脱ぐドイツ

【パリの窓】脱ぐドイツ

夏休み、南ドイツの温泉地バーデンバーデンに行った。かつて貴族や文化人の社交場だったところだ。

当時の面影に触れようと、19世紀建造の壮麗な浴場に行ったら、「全裸、混浴ですが、よいですか?」と聞かれた。夫は「絶対に嫌」というので、一人で入った。サウナで毛むくじゃらの全裸の男性に遭遇したときはビビったが、老若男女が皆くつろいでいるので、すぐに慣れた。

壁には「静粛に」と書いてあり、おしゃべりをする人は皆無。みんな修行僧のように湯につかり、空を見つめている。「トム・ソーヤーの冒険」で知られる米作家マーク・トウェーンは「ここに10分いれば時がたつのを忘れ、20分で世界の動きを忘れる」と言ったそうな。なるほど、だんだん頭が空っぽになってくる。

湯船で赤いドーム屋根を眺めながら、「文豪も、ここで裸になったのか」と感慨に浸った。私の場合、風呂を出ても名作は生まれそうにないが。

 

ドイツ人はサウナ好きで、たいていは混浴。日本人でもハマる人が多い。困るのは、異性の日本人と会ったときの対応という。ベルリン駐在員だった友人は、上司の妻とばったり会い、冷や汗をかいた。「いつもご主人にお世話になっています」と頭を下げながら、目のやり場に困ったとか。(三井美奈)

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