mimonのブログ

面白そうなので、初めてブログを立ち上げてみました。
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湯たんぽでお風呂を保温する商品

2009-02-11 19:00:10 | Weblog
悪マニさんとこの悪徳会議室で、熱管理士さんからの投稿で知ったのですが、電子レンジで湯たんぽを加熱して、お風呂の保温に使うような商品が売られているようです。
価格.comで、"電子レンジ お風呂の保温"を検索すると、189件もありました。
たとえば、amazonで紹介されているレンジでECO お風呂用の場合、
> お風呂にドボンッとするだけで保温時間は4~6時間
> ご使用方法/電子レンジに本体を入れ500Wで11分くらい加熱して下さい。
Yahoo!ショッピングで紹介されているバスパゴールドの場合、
> バスパはご家庭電子レンジ(500W)で約11分加熱してポンと浴槽のお風呂に入れるだけ
> でお湯 を保温します
> 1回で8時間の保温が可能です。
楽天市場で紹介されているエコポカ・バスの場合、
> 保温効果は4~6時間持続
> 加熱時間目安:
> 500~600W…11分
といった具合です。

まあ、ダムの貯水量が減ったときに、カエルのションベンで増水しようというようなものですね。
家庭用のお風呂は、200Lくらいの水が入っていまして、それが20℃の水から40℃のお湯に加熱されているわけですから、その顕熱は、200[kg]*(40-20)[K]*4.186[kJ/kg・K]=16.7[MJ]ほどになります。
それに対して、500Wの電子レンジで11分加熱した熱量は、500[J/s]*11[min]*60[s/min]=0.33[MJ]に過ぎません。はっきり言ってゴミですね。
温度に換算すると、0.33[MJ]/(200[kg]*4.186[kJ/kg・K])=0.39[K]ですから、人間に体感できるほどのものではないです。
お風呂の放熱量は、ふたの有無(これが一番効く)や浴槽の断熱性能、雰囲気温度などによって、大きく異なりますが、家庭用では0.1kWから1.5kW程度です。一番少ない0.1kW(たとえば、TOTOの魔法びん浴槽でふたをしている場合)で保温できる時間を試算しますと、0.33[MJ]/0.1[kW]/60[s/min]=55[min]で、宣伝に謳っている6時間の保温効果は、まったく望めません。お風呂のふたを外していると、その放熱量は、とたんに1kWくらいになりますから、保温できる時間も0.33[MJ]/1.0[kW]/60[s/min]=5.5[min]となり、11分もかけて電子レンジで加熱しているのなら、さっさと入浴を済ませたほうがましということになります。
以上の試算は、湯たんぽを加熱した熱が100%お風呂を加熱ないし保温するとした、理想的な計算で、実際には、湯たんぽが常温(たとえば20℃)からお風呂の温度(たとえば40℃)に昇温されるのに要する熱は、無駄になりますので、実際の加熱・保温効果は、上記未満になります。

お風呂が冷めるなら、風呂がま(10kW程度)で加熱するか、給湯器(40kW程度)で差し湯するのが良いという、当たり前の結論です。
経済的にも、環境負荷からも、電力でお風呂を加熱・保温するというのは、割に合いません。だって、電力の受電端効率は、36%程度しかありませんから、熱変換効率が80%程度ある風呂がまや給湯器にかなうわけがありません。


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6 コメント

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詐欺商品ですね。 (傘地蔵)
2010-09-10 16:32:08
 知人に相談されて調べていたのですが、これは詐欺ですね。
 中学校の理科で習った程度の知識があれば理屈に合うか分かりそうなものですが、騙されるのですね。
返信する
詐欺まがいではありますが (mimon)
2010-09-10 19:37:58
傘地蔵さん、コメントありがとうございます。

お金だけ取って、物を送らなかったりしたら、詐欺罪に問えますけれども、表示どおりの性能でなくても、一応、それらしい物が送られたら、詐欺罪には、問えません。
せいぜい、景表法違反か特商法違反でしょう。
もともと、景表法が制定されたいきさつは、「コンビーフ」の名前で売られていた缶詰で、表にも牛の絵がかかれていたのに、実は、馬肉(昔はこちらの方が安かった)だった商品がありまして、詐欺罪に問おうとしても、販売価格も安かったので、詐欺罪には該当しなくて、もっと広く不当な謳い文句を規制できるように定められました。
とはいっても、人を騙すための商品性能の表示であることは、間違いありません。
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Unknown (あんでぃ)
2011-01-26 18:53:08
今まさに注文するところでした。
ここを見た後、レビューを見ると
意味が無いと言う意見も結構ありました。
助かりました。
ありがとうございます。
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レビュー (mimon)
2011-01-26 23:25:10
あんでぃさん、コメントありがとうございます。
普通のご家庭で0.1℃単位まで測定できる温度ロガーをお持ちのかたは少ないでしょうから、そのレビューは体感で書かれたのでしょうね。
人の主観には、「自分が買った商品を役立たずだと思いたくない」というバイアスがかかりますから、「意味が無い」と意見を表明できることは、大したものだと思います。
それから、通信販売のサイトのレビュー欄というのもクセモノで、以前、ある本を読んで「くだらない」と書評しました所、翌日には、消されていました。出品者に都合の悪い意見を消せるようでは、レビューの意味がありませんね。
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笠地蔵さん、あんでぃさんに同じく (もん)
2011-11-11 12:02:09
笠地蔵さん、あんでぃさんと同じ思いです。
ありがとうございました。
そんな優れものがあるなら買ってもいいかと考えていたのですが、なるほどよく考えてみれば理屈に合わない商品。
勉強になりました。
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電気の無駄使い (mimon)
2011-11-12 01:28:43
もんさん、コメントありがとうございます。
今は、日本のあちこちで電力が不足している時期なので、ガスの方が効率的な用途に電気を使うのは、罪悪ですね。

それと、こういう商品に必ず入っているのが「遠赤セラミック」です。
ところが、お風呂のような低温で発光する遠赤外線に対して、水というのは、普通のセラミックよりも黒体に近くて、セラミックが発光しても、絶対にヒトまで届かないのです。
そもそも、水と温度平衡に達しているセラミック表面は、輻射についても水と平衡状態ですから、まったく無意味です。

ついでに言うと、空気中でも「遠赤外線で体の芯まで暖まる」というのも、間違っています。
ヒトの皮膚というのも遠赤外線に対しては、ほぼ黒体ですから、皮膚の表面ですべて熱になり、到底「芯」までは届きません。
近赤外線でしたら、ある程度皮膚を透過しますので、少しは中の方まで届きますけれども。
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