
中国との関係が悪化していますね。アメリカは日中両国で話し合って解決することを言ってますが、今の状況でそれで解決するとは思いませんね。個人的には、もう欲しいのなら、あげちゃったらどうですかね。あれだけ欲しがっているのですから。資源があったり、いろんなことがあるようですが、もういいんじゃありませんかねえ。暴論かもしれませんが…。10月末に仕事で香港マカオに行く予定でしたが、関係悪化で中止になりました。これは残念です。残念残念。
ということで、今回はマーラー。今から20年ほど前のマーラー・ブームの真っ直中に行われた若杉弘と東京都交響楽団のマーラー交響曲連続演奏会のライブ録音からです。これは1988年10月から1991年5月にかけて全9回行われました。日本のマーラー演奏史上に残る記念碑的な業績と言われています。その中から、1990年6月6日サントリーホールで演奏された交響曲第3番ニ短調であります。アルトは伊原直子さんです。
このCD、タワーさんのネットで買いました。発売されたときは、大地の歌だけは買っていました。その語2009年に若杉さんが逝去されたときに、追悼盤ということでタワーさんから限定発売されました。11000円程だったの8000円台で出ていたときがあったので、そのときにと待っていたんですが、その後在庫状況が「残部わずか」となったので、少し高い時に買ってしまいました。その後8393円となったのを見て後悔したのですが、現在は取扱終了となっています。
まず、この東京都響ですが、現在はインバルの下、マーラーなど多くの録音を出しております。最近の演奏は、あまり聴いたことがないのですが、1990年頃はやはり欧米のオケに比べれば、力量的に劣る感は否めません。しかし、一発撮りのライブということを考えれば、健闘していますし、曲を聴いていく中で、それほど気にならなくなります。力業はありませんが、各楽器の純粋なよさを十分に聴くことができる演奏となっています。
そして、この演奏ですが、一言でいうと、ずいぶん大人しいマーラー、そしてマーラーの粘着質や濃厚な情感なんてあまり感じない。それに比べて、それぞれの楽器が極めて美しい表情を至るところで見せてくれる。そんな演奏です。肉食系で肉汁があふれ出すような演奏に比べると、多少物足りなさを感じるときもありますが、ライブらしい高揚感もありますし、全体的にはいいな、と思わせてくれますねえ。第1楽章。分厚い管弦楽はあまりないが、マーラーの曲の構成を非常に明瞭に示してくれます。大変音の分離もよく、他では聞こえない音までもわかるところも興味深い。ただ音楽は非常に明るく、健康的な響き。トロンボーンなどもそれほどの深刻さはない。
しかし、この明るさは受け入れやすい。そして、曲が進むにつれて高揚感が増すし、オケも盛り上がりを見せ、熱い演奏になっています。第2・3楽章、私はこのふたつの楽章がよかったです。第1楽章を乗りきったような自信がみなぎり、非常に美しい演奏です。力感不足はありますが、細部まで見通せる澄み切った美しさに満ちています。これがマーラー的な演奏かと言えば多少の悩むところがありますが、これはマーラーの美しさを十二分に聴かせてくれます。ポストホルンも美しい音色であります。第4楽章、伊原さんの独唱。ヴィブラート聴かせすぎの感はありますが、アルトの深い歌唱はいいです。第5楽章の東京音楽大学の女声合唱と東京放送児童合唱団が加わり、天上の生活が現れています。そして第6楽章、幸福感に満ちあふれる、マーラーの曲の中でも極上の善美の楽章です。ここでも、弦と木管がたいそう美しい表情をもって奏でられます。皮相的な表情と思わなくもないのですが、最後にこんなきれいな、また幸福な風情を醸し出してくれることは、もう満足する他ありませんね。
この若杉さんのCDでは、この曲を『夏の交響曲』と題しています。これは珍しいですね。初期のころに「Sommermorgentraum(夏の朝の夢)」とあったことによるんでしょうね。
(fontec FOCD9018/9 1993年)
ということで、今回はマーラー。今から20年ほど前のマーラー・ブームの真っ直中に行われた若杉弘と東京都交響楽団のマーラー交響曲連続演奏会のライブ録音からです。これは1988年10月から1991年5月にかけて全9回行われました。日本のマーラー演奏史上に残る記念碑的な業績と言われています。その中から、1990年6月6日サントリーホールで演奏された交響曲第3番ニ短調であります。アルトは伊原直子さんです。
このCD、タワーさんのネットで買いました。発売されたときは、大地の歌だけは買っていました。その語2009年に若杉さんが逝去されたときに、追悼盤ということでタワーさんから限定発売されました。11000円程だったの8000円台で出ていたときがあったので、そのときにと待っていたんですが、その後在庫状況が「残部わずか」となったので、少し高い時に買ってしまいました。その後8393円となったのを見て後悔したのですが、現在は取扱終了となっています。
まず、この東京都響ですが、現在はインバルの下、マーラーなど多くの録音を出しております。最近の演奏は、あまり聴いたことがないのですが、1990年頃はやはり欧米のオケに比べれば、力量的に劣る感は否めません。しかし、一発撮りのライブということを考えれば、健闘していますし、曲を聴いていく中で、それほど気にならなくなります。力業はありませんが、各楽器の純粋なよさを十分に聴くことができる演奏となっています。
そして、この演奏ですが、一言でいうと、ずいぶん大人しいマーラー、そしてマーラーの粘着質や濃厚な情感なんてあまり感じない。それに比べて、それぞれの楽器が極めて美しい表情を至るところで見せてくれる。そんな演奏です。肉食系で肉汁があふれ出すような演奏に比べると、多少物足りなさを感じるときもありますが、ライブらしい高揚感もありますし、全体的にはいいな、と思わせてくれますねえ。第1楽章。分厚い管弦楽はあまりないが、マーラーの曲の構成を非常に明瞭に示してくれます。大変音の分離もよく、他では聞こえない音までもわかるところも興味深い。ただ音楽は非常に明るく、健康的な響き。トロンボーンなどもそれほどの深刻さはない。
しかし、この明るさは受け入れやすい。そして、曲が進むにつれて高揚感が増すし、オケも盛り上がりを見せ、熱い演奏になっています。第2・3楽章、私はこのふたつの楽章がよかったです。第1楽章を乗りきったような自信がみなぎり、非常に美しい演奏です。力感不足はありますが、細部まで見通せる澄み切った美しさに満ちています。これがマーラー的な演奏かと言えば多少の悩むところがありますが、これはマーラーの美しさを十二分に聴かせてくれます。ポストホルンも美しい音色であります。第4楽章、伊原さんの独唱。ヴィブラート聴かせすぎの感はありますが、アルトの深い歌唱はいいです。第5楽章の東京音楽大学の女声合唱と東京放送児童合唱団が加わり、天上の生活が現れています。そして第6楽章、幸福感に満ちあふれる、マーラーの曲の中でも極上の善美の楽章です。ここでも、弦と木管がたいそう美しい表情をもって奏でられます。皮相的な表情と思わなくもないのですが、最後にこんなきれいな、また幸福な風情を醸し出してくれることは、もう満足する他ありませんね。
この若杉さんのCDでは、この曲を『夏の交響曲』と題しています。これは珍しいですね。初期のころに「Sommermorgentraum(夏の朝の夢)」とあったことによるんでしょうね。
(fontec FOCD9018/9 1993年)
自分も最近、この若杉&都響のマーラー・チクルスのCDをよく聴いています。この演奏を聴くと、日本の(在京の)オーケストラって、ここから本当に上手くなっていたんだなあと感じます。
一方で、若杉さんの見通しの良い音楽づくりにも唸らされます。