面白かったです。
人物のなぞを、古書を通して解いていく物語。
本にもそれぞれ歴史あり・・・ですねぇ~
1冊目の「栞子さんと奇妙な客人たち」のあとがきに、作者 三上 延さんはこう書かれています。
「・・・本の扱い方は千差万別で、きれいに保管している人にも、栞の使い方や帯の取り外しにもちょっとした癖があったりします。古本をめくっていると、内容だけではなく、どういう人が持っていたのかに興味を惹かれることがよくありました。・・・・」
なるほどねぇ~
今や新潮文庫の本にしかない紐の栞のことを「スピン」ということも初めて知りました。
2冊目の「栞子さんと謎めく日常」
第二話 福田定一 「名言随筆 サラリーマン」(六月社)
読んでいて、思わず「え!」って声が出てしまいました。
司馬遼太郎さんが本名で書いた本でした。
昭和30年に刊行された本で、その頃司馬遼太郎さんは、新聞記者、そうサラリーマンでしたね。
司馬遼太郎さんの話でもう1つ、へぇ~と思ったのは、
「豚と薔薇」
社会派ミステリィーがブームだった頃、出版社の要請で書いたそうです。
その本の作者のあとがきには
「・・・べつに動機はない。推理小説がはやつているからお前も書け、ということで、誌面をあたえられたのである。
私は、推理小説にほとんど興味をもつておらず、才能もなく、知識もない。書けといわれて、ようやく書いた。むろん、推理小説というものはこれ一作で、生涯書くまいとおもつている。」
と書いてあるそうで、そう書かれていると、読んでみたくなりますね。
1960年に書かれたもので、文庫化もされていないので、本の装丁の点からも残りにくいこともあり、古書価格は大変高価になるそうです。
そして、
第三話 足塚不二雄 「UTOPIA 最後の世界大戦」
足塚不二雄は、藤子不二雄のデビュー当時のペンネーム。昭和28年出版。
当時30歳ぐらいで、すでにベテランといわれていた敬愛する手塚治虫にあやかって付けたペンネームのようで、
「手より足のほうがずっと下にある」というという意味だったそうです。
話の本筋以外にも、興味のある話が盛りだくさんの、とても楽しい本でした。
続きが楽しみ♪
ところで、「ビブリア」ってどういう意味なんでしょう。
調べてみました。
「ビブリア(Biblia)」はギリシア語で「本」「書物」、
ラテン語では「本を愛する人」という意味があるそうです。
「聖書」はギリシア語のビブリアbibliaに始まるとのことでした。
三上さんって、すごい人ですね!