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クリスマスに、クリスマス・オラトリオ

2009年12月12日 00時19分44秒 | バッハ
12月も中旬。もう少しでクリスマス。そんな今日この頃なんですが、毎日の帰宅の途中、クリスマスのイルミネーションに飾られた家をよく目にします。ああ、きれいですねえと思うようなものから、それはもう家々が競い合うような豪華絢爛な光の通りになっているところまで、今やクリスマスの風物詩になっていますね。近所には、10万円ほどの工事費を払って点灯しているところも珍しくないとか…。おそらくはクリスマスをお祝いすることに端を発しているんでしょうが、うーん、なんだかねーって感じでしょうか。こんな光に何の意味があって、うれしがり以外の何物でもないな、と思ったりもしますし、CO2に削減のためにも、無駄な電力は控えましょうと言いたいとか…であります。しかし、これの使用電力は、一ヶ月で5000円ほどらしいです。存外安いんですねえ。

ということで、クリスマスに因んで、バッハのクリスマス・オラトリオです。これは6部からなる連作カンタータ集で、もともとクリスマスから顕現節にかけての日曜祝日に1部ずつ分けて演奏されるものです。福音書の降誕記事に基づいて展開されています。題材が非常に喜ばしいことから、曲もたいそう明るいものになっているのが特徴でしょうか。この曲の演奏としては、やはり何と言っても、カール・リヒター指揮のミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団が1965年にミュンヘンのヘラクレスザールでの録音があげられるでしょう。声楽もグンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)クリスタ・ルートヴィヒ(A)、フリッツ・ヴンダーリヒ(T)、フランツ・クラス(B)です。

やはり、リヒターのバッハ、特に声楽曲はいいですねえ。近頃はご無沙汰で、久々に聴いてみますと、ほんとにいいです。まず、その曲に対する真摯な取り組みがしっかりと伝わってくる演奏です。それそれの楽器からの音が実に締まって、ムダを感じさせる音がありません。一音たりともおろそかにしない気迫が伝わってきます。他の演奏でこの曲を聴くと、なんとゆるいことか。各部の冒頭の合唱は、どれも気迫に満ち、精緻な演奏ですよね。また、金管のトランペットやオーボエなどの演奏もいいです。曲のところどころのこれらのソロは楽しみでもあります。よくトランペットが聴かれますが、1部の第1曲と6部の最終曲などでは輝かしい音色です。モーリス・アンドレの名人芸なんでしょうか。そして、独唱も素晴らしい。前回の『大地の歌』のヴンダーリヒとルードヴィヒはいうまでもなく、これにヤノヴッツが加わわり、一段と魅力は倍増しました。エヴァンゲリストのヴンダーリヒの甘いテノールは、歓喜の降誕を示すには、最適でしょう。ルードヴィヒは実に輝かしいアルトです。この曲の中で、このアルトが最も魅力的と思います。ここにはアルトの独唱が数曲ありますが、どれもこの曲の白眉ですね。中でも2部の第10曲は好きです。いいです。そして、ヤノヴィッツです。相変わらずの木管的な美声です。リヒターの一連のバッハの宗教曲で、ヤノヴィッツが歌っているのはこの曲のみではないかと思います。この喜ばしい曲には彼女のソプラノが必要だったんでしょうか。ただ、他の演奏ではボーイソプラノで歌っているものもあるんですが、それもそれなりにいいです。しかし、ヤノヴィッツで聴きたくなるのも事実ですよね。3部の第6曲、4部の第4曲などはいいですねえ。

全体を通じて、聴きやすい曲が多いと思います。6部の最終曲のコラールは、マタイなどで聴かれる「受難のコラール」なんですが、受難と降誕で、こうまで曲調が違うものかと思います。興味深いことです。とはいっても、クリスマスにはそれほど興味はありませんが…。
(ARCHIV 427 236-2 1984年 輸入盤)

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