習政権“説教強盗”戦術! 新型肺炎で日本からの入国制限、「いい話」演出し日本人取り込む動きも

 

【有本香の以読制毒】習政権“説教強盗”戦術! 新型肺炎で日本からの入国制限、「いい話」演出し日本人取り込む動きも

 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、発生国である中国が理不尽な態度を取り始めた。日本からの入国者を念頭に「管理強化」を強める方針を示したのだ。世界中に「死のウイルス」をバラまきながら、「遺憾の意」すら表明せず、被害者ヅラをするつもりなのか。一方で、苦難を「一緒に乗り越えよう」などと日本の左派勢力やノンポリを巧妙に取り込むような、警戒すべき動きも見られる。習近平政権による「説教強盗」戦術ともいえる動向。ジャーナリストの有本香氏が人気連載「以読制毒」で切り込んだ。

 「まさか」と一瞬目を疑った。新型コロナウイルスの発生国である中国の一都市が、日本人への「入境制限」をすると報じられたからだ。

 中国山東省威海市は25日、「日本、韓国から訪れる全ての人を14日間隔離する」と発表した。ウイルスの「逆流」を防ぐ措置を理由に挙げている。

 日本政府が、中国全土からの入国制限を渋っている間に、あろうことか私たち日本国民が、一都市とはいえ、中国当局から「入国制限」される羽目に陥ったのである。驚きもつかの間、26日には北京市も同様の措置を発表した。これに続く都市が増えれば、日本人は発生国・中国からも事実上締め出される事態である。

 1月末から、中国からの入国拒否を決める世界に背を向け、日本だけはひたすら中国に遠慮し、マスクや防護服を送って支援し続けてきた。「あれは一体何だったのか?」とあっけにとられる事態だが、これが国際政治の現実であり、中国という国の真骨頂でもある。

 ワシントン・ポストは19日付で、「評論家」の口を借りてではあるが、「安倍(晋三)首相は、問題に正面から取り組むよりも、4月に予定されている習国家主席の訪問を控え、中国を怒らせることを避けたがっている」と書いた。

 記事のとおり、日本がこの国際問題に正面から取り組まずにいるうちに日本が世界から、中国と一くくりの「ホットゾーン(感染国)」と見なされる事態にも陥ってきた。

 米疾病対策センター(CDC)は、中国本土に続き、日本と香港への旅行者に向けて渡航注意情報を出し、22日には、3段階のうち2番目の「レベル2」に引き上げた。台湾も21日、日本への渡航警戒レベルを引き上げ、タイは日本への渡航自粛要請を出した。

 日本と同じく感染者の出ている台湾が、日本への警戒レベルを上げた理由は示唆的だ。「感染経路が分からない例がある」というのが理由だが、確かに、台湾当局の感染経路割り出しへの取り組みの厳しさは、わが国と対照的である。

 例えば、虚偽申告をした感染者に日本円で100万円を超える罰金を科すといった措置などは、日本なら「人権派」が騒ぎ出すところだが、台湾では多くの国民に安心感を与えている。日本とは一線を画す厳しい対応の結果、蔡英文政権の支持率は過去最高を記録している。

 「世界最強」と評価されてきた「日本国」のパスポートのステータスは既にガタ落ちだ。まるで日本が「中国の一部」と見なされているかの悲しき現実。これに追い打ちをかけるかのような不気味な現象も起きている。

 中国の官製メディア「人民中国」のツイッターアカウントが16日、2分超のプロパガンダ動画を英語字幕付きでアップした。

 

 要約すると、「1500年もの長い交流の歴史をもつ日本と中国。戦争という負の歴史は忘れてはならないが、今まさに未来の歴史を今紡いでいる」という内容だ。

 そこには、約400人の自民党議員から一人5000円ずつ徴収して中国に支援金を送った自民党の二階俊博幹事長の顔が長く映し出され、鳩山由紀夫、村山富市といった元首相2人がセリフ付きで登場する。この3人に比べ、安倍首相は刺し身のツマ程度にしか出てこない。

 中国人がマスク無料配布

 もう一つ、先週あたりから日本各地の繁華街で「マスクを無料配布する中国人」が出現している。「自発的ボランティア活動」とされるこの様子を、「中華人民共和国駐日本国大使館」のアカウントが「必ず勝ちます」とコメント付きでしっかり拡散している。

 日本中で「マスクがない」はずの今、街で無料配布するほど大量のマスクをどうやって集めたのか。その疑問をつゆほども抱かず、「感動した」とコメントする日本人多数。「いいね」の数は27日現在、27万近くに上る

 自分たちの血税で賄われた備蓄マスクを中国へ差し出し、一方、街角で見ず知らずの中国人から一枚マスクを恵んでもらって喜ぶ日本人。その裏で、沖縄県・尖閣諸島海域への侵入船や爆撃機を送ることも忘れていないのが中国だ

 ウイルス対策とイベント中止が続くなか、多くの人が「いい話」を求める。その機に、日本人の心が、からめ取られてはならないのである。

 有本香(ありもと・かおり)ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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