佐々木 良昭
エルドアン逮捕への道程と罠 2016年03月23日
傲慢な独裁者エルドアン大統領の時代が、終焉に近づいたようだ。彼と親しい関係にあった一人の人物が、アメリカのマイアミで逮捕されることによって、エルドアン大統領と彼の家族の、悲劇が始まろうとしている。
この人物の名はレザ・ザッラブで年齢は33歳と若い。彼はイランで生まれたが、エルドアン大統領に近づき、信頼を勝ち得、トルコ国籍も持つようになった。そして彼が手掛けたのは、マネー・ロンダリングと金の密輸だった。
イランはアメリカを中心とした、西側諸国による経済制裁下にあり、外貨を必要とし、また通貨に代わる金を必要としていた。その犯罪的な仕事をレザ・ザラブは果たしたわけだ。
トルコの閣僚が2013年に、汚職容疑で逮捕される事件が起こり、エルドアン大統領の子息ビラールも、逮捕されるというものだったが、エルドアン大統領が事件をもみ消して事なきを得、閣僚たちは辞任するに留まった。実はこの汚職の裏にはレザ・ザッラブがいたのだ。
このレザ・ザッラブが、つい最近アメリカのマイアミで逮捕され、これから事件の真相が問いただされれば、トルコの政府要人の誰が、このマネ・ーロンダリング事件に、どのように関与していたかが、明らかになる。
レザ・ザッラブが関与したこのマネー・ロンダリングの総額は、公式には2100億ドルと言われているが、実は4000億ドルだという情報もある。それは邦貨に換算すると、50兆円程度の金額なのだから、いかに国家同士の、大きな取引だったのかがわかろう。
その巨額のマネー・ロンダリングを、可能にさせたのはエルドアン大統領だったのだ。アメリカでのレザ・ザッラブに対する、取り調べが進んでいけば、エルドアン大統領の名は、当然出てくることになろう。
エルドアン大統領が現職にいる間は、アメリカ政府が彼をトルコ国内で逮捕し、アメリカの送致することは不可能だが、この汚職が大きな問題になれば、トルコ国内法で大統領職から、罷免されることになり、その後は、アメリカが逮捕して、連行して行くことができる。
アメリカでの裁判の結果は、75年の受刑ということになるのではないか、と事情通の友人が教えてくれた。勿論、ビラールを始めとした、エルドアン一家の全員が、逮捕されることになろう。
エルドアン大統領から政敵とみなされていた、ギュレン氏は『エルドアンの末路はピノチェットと同じになる』と語っている。この罠を誰が仕掛けたのかは、想像に任せよう。