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覚書あれこれ

かつて見た映画、かつてやったマイナーゲームなどの覚書と単発ラクガキなどなど

主に方言について

2009年01月15日 | タワゴトと萌え語り

私信:<S様 

おお、疑問への答えありがとうございます!
そうか、茨城、栃木、群馬(50音順)の間にはそのような感情が!
(「わざわざ栃木茨城に就活に行く必要性は」→説明を受けるとなるほどなと。
他2県の話題についてわざわざ自分から掘り下げる気にならない、というのとあわせて、微妙で複雑なアレなのですね)
埼玉、千葉、神奈川への劣等感は首都に近いからでしょうか。
思わず近畿で考えてしまいましたですよ。
京都が隣だとほんのり嬉しい気はしますが、
基本的にどこの隣でもやっぱり嬉しいしイヤではないなあ。
でも、京都や大阪(要するに府)の人だと思われると申し訳ない気持ちにはなります。
ごめん、アタシもっと辺境に住んでるの。
大阪の人ほどパワフルでも面白くもないし、
京都の人ほどクールでもイケズでもないのよ。
(↑勝手にそんなイメージがある)


 

でもって案の定、方言にハァハァ致しました(わー、キモい、この人)。

 

是非とも目の前で話して欲しーい!…と思うけれど、萌えのあまり
顔がにやけちゃってドン引きされるのも困ります…(何の心配)
でも、文面で見てたものを実際聞くとまた違った感慨が(催促すんな)。
(ちなみに、聞いて分かりそうなのは、うっちゃる、燃す、すえる、そうなん、よいじゃーねー、くらいでした。
b、とか、mみたいに、一度唇を閉じる語の前がンになるのですね。
理に適っています。
後、ちょっと前に読んだ本で、まさに「イグ」系の濁る言葉というのが
実は日本語の古い形が残ったものだと知ったところだったので、
「おおおおお!これか」と妙に興奮しました!
すごいですよ!由緒正しい日本語ですよ!!)

 

わたしは方言も方言話者も大好きですが、
違う方言話者同士の相互理解のツールとしての標準語は確かに有効だとは思うのです。
なので、方言と標準語、両方習得して使い分けるのが一番だと思うのですが、
近年、メディア(特にテレビ)の普及で急速に方言が消えて均一化していってるのが、

本当に惜しい、Mottainai(C・ワンガ●・マ●タイ)

(自分の話す方言からして、随分標準語化しちゃってます。堕落や…)
なので、方言が残ってると聞くと「よっしゃ!まだ大丈夫!」と大いに燃えます。
政府は方言保存委員会を結成すればいい!
ノーモア標準語化!!
(落ち着け)

 

おまけの萌え語り:
職場に京都生まれの若干お年を召した方がいらっしゃるのですが、
その方の言葉がまたカワユらしくって。
本人にその気はなくてものんびりゆっくり話しているように聞こえます。
毎回ハアハアしていることを悟られないのが大変です。
特に好きなのが「しぃ」。
「私がする」といった言い切りの語形の時必ず

「ぼくがするしぃ」

と語尾をぼかさはるんです。
「し」、で切るから続きがあるのかと思って待ってたら反対に
「え?まだなんかあんの?」
みたいな顔をされ、何度「それで終わりやったんかい!」と心の中でツッコんだかも知れませんが、

全部カワイイから許す。

 

②昼休憩時にこの辺りの方言「ごうあく」の話になって
(※非常に腹が立つときに「ムカつく」と同じような感覚で使われる言葉。
ワタシにはあまりなじみのない言葉ですが、聴いたら分かる。)
一体どういった漢字を当てるのかひとしきり皆で悩みました。
「業悪」?「強悪」?

 

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神社でご利益!

2009年01月09日 | タワゴトと萌え語り

正月に初詣に神社に参って、楠正成が祀られてるのとかを見つつつつつらつら思いました。

 


「日本だったら確実にヘクトール、神社に祀られてるよな~」


 

いや、日本には「御霊信仰」ってあるじゃない?道半ばに亡くなった有名人が祟らないように祭るってやつです。
こないだ読んだ本によると実際ヘクトールってば塚に祀られて崇拝されてたらしいし。

 

⇒というわけで、もし「ヘクトール神社」があったらどんなのか考えてみた。

 

 

「ヘクトール神社」
主祭神がアポロンの神社に、合祀されてるヘクトール。
境内にはヘクトールの愛馬の像とか建ててあったりするんですよ。
ご利益があるのは

「家内安全」、「無病息災」、「安産祈願」(アンドロマケーやアステュアナクスとの逸話から家庭円満関連のご利益は豊富なヘクトール)
「健康祈願」(なんとなく)、
「厄除け」(アキレウスに殺された彼ならではのご利益です)


 

ついでにアキレウスも考えてみた。

「アキレウス神社」
あれだけビッグネームなので、彼は単独で神社を持っててもおかしくないですが、抱き合わせで祀られてるとすればやはり母親(テティス)もしくはネレウスでしょうか。
ご利益の筆頭はなんといっても


「必勝祈願」、「諸願成就」

そのため、アキレウス神社は戦前はさぞかし軍人さんの信仰を集めたろうと思われます。
現代に入ってからは、
「恋愛成就」(数々の浮名にあやかって)
のご利益が有名になり、若者たちの観光コースに。
反対に、あの潔い太刀筋でなんでも断ち切ってくれそうなので「縁切り神社」としても人気を博していそうです。


 

おまけのおまけ「オデュッセウス神社」
おまけではあるけど、実際に、古代ギリシャで3人のうちの誰が一番祀られてたかと言われたら、実はオデュッセウスじゃないかという気がするんだ。
ていうか、『イーリアス』成立前に既にいろんなエピソードを持ってたっぽいじゃない。
イタリア半島にまで伝説が残ってるしさ。(だからあんな放浪話作られたのよきっと)
もともとオデュッセウスにはなんか有名な核となる前身があったんじゃないかという気がするんだけど、まあ、今はどうでもいい。

 

合祀はアテナでしょう。次に因縁深いポセイドンと合祀とか、ペネロペイアとワンセットとかでもいい。
ご利益は、
「合格祈願」「学業成就」(順当に)
「商売繁盛」「財運上昇」
「ギャンブル」「開運招福」(…なんか、えべっさんか大黒さんみたい……)
「家内安全」(ペネロペイアのおかげです)
など色々あれど、やはり一番はこれ

 

「交通安全」

 

特に、遠い場所に旅に出る場合などにご利益があります

 

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夢の配役メモ

2008年11月19日 | タワゴトと萌え語り

こないだお会いした時にゲットしたプリュダマスとヘクトールの生絵を見ていたワタクシ、しみじみと「便宜的に自分でヘクトールとプリュダマス描いてるけど、ワタシの二人のイメージって某Thさんとこの二人がドンぴしゃりなのよネ。あーもう代わりに描いて欲しい~ッ☆」などと、考えておったのでございます。

他にもあるの!誰も別に知りたくないだろうが書く(これぞ自己満足!)

「この配役がワタシの理想♪」

 

アカイア方

アキレウス…NK様 C様やTh様んちのアキレウスも大人っぽくて素敵なのですが、どうも若い印象が強くて。最近サイトのTOPを飾っているS様んとこのパロのアキレウスもものすごいイメージに近い。

パトロクロス…C様んとこの彼。サルペドン様と並ぶ素敵な殿方ですわ。

ネストール…またまたNK様。あのじじいを見るたびハグしたくて溜まらんのです。

メネラオス…NK様。だってかっこいいし。

オデュッセウス…Th様。スケブの後ろにちらっと描いてあったこやつの顔がなんたることが超絶かっこよかったんです(たとえて言えば羅馬じいちゃん並みのセクシーダイナマイツ!)。

 

トロイア方

ヘクトール&プリュダマス…Th様。わたしの中でこれ以上の二人は存在しない(言い切りよったでこの人)

サルペドン…C様。「サルペドン様」と必ず様を付けずにはいられない男前ざまス!

 

神々

ヘラ様…F様。美しい上にカワイイなんて!

アテナ様…NK様。是非ともアレスとセットでお願いしたいと思います。

ディオニュソス…F様。ディオニュソスはどなたのも良すぎて選びづらかった…

アポロン…S様。反対にアポロンはダントツでもうこの方しか!となるとアルテミスもセット売りで!

ハデス&ペルセポネー…Kr様。この場合デメテルもセットでお願いしたい!

 

以上。

夢のようだわ…。この配役でギリシア神話の漫画とか超読みたい…(まさにタワゴト)。


名前萌え

2008年07月08日 | タワゴトと萌え語り

何かの名前をステキだと感じるときって、個人的に2種類あります。

①その名前を持つ対象への好意が反映されて、ごく平凡な名前であるにもかかわらず素敵に思える場合
②名前自体の音が自分の好みである場合

 

①の場合、田中、木村、ジョン、スベン、リチャード、メアリー、太郎、幸一、あき子、節子、なんて最高です。
でも、今日はその萌えを語りたいわけでなく、②の場合の、それ自体で素敵だと思う名前について叫びたいと思います。
つまり

 

「グントラム」ってステキな名前じゃない!?

 

高校生のときに読んだ『アルフレッド王の戦い』という児童文学に出てくる、アルフレッドの敵のデーン人の名前です。
わたくし、それ以降も数々の本を読みましたが、いまだこれを凌ぐ名前を見たことがありません。
まず、わたくし、濁音が入っている名前にときめきを感じます。
(濁音が先頭に来ているとなお良し)
あんまりかっこよすぎず、間抜けな感じを残しつつ渋い名前が好きです(ぽっ)
ペルシャ神話の名前も良いと思います。ザッハークとか、ジャムシードとか。
アラビアンナイトのシャー・ザマーンとか、カマラルザーマン、などもいいと思う。
残念ながらギリシア神話では名前自体を素敵だと思うことって余りないのですが、その分、①の理由で好きな名前は数多いです。
(ポセイドンやシシュポスが好きなのは明らかに①の理由による。
名前だけ取り出したら日本人の感覚からしたら可也間抜けですよね、この両者。
①の場合は、間抜けな名前がその名前の持ち主の魅力によってみるみる素晴らしく思えてくるそのギャップにも萌え要素があると思います)
ちなみに、日本語だと、源三郎とか幸蔵など渋いと思う。
ハングルの響きも好きです。モンゴル系のテムジンとか、タグタイとかそういう名前にも
ロマンを感じる。…なんか、節操なくなってきたのでこの辺でやめときます。

あー。すっきりした。


『アキレウスの怒り』について

2008年04月27日 | タワゴトと萌え語り

『アキレウスの怒り』について
ていうか、ホメロスファン語り。ごめん!萌えを吐露させて!

※再三言ってるとおり、作者ホメロスについては諸説ありますし、個人的にも『イーリアス』が『アエネーイス』のように最初から最後まで厳密に一人の作者の手になるとは思わないのですが、とりあえず不便なので『イーリアス』『オデュッセイアー』をこういった形にした大本の人に対して「ホメロス」と呼んでます。



●全体的な構成について

 『イーリアス』は冒頭でいの一番にホメロスが宣言しているとおり、アキレウスの怒りを中心にすえた叙事詩です。
 なので、構成もアキレウスが怒った原因からはじまって、その怒りが治まるまでを謡っています。ワタシ、お恥ずかしながら教養もさほどないし良い文学がどういったものなのか、単に面白い面白くないで判断してはいかんのか、よく分かりません。なので、『イーリアス』に対しては、深い思想でもなんでもなく、単純に、「きれいにまとめてるなー」と、感心してしまいます。

 さて、この主軸のアキレウスの怒りについて。
 最後のプリアモスの訪問で怒りが治まる設定になってるのがまず素晴らしい。
 途中9歌、アガメムノンが謝りに来たとこでおさまってたら話としてありきたりで面白くも何とも無いじゃないですか。それでも治まらなかった激しい怒りのせいで、味方が危機に陥り、そのことが親友の死を引き起こし、その親友の死でアガメムノンへ向かっていたアキレウスの怒りが友の敵へと転化してさらに純化し、彼を殺しても収まらず、空虚さだけが残り(アキレウスの怒りが最愛の友を殺したという皮肉)、最後、その怒りはプリアモスとの対面でようやく漸く静まる、というのが、いかにも聴衆の心に訴える運びになっていてこれまたうまい!


 上述のように、アキレウスの怒りという原因がさまざまな結果を引き起こす筋の妙の他に、物語をトロイア戦争の全体(始まりから終わり)でなく、トロイア戦争を「アキレウスの怒り(その始まりから終わり)」で捉えなおした視点の置き換えも素晴らしいと思います。
 戦争9年目の話ながらそれまでの出来事は回想や登場人物の説明でちゃんと聴き手に分かるようになっており、また、『イーリアス』後のアキレウスの死やトロイアの陥落は、前者はパトロクロスの死に重ねることによって、後者はヘクトールやプリアモス、カッサンドラーの暗い予想のなかに暗示することによって、実はちゃんと説明されています。トリッキーなのですが、時間にして短い分勢いがあり、トロイア戦争の出来事を時系列に並べて語るよりも聞き手の心に訴えかけます。聴き手はその臨場感に否応なく物語に巻き込まれ、聞き終わった後も余韻が残るのです。


 その上、場面の配置も物語を引き立てていると思います。うまく説明できませんが、やっぱり面白い物語というのは順調に運ばないものです。それぞれ登場人物たちが起きた事件にその都度心を大きく揺さぶられ、その動揺に聴衆も同調するものです。だから、起伏がないと。かといって、起伏ばかりでも面白くない。麻痺してしまって皆同じ場面に見えてしまいます。
 その点、『イーリアス』では、動ばかりでなく、静かな場面を上手に間に挟んであるのがまたうまい。6歌のヘクトールとアンドロマケーの対話や、23歌あたりのアキレウスと死せるパトロクロスの会話、24歌のプリアモスとの対面など、戦闘以外の場面に聴き手はほっと息をつくし、他が動的な戦いの場面だけに静かなシーンたちがいっそう強烈に心に残ります。

 途中の天上の神々の場面などは、「流れをぶった切るから要らん」という意見もありますが、ちょうど神々の行動がそのまま人間たちの行動に反映されていて、場面を強調しており、人間達にとって大事なことでも神々にとってはお遊びのようなものだ、というある種の無常観なんかも感じられ、いいのではないかと思います。これには、ホメロスの時代の聴衆たちの神々の捉え方なんかも関わってるだろうし、何より個人的にそんな天上シーンも好きなので、わたしは個人的には好きですよ。

 2歌あたりで城壁の上でヘレネーがプリアモスにアカイア方の将たちを紹介するシーンに関して、常識的に考えたら、10年も戦ってるわけだからプリアモスは知ってて当然だからこのシーンがここに入るのはおかしい、という指摘に対する反論としては→
確実にこれは聞き手に対する心配りなのだと思います。それぞれの登場人物がどういう人か、というのを序盤に簡単に紹介しているのです。

 

●アキレウスの性格設定について

 そういうわけで、アキレウスの怒りについて語っているからにはアキレウスには休むことなく全編通して怒り続けてもらわないといけないわけで、それでああいった激しい性格を付与されているのだと思います。 が、これがまたうまい!24歌通して怒り続けるなんて普通に考えるとちょっと考えられない怒りっぽさですがそれを無理なく設定していると思います。女神の息子で、潔癖で、気性が激しく、気位が高い。

 アキレウスは、多分これまで自分に非があるような行動をしてこなかった人なんだろうな。自分に対して恥じることが何もないのだと思います。でも、普通の人間はついよろめいて悪を行ってしまい、後で後悔して、気まずい思いなどするものです、そんな思いをしたことのないアキレウスは当然そういった苦さや困惑を慮ることが出来なかったろう。その代わり、そうあるために、アキレウスの方も相応の骨を折っていたはずだから、アキレウスは自分の生き方について誇りを持っていたろう。面倒で大変でも常に自分が正しいと思うことをしてきた、ということはアキレウスの自信でもあったと思います。
 ただ、彼は女神の息子なので普通の人間よりよろめく度合いは少なそうな気がします。卑怯さや弱さに対して普通の人間よりはるかに敏感で、潔癖で、共感できなかったのだろうなと。自分に厳しい分、他人の弱さにも不寛容であったろうと想像します。そして、感情が純粋で、普通の人間のように色々雑多な思いが交じり合った煩雑なものではなかったのだろうなと思います。彼にとって怒りは純粋に怒りで、嘆きは純粋な嘆きなのだろうな。


 対するアガメムノンは間違いもよろめきもする普通の人であるのだと思います。勿論自分で間違いに気づくこともあったろうし、意外とそれで自分が悪かった、と反省することもあったように見受けられるのですが、彼だって良い家柄に生まれて王であるように育てられたわけですから、それなりに見栄やプライドがあったろうことも容易に推測できます。
 きっと、たとえ自分が悪いと自覚していても、間違いを人から指摘される事は我慢ならン人だったのですよ。総大将、という立場上、言われるのを黙っているのもどうかと思いますし。つまり、アガメムノンもアキレウスに対して引き下がれない立場と性格であったわけです。
 

なので、怒る本人と、その怒りの対象である人という、相対するポジションにこの二人を持ってきた、というだけでもうワタシホメロス先生にはひれ伏してしまいそうなのです。起こるべくして二人の確執は起こり、アキレウスは彼なら当然そうするように激しく怒り、24歌で実に人間らしい優しさを見せつつ怒りを納めるわけです。(単純に関連付けるわけにもいきませんが、怒りを宥められて慈しみの女神に変ずる復讐女神たちとか、日本の、荒御霊が祭られて和御霊になったりする習俗も頭の隅っこに浮かびます)

 そういうわけで、他の叙事詩では別に怒ってる必要はないですから、アキレウスはまた違った性格でもいいかも知れませんが、ホメロスの『イーリアス』においてはアキレウスはああでないといかんのです(断言)。


 …とはいえ、
 わたしも初読時は「…まだ怒ってんのか、しつこいなあ」とか、「よう精神力続くなあ」とか、「周りの人大変やな」とか思っていました。(周りの人が大変だな、とは今も思う)。ですが、慣れてくると段々あの怒りっぽいアキレウスが好きになってきました。


 いや、むしろあのくらい激しくないとアキレウスじゃない!

 彼の魅力はあの炎のような激しさなのだとも思いますし。燃え続けないと炎は消えてしまいますもの。そのくせ時に水のような透明さなんかも垣間見せたりなんかして、ほんとうにアキレウスってば不思議な子…
 強烈な偏りはまた強烈な魅力でもあります。ホメロスはほんとうによくそこんところを心得た人です。

 

●パトロクロス


 アキレウスのそういった特性について、一番理解していたのがパトロクロスなのだと思います。アキレウスにとって、パトロクロスは代えの利かない唯一無二の存在だったのだろうと思います。だから、彼の死に際して、彼を殺したヘクトールへの怒りはアガメムノンに対するそれをはるかに凌駕してしまったのだろうと。

 

●ヘクトール

 アガメムノンとは対極にある人ですが、やはり、アキレウスとも対極にある人です。
 女神の息子であるアキレウスとは違い、ヘクトールはあくまで人間です。弱さを自覚して、その上で責任を負おう、強くあろうと努力を重ねる立派な人ですが、やはり色々な感情に揺れ、間違いも犯し、時に流されそうになったりもします。その分アキレウスよりは人の痛みの分かる人ですが、礼儀を守り、模範的であろうとする特質は「都会的」な弱さでもあります。
 他人の妻をさらい、結婚の正義を破ったとして、全面的に非難される側であるトロイア勢に、妻や息子や父母に愛情深く、不肖の弟も見捨てられないヘクトールのような人物を配置するなんて、ホメロスめ……。
 人間らしくない激しい部分が魅力を添えるアキレウスの人物設定に対して、ヘクトールはその人間らしいところがとても魅力的に描かれている登場人物だと思います。

 他にも、『イーリアス』の登場人物たちはそれぞれ個性が際立っていて、その個性がそれぞれの場面にぴたりとはまり、聴き手を飽きさせません。
 
 いかん、褒め言葉ならなんぼでも出てくる。
 きりがないので萌え語りはこのあたりでいったんきることにします。

 ここまで読んでしまった気の毒なアナタ、お疲れ様でした!

 

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