『鈴井の巣』って『水曜どうでしょう』とは違うの？---民生プロデュースで大泉デビュー！？ その３

先日の『寺田』ライブの開催を事前に知ることさえ出来なかった。ちょっと悔しい。今度こういう情報があったら逃さないようにしたいな～（と言って、私の頭にファンクラブへ加入するとかそういう考えは希薄）と思い、とりあえず周囲のアンテナの感度をあげることにした。

具体的には、親しい友人には事あるごとに、民生ファンであることを告げる。これだけ。
しかし、かつての私は非常にシャイな乙女（つっこみ不要）だったため、自分の好みを周囲に言わなかった。周囲に好みを知らしめる。これだけのことがどれだけ多くの福を呼び込むことか・・・今になって痛感している。

比較的そっち方面にも詳しそうな、水兄にもメールにて悔しさを訴える。でもこの人はちょっと文面を工夫しないと、「はいはい」で流しそうだなー。
戦略を練ること数分。水兄の好みそうなキーワードを散らばらせ、一緒に悔しがってもらう作戦に出た。

■みお→水兄
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> 元ジュン・スカイ・ウォーカー（ズ）の寺岡呼人と、元ユニコーンの奥田民生のユニ
> ット「寺田」が28日、一夜限りながら『Golden Circle』と題された12年ぶりの再結成
> ライブを東京・渋谷区のSHIBUYA-AXで開催した。
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> 寺岡呼人ってゆずのプロデューサーしてた人なんだけど、飛び入り出演もめちゃ
> めちゃ豪華なメンバーで、フジファブリックの志村、トライセラトップスの和田、
> ミスターチルドレンの桜井が共演したんだって。
> このライブのこと、全然気付かなかったよ。悔しいなぁ。
>
> 寺田って、かぐや姫とか吉川晃司沢とかヒデキとか田研二とかビートルズとか、懐か
> しい曲をアレンジ加えて演奏するの。ミスチルのマイナー（桜井さん、笑いなが
> ら曰く）な曲『LOVE IS BLINDNESS』も演奏されたって。すごい行きたかったなぁ・・・。

（※太字部分が、水兄の関心があると思われる部分）
と書いて送信。暫くして返信があった。

■水兄→みお
> 民生、バリから帰って来たんだね！
> それは見たかったなー！

えー・・・、ごくごく一部の関東に住む人たち（私たち以外にいないのだが）の間では、民生は２月はバリにいた事になっとります。
まぁ、とりあえず見事に食いついて来てくれたので、今度こういう機会があったら、見ることができるかもしれない。できないかもしれない。

そんな訳で話はつながらないが、５年前の放送『鈴井の巣』の書き出しの３回目をお送りする。歌手として紅白に出場し、北海道を脱出するのだ！（♪オラ、こんな村やだ～って曲が思い出されるなァ）と鼻息の荒い大泉洋が、いよいよプロデューサーの民生と面会する。自作の歌詞はどう評価されるのか！？

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スタッフ：大変長らくお待たせいたしました。民生さんがいらっしゃいましたので。
鈴井：じゃあ、大泉さん、頑張って。
大泉：（無言。両手で前髪を後ろに投げ上げるようにして、気合を入れる。）

テロップ「ご対面」
画面真っ暗。ドアをノックする音が響く（コンコン）。　

大泉：失礼します。（真っ暗な廊下から大泉がドアを開けると、室内からの光が漏れる。大泉が何度もお辞儀しながら入室。背後からカメラが追う。大泉が着用してる青いジャージの背面に「鈴井の巣」のデカいロゴマークが確認できる）あ、失礼します。（またお辞儀する）

部屋は、縦に細長い会議室で、一番向こうに民生がこちらを向いて座ってる。深緑の地に太い白いラインが入ったニット帽、薄茶のグラサン、ベージュのちょっと毛羽立った厚手ジャケット（遠目には、ユニクロのフリースに見えた）、ジーンズ。残念ながら足元は見えず。（民生のファッションはシューズにこだわりがあるっぽいのだが）

テロップ「プロデューサー　奥田民生」

民生：初めまして。
大泉：初めまして。（ドアの前で立ち止まる。もっと近づけばいいのに…）
民生：（イスから立ち上がる）奥田です。（お辞儀する）
大泉：お噂はかねがね・・・。（スタッフが「お噂って何の？」と小さく突っ込む）
民生：あ、どうも。（お辞儀する）

２人は席に着かず、立ったまま。大泉は手に持った自作の歌詞に目を落としていて、民生を見ることができない。緊張？ さっきまでの勢いは何処へ？（笑）

民生：あのー、詞は。
大泉：はい。（スゴク神妙/声をかけられ弾かれたように、気を付けの姿勢になる）
民生：・・・書かれました？（タバコを吸う。）

テロップ「FAX届いてない・・・！？」

大泉：あ・・・もちろん、かかかか、ん゛っっ、書きました・・・２曲ほど・・・あれ？ Fax届いてません？ Fax送ったんですけど。

緊張のため、途中で言葉を変に飲み込んでる。民生、視線を机に落としてちょっと考えてる様子。

民生：（小さく）あっ。・・・これかなぁ？

民生はジャケットの右ポケットから、くしゃくしゃに丸めた紙を取り出し、広げる。（スタッフ笑）
テロップ「！？」

大泉：ちょっと待ってください、何してるんですか！　ちょっと待ってくださいよ！（民生に近付く）
民生：（広げて）これだ。
大泉：いやいや！（民生から用紙を奪って内容を確認）これですよ！
民生：これだこれだ。あ、ごめんなさい。
大泉：何してるんすか！『負け戦』！

民生、左のポケットからもう一枚、同じようにくしゃくしゃにまるめたものを取り出す。
テロップ「もう１枚・・・！！」

大泉：あーっ、ちょっと待ってくださいよ！ 僕の！
民生：ファンレターかと思って・・・。
大泉：違いますよ！ 『かじき』ですよ！
民生：変な奴かと思って・・・（画面くしゃくしゃにされた『カジキ』の歌詞のアップ）
大泉：いや！ ファンレターって民生さんのこと、一コも書いてないでしょ！（スタッフ爆笑）

どーーーよ。洋ちゃん、一気に民生と打ち解けられたよ。って、私がエバることじゃないが。
やさし、民生。

テロップ「本題」
仕切り直しという感じで席につき、まじめに打ち合わせる２人。

民生：演歌・・・。
大泉：はい。あのー・・・やっぱり、世に出るんであれば、僕は演歌がいいかなと。
民生：ただ・・・その、演歌で紅白に出るのは、競争率が高いじゃないですか。
大泉：はははは・・・（軽く笑う）。
民生：紅白は演歌が多いじゃないですか
大泉：はいはい。
民生：やっぱりね、ただの演歌ではダメなんじゃないの。

テロップ「民生プロデューサーの提案ただの演歌ではダメ！」

民生：新しい風がね・・・。
大泉：新しいものを、盛り込んだつもりでは、あるんですけども。
民生：そうなんですよね。（そうなのか？）
大泉：魚をそのまま書いてる人って、あんまりいないと思うんですよね・・・。（スタッフ/小さく笑）
民生：まあねぇ。（スタッフ/はっきり笑）

テロップ「『かじき』新しい風のつもり・・・！？」

大泉：誰でもなく、その魚を・・・。
民生：確かにちょっと、『黒いボディ』とか書いてますけれども・・・。うーーーん。歌詞は、まあ、これでいい・・・かどうか分からないけど、直すかもしれないですが。後はこれはやっぱり実力を、歌の。
大泉：あっ、はい。（ちょっと元気になる）
民生：・・・それをまず見ないと。僕はこれははっきり言って、実力を見ないでOKしたから、Puffyは失敗しました。
大泉：だはははは・・・！！（天井を仰ぎ見て大笑い）

テロップ「パフィーは失敗！？」カーーーン。
大口開けて笑うPuffyの写真。もうちょっとかわいいの使ってあげて・・・。

大泉：Puffyは大成功じゃないですか！？（さっきと違って、明らかに声が大きくなってる）
民生：同じ間違いは二度としちゃいけない！

大泉大爆笑。民生もつられて笑っているが・・・。
ここに、こんな証言がある。確か民生の『武運』（昨年復刻版が登場）に収録されている内容だと記憶しているが、Puffyのご両人からのコメントだ。「民生さんからは、（君たちはあまり歌が上手ではないから）とにかく大きな声で歌えと教えられました」と。
……この話、冗談ではなかったのである。

民生：同じ間違いは二度としちゃいけない！（スタッフ/笑）
大泉：Puffyは、大成功じゃないですか！！
民生：あれは歌は一切聴かなかった。写真だけ見て「行こう」なんて言っちゃって。それでちょっと失敗した部分もあるんで。
大泉：僕は演劇やってますから。
民生：なるほど、発声はちゃんとしてると。
大泉：だから、わりとその・・・オペラみたいな歌いっぷりができます！！（スタッフ笑）

テロップ「オペラみたいな歌いっぷりしてる洋ちゃんの図。なぜか青いジャージを着用」

民生：歌ってみてくださいよ。（イスごと鞄のところへ移動し、愛用のギターを取り出し、戻ってくる）ちょっと考えてきたんで……。
大泉：えーっ！もうですか！？

テロップ「曲はもう出来ている！？」

民生：演歌ですからね。（ギターを鳴らす/ジャー――ン）まずじゃ、僕が……歌ってみますから。（言いながらちょっと噴出す。・・・あれ？ 笑ってる？）
大泉：いいんですかぁ！？
民生：あ、ちゃんと覚えてくださいよ。

テロップ「民生が『負け戦』を歌っていいのか！？」

*

という、非常にいいところで、今回はここまで、また次回♪