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アルバン・ベルグの『死と乙女』

2013年09月15日 23時59分59秒 | シューベルト
前回のブログ更新の前日、2020年の東京五輪開催が決定しました。私の関心は、それよりもマリーンズの方にあったことは、前回の記載からもわかります。ただ、やはりめでたいことであります。経済効果も期待したいですね。私は、前回の1964年の大会については、実際に見たとしては最も若い世代だろうと思います。父に連れられて岡山を通る聖火ランナーを見に行きました。閉会式が何かの外出で見れなかったことをたいそう悔しかったことも覚えているのでありした。

ということで、今回はシューベルトです。シューベルトの弦楽四重奏曲は、何曲が取り上げましたが、一番有名なのは、おそらく第14番の「死と乙女」であろうと思われます。しかし、まだこの曲は、触れたことがないので、ということで、今回はこの弦楽四重奏曲第14番ニ短調『死と乙女』D.810ということです。演奏は、やはりこれですかねえ、というアルバン・ベルグ弦楽四重奏団。1984年12月の録音であります。彼らのこの曲の演奏には、1994年のライブ再録音のものもあります。

この曲は、第二楽章に歌曲の『死と乙女』D531のピアノ伴奏部分を主題としていることでも有名です。また、全曲短調であることからも、これが作曲された1824年、そろそろ健康が悪化してきたシューベルトの心境が表れているとも言われています。シューベルトの同ジャンルの曲としては、標題もついていることから、13番の『ロザムンデ』とならんで、ポピュラーな曲かもしれません。私も、一番先に知ったこのジャンルの曲がこの曲でありました。しかしこの曲は、ニ短調・ト短調・ニ短調・ニ短調と先述のとおり、すべて短調なんですね。それが少々辛いところがあります。一つでも長調が加われば、一息つくのですがねえ。なんとも、ある種のしんどさを感じる曲でもあります。ただ、シューベルト独特の旋律の美しさなど、彼の魅力満載であり、代表的な作品としての不動の曲と思います。

アルバン・ベルク四重奏団、先年惜しまれながらも解散いたしました。しかし、彼らの演奏はいつも感心してしまいますねえ。実の洗練された演奏であります。この曲の演奏でも。、非常に厳しい。一寸のスキも無い弦楽器によって、キリで突き刺すような演奏が展開されています。特に、短調であるがゆえに、この印象は増幅されます。そんなことで、聴いていると、演奏の厳しさと時折感じる客観的な表情からか、少々しんどいな、と思うこともありますかね。でもでも、やはり緊張感に満ちた演奏と、また4つの楽器の美しい弦の響きはなかなか他では聴けませんよねえ。

第1楽章アレグロ、強烈な第1主題から圧倒されますね。そして、優美で長調の第2楽章は、このSQの弦の美しさがよく示されていますね。そして、4つの楽器によって拮抗した競演が展開されておこには、圧倒的な緊迫館がいいですよね。第2楽章アンダンテ・コン・モート。『死と乙女』の主題による変奏曲。この著名な旋律がしっとりとした調子で歌われます。そして第1変奏では、他の三楽器の伴奏の上に、ビヒラーの第1ヴァイオリンが切々と歌います。第2変奏ではチェロが美しい。第4変奏では長調に転じ、第1ヴァイオリンのオブリガードいいです。この変奏曲は、甘さにおぼれことなく、甘美さと厳しさが併立しております。第3楽章スケルツォ。荒々しさにあれる両端部とロマン的な旋律のトリオの対比が、と引き締まった弦によって展開され、特にトリオの弦がきれいですねえ。そして、終楽章プレスト。二つの主題が中心となって、弦の美しさが力一杯疾走しています。ここでの奥に深く広がったこの曲の世界が実に深いです。一糸も乱れぬ合奏のすごさは、比類なきものであります。

しかし、アルバン・ベルク四重奏団、それぞれの洗練された弦の音色は本当に素晴らしいです。もっともっと多くの録音を残して欲しかったですねえ。しかし、東京五輪、七年後です。「おもてなし」であります。
(EMI TOCE-14182 2008年 EMI CLASSIC BEST100)

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