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「パナマ文書」の公開は、アメリカによるタックスヘイブンの独占のため
株式日記
「パナマ文書」の公開は、米政府が特定の目標を実現するために行った可能性が極めて高い。
日本では「パナマ文書」のリークは匿名の人物によってなされたものであり、背後には特定の 国の政治的な意図はないかのように報じられているが、実はそうではない。リークされた文書を分析した非営利団体の「ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト 連合)」はアメリカの首都、ワシントンの本拠をおく米政府の国策機関である
今回の「パナマ文書」のデータは一般に広く公開されているわけではなく、 分析を進めた「ICIJ」の手によって選択された情報が公開されているに過ぎない。その証拠に、租税回避地としてパナマを使っている件数がもっとも多いは ずのアメリカの情報は異常に少ない。ましてや、米政治家の情報は皆無である。
目的の1つはアメリカによるタックスヘイブンの独占
もっとも大きな目的は・・・パナマをはじめとした主要な租税回避地(タックスヘイブン)を潰し、アメリカに超富裕層の資金を集中させることだ。ネバダ州、ワイオミング州、サウスダコタ州、デラウエア州の4州はすでに租税回避地として機能しているが、それらを世界最大の租税回避地として強化するのが目的だ
ところで、タックスヘイブンに集中している超富裕層の資産は、概算 では21兆ドル程度ではないかと見られている。ちなみに、ニューヨーク証券取引所の株価の時価総額が16.7兆ドル、日本の東京証券取引所は3.5兆ド ル、そして全世界のGDPの総額は45兆ドルだから、その額がいかに大きいのかが分かる。
日本円ではおおよそ2400兆円ほどだ。日本政府の国家予算が96兆円程度だから、その25倍だ。まさに天文学的な額である。
アメリカは自国がタックスヘイブンになるための枠組み作りを数年前から周到に準備している。
2010年には「外国口座税務コンプライアンス法(FACTA)」が制定され、2013年から施行された。
この法律は、アメリカの市民権を持つすべての人々に、保有する金融資産を「米国税庁(IRS)」に報告することを厳格に義務づけるとともに、米国内のみならず海外の銀行も、米国民の口座はすべて「米国税庁」に報告しなければならないとする法律だ。
2012年、OECD(経済協力開発機構)はアメリカの「外国口座税務コンプライアンス法」にならい、「共有報告基準」を成立させた。これはタックスヘイブンの出現を防止するため、各国が銀行口座、投資信託、投資などの情報をオープンにして共有するための協定である
ところが、アメリカ、バーレーン、ナウル、バヌアツの4カ国だけが調印しなかった。アメリカはこの協定に入っていないのである。
アメリカは「外国口座税務コンプライアンス法」を楯にして、他の国々の金融機関に口座内容などの情報をすべて開示するように求めるが、アメリカ国内の金融機関の情報は他の国に対して一切公表しないということである。
つまりこれは、アメリカ国内に租税回避のための秘密口座を持っていたとしても、これを他の政府に開示する義務はないことを意味している。つまり、アメリカ国内のタックスヘイブンはまったく問題ないということだ
いま米国内では、ネバダ州、サウスダコタ州、デラウエア州、ワイオミング州の4つの州がタックスヘイブン化している。
アメリカでは租税は基本的に州政府が決定しているが、これらの州では「法人地方税」と「個人住民税」がない。さらに、破産したときに州内にある財産の差し押さえをできないようにする「倒産隔離法」なるものが存在しているところも多い。
また、どの州でも簡単な用紙に記入するだけで、誰でも会社が設立できてしまう。
OECDが成立させた「共有報告基準」にアメリカが調印を拒否したことは、米政府が国内のタックスヘイブンを維持し、そこに集中した世界の富裕層の資産を米政府自らが他の国の政府の追求から守ることを宣言しているようなものである。
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