こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

フルトヴェングラーの「STEREO TRANSCRIPTION」

2022年11月20日 23時50分00秒 | ベートーヴェン
私事ですが、8月以来CDを買わない毎日が続いていました。もう毎月かなりの枚数のCDを買うようになって久しいのでありました。別に大した理由はなかったのですが…。買わないとそれはそれで、慣れればなんてことないのです。買わないと聴くCDがない、というわけでもないですし、逆にこれまで聴いていなかったCDを聴くようにもなり、それほど苦痛ではないな、と思うようになりました。こんなこと当たり前でしょうがね。そしてそんな中、ついに三ヶ月以上振りに買ってしまったのでした。あー我慢ができなかったんですかねー。

それで購入した一枚が、ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調作品67『運命』でありました。ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮BPO。1947年5月27日のフルトヴェングラー復帰三日目のライブであります。この超有名な演奏は、これまで何枚かCDで持っているのですが、今回買ったのは、GRANDSLAM盤のいわゆる板起こし盤。「フルトヴェングラー・ステレオ・トランスクリプション1」とあり、いわゆる擬似ステレオ盤でした。この演奏の疑似ステということで…。

疑似ステレオで最も有名なのはドイツ・エレクトローラ社が開発したもので、日本では1964年から東芝音楽工業で発売されました。つまり東芝が出すのはEMIレーベルのもので、当時のフルトヴェングラーの演奏の多くが発売されていました。1960年代後半以降、フルトヴェングラーのLPはこの疑似ステ盤がほとんどだったらしいです。かく言う私も、フルトヴェングラーの演奏で初めて買ったLPは、VPOとの英雄と田園でしたが、どっちの疑似ステでした。これに対してDGは、「ステレオ・トランスクリプション」としてこの疑似ステを発売したそうです(1968年に”フルトヴェングラーの遺産”として13枚組LP)。でも、でもこれらのLPはあまりその存在を知りませんでした。今回の1947年運命もこの13枚組の一枚でした。この演奏の疑似ステがあったのか!とそれなりにビックリした次第です。

疑似ステについては、賛否両論というより、「モノラル録音はモノラルで聴くべき」という意見が多数派であり、現在ではこれらの疑似ステ盤は中古やさんでしか見ることができないし、GRANDSLAM盤などの板起こし盤でしか見れなくなっています。私は中古やさんでEMIの疑似ステ(おそらく19点ほど発売されたか)を見つけたら買ってきました。値段もそれなりに安く、500円程度のものが多いです。ベートーヴェンが主でブルックナー、ブラームス、Rシュトラウスなどです。

私は、疑似ステ好きです。初めて聴いた英雄や田園は疑似ステだったこともありますし、やはりモノラルにはない音の広がりがあります。それがやはり聴きやすい。音が加工されているという声も聴きますが、音質向上は確実なんですね。しかし、どっちがフルトヴェングラーの演奏の本質を伝えているのかとなれば、やはりモノラル原盤なんでしょうかね。というのも、この運命のステレオ・トランスクリプション盤を聴くと、なんだか音楽の厳しさが後退しているようなんです。モノラル盤では、音楽のシャープな推進力を感じ、それが音楽への興奮に繋がっていったのですが、それが少し減少するのと、音が優しくなっているような感じがするのです。音がステレオ化によって広がったため、凝縮度が薄くなったんでしょうか。とはいえ、疑似ステ盤では、おとの総量が増えたな、と実感できるし、やはり聴きやすし、音楽の力は総体的に増しているのであります。それからスケールの大きさはモノラル盤では、聴けないものであります。ですので、やはり、疑似ステ盤は捨てがたい魅力があるのです。ここまで書いて、ふと思ったのが、この演奏、初めて聴いたのはLPだったこと。そして、LPで聴いたこの演奏が一番だったかなあ、ということでした。それは20代初めのころでしたからねえ。なかなか難しいものであります・

しかし、音質向上などの触れ込みには弱いですね。板起こし盤でこの手のものを見つけたら、ついつい買ってしまいます。期待度はかなり高いのですが、聴いてみると、多少の落胆もあったりして、そのあたりが多少つらいところです。まあもとがもとなので当たり前ですがねえ…。
(GRANDSLAM GS-2256 2022年)

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2 コメント

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Unknown (クレモナ)
2022-11-24 22:17:24
お久しぶりです。私も最近はCDをあまり買っていません。棚にあるものを順番に聴いてみようとか、BOXを開けて聴いてみようとか、新たに購入せず、楽しんでいます。さて、フルトヴェングラーの疑似ステは何枚か所有しています。モノも持っていたのですが、今は手放しました。仰有るとおり、ブライトクランクの方が聞きやすいですね。決してステレオではないですが、拡がりがあって、悪くはないです。当時の技術で創られたものですが、もし、現在のデジタル技術でその気になれば、かなりステレオに近いモノが出来ると思いますが、モノはモノという考え方が強いの無理でしょうね。
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コメントありがとうございます。 (mikotomochi58)
2022-11-27 21:29:15
クレモナ 様、コメント感謝です。お変わりございませんか。最近のCD買ってないのは、保管場所に苦慮していることも理由の一つであります(笑)。BOXものには未聴のものも多いので、それほど困らないのが実際のところでしょうか。ご指摘のとおり、現在の技術でステレオ化をすれば、どんなものができるかは想像もつきませんね。ぜひ一度やってもらいたいですねえ。おそらくはそれは邪道なんでしょうが…。またご教示下さい。
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