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「ドボコン」のデュ・プレ

2009年12月16日 07時48分31秒 | ドヴォルザーク
先週末から、Windows7のセットアップに励んでいます。セットアップそのものは、以前に比べるとかなり簡単になっています。しかし、アップグレード版を買って、当初の方針変更して新規HDDへ入れようとしたら、認証ができないんです。調べてみると、その場合は、VistaかXPをセットアップして、それに上書きをする形で7を入れろ、というのです。Vistaがアップグレード版ならXPまで遡らないといけない。しかし、XPがSP2でなかったら、120G以上のHDDは認識しないんですよ。こんな状況になったらもうお手上げですよねえ。幸いVistaはアッグレード版ではなかったんで、なんとかなりました。それでもいろんな問題が起こって、三回目のセットアップをしなければならない状況です。なかなか大変であります。

されさて、そんなわけで今回はドヴォルザークです。これで3回目の登場。あまり聴かない作曲家なんですねえ。チェロ協奏曲ロ短調作品104。いわゆる「ドボコン」であります。1894年から1895年、ドヴォルザークがアメリカからチェコに帰国する直前に作曲したもの。アメリカの音楽とボヘミア音楽を融合させたとして名高いです。確かに聴きやすい曲です。私も高校生のころにLPで買いました。演奏は、カラヤンとロストロポーヴィッチのDG盤。両者が録音している風景の写真がジャケットで使われているLP。なかなか両者がかっこよかったです。このLPはもう長いこと聴いていませんし、押入の奥深くにいてはるでしょう。それで今回の演奏は、ジャクリーヌ・デュ・プレとバレンボイム指揮シカゴ交響楽団。1970年の録音で、デュ・プレが25才の時のものです。デュ・プレはこれから3年後に難病のために引退を余儀なくされました。デュ・プレが残した最良の遺産のひとつですね。

私が音楽を聴き始めた頃がちょうどデュ・プレの全盛期でもあり、また最晩年の時期でもあったわけです。雑誌などでデュ・プレの記事をよく見ることができました。まさかその活躍がそう長く続かないことなど、予想だにしなかったことでした。だから、そうなったあとでデュ・プレの演奏を聴くと、そのあまりに短い活動期間に残した珠玉の演奏は、なにかしら特別なもののように聴いてしまうのです。そんな先入観を除外しても、デュ・プレは迫真・入魂・凄絶などの表現がぴったりの演奏です。よく言われていることですが、夫君であったバレンボイムの指揮がなんともゆるいのです。ですから余計にデュ・プレのチェロが印象深く聴こえるかもしれません。

第1楽章、クラリネットとホルンが二つの主題を奏したあと、満を持してチェロの登場。デュ・プレのチェロは、最初の音からして骨太で、誰にも負けない強靱さを持ち、またドヴォルザークの優美な旋律を朗々と伸びやかに歌うのでした。特に、第2主題は明るさの中にも情熱的な悲壮感を併せ持ち、精一杯張り詰めた刹那的な美しさを感じますね。すすり泣くようなチェロの音色は心に強く訴えかけます。第2楽章、デュ・プレのチェロはますます輝き、劇的な色彩を加え、何事にも代え難い魅力を放っています。音色は強靱で、ドヴォルザークの旋律を強く訴えかけるようです。最後のコーダのチェロでも、這うような音色には圧倒されます。これに対してオケは、どうもゆるく皮相的です。気にすればするほどですね。特にこの内面的な第2楽章では気になります。そして、第3楽章。第2楽章からは一転して活発な展開。一心不乱なデュ・プレの演奏は実に心地よいし、その反面、心の奥底を吐露するよう。チェロの音の輪郭も非常に明確。そして、チェロの表現力の素晴らしさを実感させてくれます。バレンボイムもほんと頑張ってください。

この曲、聴き込んでくると美しい旋律に心が奪われます。この曲を聴いたのは久しぶりでしたが、メロディが頭の中で反芻しております。
(EMI THE COMPLETE EMI RECORDINGS 5 04169 2 2007年 輸入盤)

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4 コメント

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Unknown (ヒロンミンV)
2009-12-16 21:53:39
 こんばんは。
 デュ・プレの演奏は心を大きく揺さぶれるものがありますが、同時代を過ごされた方にとっては感慨もひとしおなんでしょうね。
 windows7は、近いうちに職場の60台のパソコンに順次導入しないと行けません。今から頭を抱えています(苦笑)
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コメント感謝です。 (mikotomochi58)
2009-12-17 22:06:54
ヒロノミンV様、コメントありがとうございます。デュ・プレ、現役のころは、金髪のきれいなお姉さんでした。体調が悪いことで、来日公演もできず。まさかあのような悲劇になろうとは…。ほんとに思いもしなかったですねえ。夭折しなければ、どんな音楽家になったんでしょうか。月並みですが、まさに「美人薄命」でありましたねえ残念です。
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迫力と気合い (Klug)
2016-08-26 06:25:53
多分デュプレを上回る演奏はないのだと思います。 デュプレはエルガーのチェロ協奏曲をバレンボイム、バルビローリの二種で好んで聴いています。曲の情感云々よりもデュプレの真摯な演奏に感銘します
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コメント、感謝です。 (mikotomochi58)
2016-08-28 18:33:30
Klug 様、コメントありがとうございます。もうテュプレが演奏をしていた時からは、半世紀近くになりますね。夫君であったバレンボイムがまだバリバリの現役ですから、病がなければ、数多くの演奏を聴かせてくれたことでしょうね。実に残念であります。またご教示ください。
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