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国会議員の収賄と蔡英文独裁の確立
自分の地位を確保した独裁者の取る手段は皆同じく早急に部下の粛清を行う
AC通信 (2020/08/03)AC 論説No.799 国会議員の収賄と蔡英文独裁の確立
7月31日、台湾の検察官が立法院議員(国会議員)の集団汚職を調査して多くの議員と部下が検察官の喚問をうけた。これにより現職の国会議員4名と民進党の元老、陳唐山元外交部長などが検察に召喚された。民進党、国民党と時代力量党の議員たちが関与した収賄事件は正に国家の体制を揺るがす大事件である。
司法部の検察官7名が65班を組織し、230名の部下を動員して調査と尋問を行った結果、現職の民進党議員2名、国民党議員2名と時代力量党議員1名、それに時代力量党の党首が逮捕または訊問のあと保釈金を払って釈放された。各政党議員の助理も調査され、総数7名が逮捕された。贈賄に関与した関連会社の役員も数名が逮捕された。検察の発表によると国会議員の収賄金額は総額4000万元を超えるとしている。
議員の集団収賄事件の第一は17年にわたるSOGO百貨店の経営権の訴訟問題で、関連した三つの会社がそれぞれ国会議員に贈賄した事件だが、調べるうちにSOGO訴訟に関係した会社には別の問題があり、陽明山国家公園付近にある2万坪の土地の使用名義を変更して墓地を開発する目的で議員に賄賂を贈った事件が発覚した。贈収賄事件に関わった統領公司、宝塚公司などの会社の関与も調査に上がっている。
まだある。収賄疑惑で逮捕された蘇震清議員など民進党議員と外国労働者の仲介業会社との癒着が発覚した。外国労働者の仲介業会社は外国人労働者から毎年手数料を受け取る他に、彼らの入国の際の金を貸している。仲介業者の年収は数十億元という膨大な金額でしかも執政党議員に献金している関係も明るみに出たのである。
逮捕された民進党の蘇震清議員は総統府秘書長蘇嘉全の甥である。このため蘇嘉全秘書長は直ちに辞表を提出した。また、時代力量党の徐永明党主席は即時辞職を表明した。また、無党派の趙正宇議員は検察が逮捕したにも拘らず法廷が100万元で保釈したので検察官が抗議したが裁判官は彼には国外逃亡の危惧はないと説明した。
この大掛かりな贈収賄事件がおきたあと蔡英文総統は政治団体も政治家も己の行為に高邁な責任を負うべきであると述べ、正しい裁判と判決に期待すると発表した。司法部も執政党と野党に関係なく正しい裁きを行うと述べた。蔡英文は蘇嘉全秘書長の辞任を受け入れ、後任に李大維を指名した。
検察が大規模な逮捕と訊問を始めて4日目になるが全ての発表は検察側からなされたもので関係者の訊問は大部分がSOGOの経営権に関する訴訟問題で、うち二人だけが陽明山の土地開発案についてだから氷山の一角に過ぎない。しかし、すでにこの大事件について大いなる疑問を持つ人がいる。疑問とは(1)SOGO案は17年前から続いている案なのに、なぜ今になって大規模な捜査と逮捕となったのか。(2)議員の収賄、汚職はほとんど常に起きていることなのに、なぜ多数の政党が破滅に近い打撃を受ける調査を行ったのか。(3)これは国会の制度を覆すような大事件だが、これが今という時期におきた(または起こした)のは何かの目的があるのではないか。これらの疑問について考察を加える討論が既にある。
蔡英文は5月20日に二期目の総統に就任した。彼女は直ちに数名の腹心部下を監察院議員に任命し、多数の違法疑惑がある陳菊を監察院議長に指名した。こうして司法と監察を完全に把握した蔡英文は、続いて立法院の異議分子、民進党も国民党も同じく粛清する必要があった。総統府の秘書長もDeep Stateの李大維を任命して独裁を完璧にした。これが今回の事件にまつわる目的である。
すなわち「蔡英文の汚職追放」とは、習近平が就任後第二年目に実行した「虎も蠅も一様に叩く汚職追放」と同じである。自分の地位を確保した独裁者の取る手段は皆同じく早急に部下の粛清を行うのである。スターリンも毛沢東も自地位を確保した後、直ちに部下の大々的粛清を行った。蔡英文も二期目の総統に就任すると直ちに司法と監察を確保したあと立法院の粛清を行なって独裁体制を整える必要があった。こうして彼女の博士号詐称とカバーアップを追及されても司法、監察、立法で追及される恐れがなくなったのだ。
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