肺はみんな真っ黒 たばこを吸おうと吸うまいと、大差ない

喫煙者である養老孟司氏 解剖を例に「たばこ」について語る

  • 喫煙者である養老孟司氏が「たばこ」について語っている
  • たくさんの遺体を解剖してきたが、肺は「みんな真っ黒だった」と指摘
  • たばこを吸おうと吸うまいと、「大差ない」と述べている

 禁煙、分煙が進み喫煙者にとっては風当りの強くなってきた日本。しかし、解剖学者である養老孟司さんは喫煙者。作家・林真理子さんとの対談でもダンディーにたばこをくゆらせていたそうだが……。

*  *  *
林:ところで先生、さっきからたばこをスパスパお吸いですけど、それはこれまでたくさんのご遺体を解剖された結果、たばこを吸っても吸わなくても人間の肺には関係ないことがわかったからですか。

養老:僕が解剖した人、みんな真っ黒だったもん。じいさんもばあさんも。肺が黒くなるのは、消化できないゴミが入って、細胞が食ってためてるからなんです。

林:たばこを吸おうと吸うまいと……。

養老:大差ない。

林:先生が言うと説得力がありますよ。

養老:というか、肺がんに関してはそういう話になってるんです。ここ10年間、喫煙率はきれいに下がってるのに、肺がんの患者数はきれいに上がってる。そのグラフを二つ並べて、「肺がんの原因は禁煙だ」と言ってるんです(笑)。

林:検診や早期発見が大事だといわれる一方で、検診も人間ドックも無駄だという人もいるし、何が正しいのかまったくわからないです。

養老:でしょ。みんなそういうことに正しい答えがあるんだと思ってるけど、そんなものありゃしませんよ。

林:先生、頭のいい人と悪い人というのも、解剖して脳を見たときにわかりますか? 頭のいい人は脳のヒダもきれいだとか(笑)。

養老:そんなものわかりませんよ(笑)。コンピューターの写真撮っても、性能がわからないのと同じです。

林:それにしても先生、なんだか、若返られたみたい。箱根の空気のせいですかね。

養老:鬱陶しいことがあると老け込みますからね。

林:東大の教授をされていたころはつらかったですか。

養老:大変だった。さっきの話じゃありませんが、毎日やることが同じだと、具合が悪くなっちゃいますね。僕の場合は現場だったから、ずっとましでしたけど。

週刊朝日  2015年11月20日号より抜粋

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