外国とは戦争を含めて関与をしない。余計な出費を削減し、政府を効率化する。小さな政府を樹立し、あらゆる規制を見直し、社会主義的政策、大きな政府、一方的価値観の押しつけをやめる。
これをトランプ派「常識革命」と呼ぶ。
ブッシュ、オバマ、バイデン政権に左右を問わず潜り込んで外交と軍事政策を牛耳ったネオコンは外野に叩き出され、軍事産業とウォールが背後にあったディープステートの操作を排除した。
ディープステートとは既存のエスタブリッシュメントのことで、軍需産業とウォール街の擁護者、FRBの利益代弁者である。共和党主流派も混じっていて、チェイニー&ペンス両副大統領をはじめ歴代の国務、国防長官など夥しかった。トランプは、政権から彼らを除外した。
ディープステートと交替した新勢力はテクノリバタリアンとよばれる一連ビッグテックの新興成金である。
マグニフィセント・セブン(素晴らしい七社)と言われるグーグル、アップル、フェイスブック(メタ)、アマゾン、マイクロソフト、そして新顔がテスラとエヌビディア。
これら七社合計の時価総額が市場の三分の一を占めたこともあった。
かれらは民主党支持だった。
それが一転してトランプの流れに便乗し、小さな政府、暗号通貨に乱入してきた。フィクサーはピーター・ティールだった。
「高関税は美しい」と叫んでアメリカの貿易政策を改革(改悪?)するのも狙いは中国だった。日本などは巻き添えを食らったと言えなくもない。
「大減税」を言い出した源泉(元凶?)はピーター・ナバロである。大幅減税は民主党が反対し、共和党が賛成。テクノリバタリアンたちは、もちろん諸手を挙げて賛成だ。
この減税のシナリオを書いたのはアーサー・ラッファーらだ。レーガン革命の経済政策に深く関わった
減税法案をトランプはBBB(ビッグ・ビューティフル・ビル)と呼称し、上院で51vs50で可決されていた。
メディケイドやフードスタンプなどのプログラムへの支出削減や、「クリーンエネルギー」税額控除を廃止する内容は共和党のなかでも意見の相違がある。
BBB法案の中で、共和党議員のほとんどが反対していないのが軍事費の増額である。軍事費の増加は、戦争に資金を浪費するのをやめるというトランプ大統領の約束と矛盾している。
しかしトランプは「軍事費の一部は国境警備に部隊を派遣するために使われます。私は国境警備の強化を支持します。つながります」として議員らを説得してきた。
トランプ、薄氷の勝利となった。
□☆△み◇☆◎◇や△□◎☆ざ△◎☆き◎☆△◎
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和七年(2025年)7月4日(金曜日)弐
通巻第8857号 より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます