走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

住む環境と糖尿病

2016年11月01日 | 仕事
糖尿病のコントロールがメチャクチャだった彼。重症の精神病があるのに施設で出会った彼女との二人暮らしを始めた。お互いに自立して生活できる能力は低く、生活はひどい様だった。そして施設へと移り住んだ。

しかし、そこには24時間在住のスタッフはいるが看護師ではなく、薬を飲むように促すだけ。インスリンは薬局に雇われている准看さんが1日一回訪れて、血糖値を測り、1日1回投与のインスリンを打ってもらっていた。

食事は1日2回用意されている。しかし彼は外食をしたり、出かけていて准看さんの訪問を逃してインスリンの投与ができない事が度々、高血糖で入院。退院後も酷かった。

で、看護師のケアが24時間ある施設へ移動。1日4回血糖値をチェックしてもらい。インスリンも2分割。食事は1日3食とおやつが2回。彼の血糖値はみるみるうちに改善されていった。

ところが彼の弟が施設のスタッフと度々喧嘩というか誤解というか。そういう事もあり私の患者を引き取ると言い出した。しかし糖尿病の知識はゼロ。ケアマネも時間をかけて家に引き取るより他の施設を勧めたが、聞く耳持たず。退院の日取りが決まり退院時処方がいるからと、ケアマネから1週間前に連絡が入る。

ちょっと待ってよ!どうして退院の話が出た時点で、相談してくれなかったの?!ケアマネはメンタルヘルスが専門。その上カウンセリングがバックなので内科的な知識はゼロ。糖尿病や腎臓病の事はあまり知るわけない。糖尿病の管理は?あーだから糖尿病教室への紹介状を書いてください、って。6週間のコースが終わるまでは誰が管理するの?インスリンだよ。まったく知識のない人に委ねるわけにはいかないよ。インスリンはしません。血糖値も調べませんって。2分割から1回投与に切り替えてって。急に言われてできるものじゃないのよ?!

でもね、患者は自分の意思でいつでも施設を出て行く事が出来るから、誰も引き止められないの。ケアマネに怒ったて仕方ないし。次に活かしてくれたらいいよ、、、、。こんなケースがあったらファミリーカンファレンスをして呼んでちょうだいね。プライマリーの視点から弟に話せるから。

とりあえず経過はしっかりカルテに残し、退院の前に診察に来てもらい。ハイリスクな選択をしていることに一筆サインしてもらいます。訴えられたらたまりませんから。


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