群馬県桐生市
平成25年3月9日登城。
花粉症にもめげずに桐生の城砦跡巡り。
本日のメインは平成4年に国の重要文化財に指定された【彦部家屋敷】。
茶臼山を下山し歩くこと、30分くらいか。
立派な土塁が目に入って来た。
彦部家は第四十代天武天皇の皇子である高市親王を祖とする家系。
その子孫が奥羽・関東に下向し、13世紀頃、この地に館を構えたと思われている。
戦国時代の彦部家は強力な軍事力を有した存在でもなく、由良氏と桐生氏の戦闘の狭間で ”皇族を祖とし 室町将軍家とも近親な家系”として、リスペクトされた存在であったのであろう。
そのことが在郷勢力や後北条氏絡みの争いに巻き込まれず、戦国を生き抜き今日まで家系を保てた理由と思われる。
某団体の見学会にて同屋敷を訪問、高市親王から数えること49代目にあたるご当主のご挨拶も。
中世豪族の館がそのまま近世に受け継がれたため、敷地内には江戸時代や明治時代の建物群。
織物の盛んな桐生の地で、当家も織物の殖産に貢献。
工場の跡も残る。
中世豪族居館跡と近代日本の産業遺構が重なる光景。
桝形構造の搦手口。
屋敷東北隅の櫓台跡。
北側から西の手臼山山麓に続く空堀、以前は3m以上の深さがあったという。
源義国勧進と伝わる竹ヶ岡八幡宮、手臼山へ続く竹藪。
ひとしきり見学を終え、「冬住み(国指定重要文化財)」で、お抹茶と和菓子を頂く。
中世から近代までの歴史が凝縮された遺構を、今日まで守ってこられた関係者の方々には敬服する。