いま、日銀総裁に求められる資質とは何か

森永 卓郎
いま、日銀総裁に求められる資質とは何か

1998年に施行された新日銀法によって、大蔵大臣(現財務大臣)の罷免権がなくなってしまった。そのため、どんな失敗をしても、どんな犯罪的な行為をしても誰も止められない。ある意味で、日本最大の権力者となった 

財政担当者に金融政策を任せると、過度に金融を緩和してインフレになる心配があるためだ。なぜなら、財政当局にとってはインフレにしたほうが、税収が増えて財政収支が改善する。そのために、財政担当者に金融を任せると、どうしても金融緩和の方向に政策のかじ取りをしがちなのだ・・・・ 

中央銀行の担当者というものは、自分たちが扱う自国紙幣の価値が下がるのを嫌がり、適切なレベル以上に金融を引き締める傾向にある。これは日銀に限らず、世界の中央銀行に共通する傾向で、「中央銀行の病気」と呼ばれている。しかも、日銀は「中央銀行の病気」の重症患者である。だからこそ、戦後、どの先進国も経験したことのないデフレに長期間陥っているわけだ。

政府と中央銀行との協調体制は世界の常識でもあるのだ

インフレターゲット
中央銀行の独立性というのは、何をやってもよいという独立性ではないことがおわかりだろう。国民共通の「物価安定」という定められた目標が厳然として与えられており、あくまでもそれを いかに実現するか、という政策手段においてのみ独立性がある 

安定した物価目標が、具体的に何%と示されれば、国民にとってのメリットは大きい・・・・
ところが、これまで日銀はなんといってきたか。今回、副総裁として衆参両院で同意された白川氏を含めて、「目標を示せば、金融政策の自由度がしばられる」と述べているのだ
これはとんでもない話である。日銀にとって最大の仕事は、物価をどう安定させて、経済を活発化させるかではないのか。その目標を示せないというのは、結果が悪かったときの責任逃れをしているとしか思えない。たとえてみれば、小学生が「親に怒られたくないから、通信簿はいやだ」といっているに等しい。
物価安定目標をきちんと公開すれば、経済の円滑な成長につながる。結果がダメだったら、責任をとらせてクビにして、もっと適任の人を任命する。それが当然の社会のしくみというものではないのか。にもかかわらず、日銀は物価上昇の目標を明らかにしてこなかった。

副総裁の一人には財務省出身の武藤敏郎氏を留任させ、もう一人は日銀出身の白川方明氏とする。この二人が、それぞれの立場を主張して、侃々諤々の議論をすればいい。それを、比較的中立な立場で、東大大学院教授の伊藤氏が総裁として裁定するという形にすればよかった


さすが 経済の森永さん
わかりやすい解説
経済も 立場がちがうと 物事の評価が こうも 違う いい例でしょう

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