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麻生太郎氏が「かん内閣」と執拗に言い間違える深いワケ 菅政権 本日も晴天なり

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『週刊現代2020年10月3・10日合併号』

麻生太郎氏の言い間違え「かん内閣」はわざとか 腹の虫収まらず? - ライブドアニュース

さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。話題沸騰「二階劇場」第二幕の幕開けだ。神速の早業で新政権を作った81歳の男が、次に狙うは政敵排除! 威張りん坊で態度のデカい、あの人が次の生け贄だよ!発売中の『週刊現代』が特集する。

「かん」が!「かん」が!

「やってられんぜ」

顔を歪めて、苦虫を嚙み潰している男がいる。

副総理兼財務相の麻生太郎だ。

このところは日増しに、イライラと焦りが募る。

「菅と二階ごときにここまでやられるとは……」

麻生は感じている。菅(義偉)総理の誕生で閉幕したはずの「二階劇場」の、第二幕が始まっていることを。そしてそれが、自分を包囲し、徹底的にすり潰そうという、実にえげつないストーリーであるということを。

 

菅新政権は、史上第3位という高支持率(74%・日経新聞)を記録し、順調な滑り出しを見せている。

自民党内の派閥間のバランスを取る古典的な人事をしたにもかかわらず、世論ではとくに問題視もされず、「安倍政権の続きだから」と、抵抗なく受け入れられた格好だ。

順風満帆、本日も晴天なり。一致団結で仕事に励む新内閣―と言いたいところだが、そんな中、燻る「火種」となっているのが、麻生の存在だ。

「昨日をもって、『かん内閣』が発足しまして……」

9月17日、菅が自民党総裁選で勝利を収めた翌日、麻生は自派閥の会合で行った挨拶で、「すが」を「かん」と言い間違えた。

こう感じた人もいるかもしれない。麻生と言えば、「みぞうゆう(未曾有)」「ふしゅう(踏襲)」など、数々の言い間違い事件のレジェンドとして知られている。だから「菅」を「かん」と間違えても、麻生なら仕方がなかろう――。

しかし、そんなわけはない。わざと言い間違えたのだ。

麻生は菅と安倍政権で約8年、総理の右腕、左腕という立場で政権を切り盛りしてきた。その菅の名を、いまさら間違えることなどあり得ないのである。

「麻生さんは表向き、余裕の構えを見せていますが、実は腸が煮えくり返っている。麻生さんは、今回の政局を読み違えた。二階さんや菅さんを舐めていたからです。

安倍さんから持病のことを真っ先に相談され、主導権を握れたはずなのに、素早く菅さんを取り込み流れを作った二階さんに動きを封じられ、慌てて追従することしかできなかった。『こんなはずではなかった』と、すこぶる機嫌が悪い」(麻生派中堅議員)

Photo by gettyimages

麻生が腹に据えかねているのは、菅・二階コンビの狡知に長けた人事である。麻生派は新内閣で麻生本人に加え、河野太郎が行革担当相、井上信治が万博担当相として入閣し、表面上は厚遇されているように見える。

だが、それはあくまで「表面上」に過ぎない。

「麻生がイラつく要因は、武田良太が総務相で入ったこと。武田は福岡選出で、地元が同じ麻生にとっては『天敵』として知られている。

事あるごとに自分に盾突く武田を麻生はずっと干してきたが、事もあろうにその武田を、菅は総務相という目玉の重要閣僚に抜擢した。しかも彼は二階派。麻生にしてみれば、福岡が二階に乗っ取られそうで、気が気ではないだろう」(自民党閣僚経験者)

 

武田は、二階派の「若頭」としても知られる。

「二階派では、鷹揚というか茫洋というか、何を考えているか分からないボスの二階さんに対し、側近の林(幹雄自民党幹事長代理)さんが派内に睨みを利かせる役割。

すると不満も出てくるのですが、それを『まあまあ、俺に任せろ』と宥めて、面倒を見ているのが親分肌の武田さんなのです」(二階派議員の一人)

河野は本当に「抜擢」か

その武田は、麻生を「老害」と見做して衝突も辞さない。昨年4月の福岡県知事選でも、麻生が元厚労官僚の武内和久を自民党推薦で擁立したのに対し、無所属で出馬した現職(当時)の小川洋を推したのが武田だった。

結果は、武内=麻生の大敗に終わる。

「小川を推したのは武田の他、宮内秀樹や鳩山二郎ら、二階派の議員だった。この一件以来、福岡では麻生の求心力が低下して、武田に乗り換える動きが加速している。

もともと麻生は、『安倍の兄貴分』として大きな顔をしてきたが、その神通力がなくなれば、育ちの良さを鼻にかけた嫌味な奴、と見ている不満分子が息を吹き返してくる」(前出・閣僚経験者)

先日の自民党総裁選で、福岡は麻生のお膝元だというのに党員票が割れて、菅の2票に対して石破(茂元幹事長)にも1票が入り、分裂状態となった。

福岡では、反麻生の古賀誠(元幹事長)もいまだ隠然たる影響力を持っており、麻生の足元は急速に揺らぎ始めている。

よりによってそんなさなかに、菅は武田を政権の象徴、中枢とも言える総務相に抜擢したわけだ。

 

麻生は派閥会合で、「かん内閣」「かん政権」と一度のみならず、わざわざ二度も連呼したが、ヤケクソで連呼でもしないともはや腹の虫が収まらないのである。

「だいたい、自派閥の河野太郎が行革担当相に就任したとはいえ、これは『汚れ役』でもある。

あれは古い、ここはおかしい、と各方面にイチャモンを付けるのが河野の仕事で、マスコミ受けはするが、基本的にはあちこちと軋轢が生じて恨みを買う仕事だ。『美味しいポスト』とはとても言えない」(自民党ベテラン議員)

菅は「仕事内閣」を標榜しているため、変人として党内の人望はないが、世間の人気が高く同じ神奈川選出で親密な河野を一本釣りした。

成功すれば菅内閣の功績になるし、失敗したら「やはり変人はダメだ」と切り捨てればいい。だが、派閥の長としての麻生はそうはいかない。

「河野が成功すれば、麻生派は一気に『河野派』へと世代交代が進む。そうなれば、あたかも『菅派』のようになるだろう。他方、河野が失敗して転べば、麻生派は自派閥の総裁候補を失うことになる。

麻生にとって、今回の人事は自分の『一丁上がり』感が強まっただけで、なんの旨味もない」(前出・自民党ベテラン議員)

うわべだけの「安倍継承」

かん、かん、と連呼しながら、麻生は周囲にこうも愚痴っているという。

「マスコミは(菅を)叩き上げとか言ってるが、あれは安倍や俺に対する当てつけかよ。だいたい菅も、そんな話で好感度を上げようとか、安倍政権を否定しているようなもんじゃねえか」

残念ながら、それはそうだ。菅は建て前とは裏腹に、安倍・麻生らが幅を利かす「世襲貴族政治」を否定するために総理となった。最高権力さえ握ってしまえば、自分を「下々の者」と小バカにしてきた麻生など、優遇する理由はまったくない。

麻生にしてみれば、身から出たサビではある。だからと言って、このまま潰され、「過去の人」に追いやられてしまうのは我慢がならない。

「麻生さんは、夫人の千賀子さんから、福岡8区を長男の将豊さんに譲って引退したらどうかと言われているようですが、『ダメだ、まだ俺がやる』と言い張っているそうです。

菅さんと、裏で糸を引いている二階さんにやられたままでは、プライドが許さないというのでしょう」(麻生派議員の一人)

まだだ、まだ終わらんよ―。麻生は抵抗しているが、すでに、菅と二階が巧妙に隠して掘った穴に落ちてしまった以上、巻き返しは難しい。

 

一方、麻生を嵌めた菅は、「安倍政権の継承」という看板と、「デジタル化」などの改革方針を旗印に、順調な船出に成功した。

ただし、菅が本当に「安倍を継承」しているかと言えば、そうでもない。

「実は、安倍さんは退任にあたって、今井尚哉首相秘書官の留任を強く希望していました。他の人事は菅さんに任せてもいいが、『今井さんだけは残すように』と。

ところが菅さんは、あっさり今井さんを(内閣官房参与に棚上げして)切り捨ててしまった」(官邸関係者)

これが菅という男の本質である。麻生も今井も、これまで菅を見下し、排除しようとしてきたという点で一致している。

自分に屈辱を与えた輩を、菅は決して許さない。菅の辞書に、「和解」という二文字はない。自分が弱いうちは愛想笑いで平身低頭し、じっと耐える。

だがその怨念が消えることはなく、立場が逆転した時、必ず「倍返し」する。菅はそうして、総理の座に辿り着いたのだ。

麻生を潰し、今井を消す。菅の復讐は始まったばかりなのである。

「菅は就任早々、『桜を見る会』の再調査をしないと宣言した。これに安倍は安堵した。

『桜を見る会』問題を掘り返せば、買収による公選法違反が成立する可能性が高く、安倍本人が刑事告訴される可能性もあった。そうならないよう、安倍は『再調査しない』という菅を担ぐことにしたわけだ。

だがこれは、菅から見れば、『人質』を取ったようなもの。もはや安倍の今後の命運は、菅のさじ加減一つ。安倍と菅の力関係は完全に逆転している」(自民党幹部の一人)

 

あわよくばキングメーカーになろうという安倍の動きを封じることは、その出身派閥である清和研(細田派)98人も制御できるということだ。

菅は無派閥を売りにしてきた。その菅が、今では二階派47人の支持を受け、細田派を制圧し、自身の「菅グループ」二十数人を含め、約170人の議員集団の上に君臨することになった。

「さらに言えば、竹下派の54人も、二階との関係で、実質的な『菅派』となったに等しい。合わせて200人以上。

『菅は派閥を持たないから基盤が弱い』などというのは真っ赤な嘘で、とてつもない強権内閣ができ上がったことに、マスコミもあまり気づいていない」(同)

実際には、その不穏な空気を真っ先に感じ取っているのは、潰しのターゲットになっている麻生派の議員たちだ。

麻生派の若手議員の一人がこう漏らす。

「よく二階派を寄せ集めと言いますが、麻生派こそ実はそうで、元は麻生さんが作った少人数グループに、新人や山東派、谷垣グループ、甘利(明税制調査会長)さんらが加わってできた派閥です。

麻生さんの求心力で何とかまとまっているだけで、もし麻生さんが力を失って会長を降りたりすれば、たちまち崩壊する恐れがある。干されることが確実の派閥にいたいとは、誰も思わないんですよ」

執念深い菅が、麻生の力を削いでいく。やがて麻生派はバラバラになり、議員の数合わせのための草刈り場になる―。

笑うのは誰かと言えば、この絵を描いた二階俊博幹事長である。

新政権で、二階派は二階本人が幹事長に留任したのみならず、武田が総務相、平沢勝栄が復興相に就任。側近の林幹雄が幹事長代理と選対委員長代理を兼任し、今後の選挙は二階一味がすべてを仕切ることになった。空前の大勝利だ。

もう誰も止められない

そんな中、内輪の会合で二階が突如として発した言葉に、同派の中堅議員は戦慄した。

「解散総選挙はどうなるのか、という話題になった時に、二階さんが『解散なんて、年に二度でも三度でもやればいいんだ。そうすりゃ野党はカネがないから圧勝できる』と言い放ったんです。

みんな笑いましたが、内心では震え上がりましたよ。二階さんがその気になれば、本当にそうなる。選挙になれば、いまや誰も、二階さんには逆らえない」

これぞ、まさしく二階流である。実際に解散があるのかどうか、そんなことはどうでもいい。「二階は早期解散に反対している」(別の自民党ベテラン議員)という、真逆の情報すら流れている。

「あるかも」と思わせるだけでいいのだ。解散総選挙になるかもしれない、と疑心暗鬼が広がれば、いまや田中角栄をも凌ぐ大幹事長・二階の力は指数関数的に跳ね上がる。

選挙を恐れる議員たちは、カネと公認権、選挙のすべてを差配する二階の前に、長蛇の列を成して平伏せざるを得ない。

 

「安倍政権と菅政権の決定的な違いは、この二階の圧倒的な存在感だ。安倍一強の時は明らかな『官高党低』で、必ずしも二階がいなくとも成り立つ政権だった。

だが、菅政権は違う。二階がいなければ菅は政権を維持できない。唯一、同格の存在だった麻生が沈めば、二階を止めることができる者は誰もいなくなる」(前出・自民党幹部)

二階派の中核議員の一人は、こう語った。

「二階劇場の真骨頂は、芝居の緞帳が上がった時、すでに芝居は終わっているということなんだよ」

菅政権誕生の第一幕に続き、第二幕が始まった。と思ったら、その時点で勝敗は決していた。

「麻生さんが潰される」 

誰もがそう気付いた時、麻生はすでに、完全に終わっているのだ。
老いた怪物の政界蹂躙は、こうしてどこまでも続いていく。
(文中敬称略)

発売中の『週刊現代』ではこのほかにも『夫婦で情報共有しないとこんなに損する』『パイロットがウーバーイーツの配達員に転職する時代』『「三浦春馬ロス」現象を考える』『1970年代 日本の「長者番付」を見に行く』などを特集で掲載している。

『週刊現代2020年10月3・10日合併号』より

 

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