ゴーン被告“暗殺危機” 逃亡先レバノンは政情不安、富裕層への反感で矛先向く恐れ

レバノンって そういう国なんだ

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ゴーン被告“暗殺危機” 逃亡先レバノンは政情不安、富裕層への反感で矛先向く恐れ

 日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)=会社法違反(特別背任)罪などで起訴=が、国籍を持つレバノンに逃亡した事件は、日本の主権が蔑(ないがし)ろにされ、侵害された重大犯罪といえる。日本の捜査当局は、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて、レバノン政府に身柄の引き渡しを要求し、不法出国の経緯を調べている。約9000キロ離れた祖先の出身地に逃げ込んだゴーン被告だが、同国では政情不安が続いており、身の危険を指摘する識者もいる。また、保釈後の被告にGPS(衛星利用測位システム)発信機を装着し、行動を監視する制度の早期整備も求められそうだ。

 ゴーン被告が、レバノンの首都ベイルートに到着したというニュースは、昨年の大みそかの日本を仰天させた。ゴーン被告も「私は今、レバノンにいる」と代理人を通じて声明を発表した。

 東京地方裁判所は、保釈条件として「海外渡航」を禁じていたため、ゴーン被告の保釈を取り消した。東京地検特捜部と警視庁は出入国管理法違反(不法出国)の疑いで捜査に着手し、ICPOにゴーン被告の国際手配を要請した。

 一連の報道によると、ゴーン被告は昨年12月29日昼ごろ、保釈条件で指定された東京都港区の自宅から1人で外出した。「西側の警備会社」や「準軍事組織」の支援を受けて、同日夜、楽器(コントラバス)の箱に隠れて関西空港の出国手続きをくぐり抜け、ビジネスジェット機でトルコのイスタンブールを経由して翌30日にベイルートに到着したとされる。

 欧米メディアは、妻のキャロルさんが日本出国に際して主導的な役割を果たしたと報じた。これに対し、ゴーン被告は「私は単独で出国の準備をした」「私は司法から逃げたのではない」などと弁明している。

 ただ、ゴーン被告が今年4月の初公判を前に、不正な手段で国外逃亡して、日本の主権を侵害したのは間違いない。

 レバノン当局は、ICPOから身柄拘束を要請する「国際逮捕手配書」を受け取ったため、ゴーン被告から近く事情を聴く方針だが、同国のセルハン暫定法相は「日本側に身柄を引き渡すことはない」と表明している。同国政府はゴーン被告の逃亡に関与していないとも述べている。

 元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏は「レバノン政府の力で日本に返すのは不可能に近い」「ただ、ICPOは、犯罪人の引き渡しや所在捜査などで公正なものと確立しているため、大いに期待できる。トルコなどが問題意識を持ってくれており、各国の国際世論を味方につけるしかない」とみる。

 確かに、ゴーン被告が経由したトルコの警察当局者は、ビジネスジェット機のパイロット4人、空港職員2人、貨物会社のオペレーター1人の計7人を逮捕した。同国の民間ジェット機運航会社「MNGジェット」は、自社のチャーター機サービスが被告の逃亡に「違法に使われた」と発表、関係者を刑事告訴した。

 また、レバノンの弁護士グループは、ゴーン被告が過去に敵対関係にあるイスラエルに入国したのはレバノンの法律で犯罪となるとして、同国検察当局に告発した。仮に有罪となれば最長で禁錮15年の刑を受ける可能性もあるという。

 日本はレバノンに多額の支援(円借款やODAなど)をしている。「お尋ね者」を取り戻す手立てはないのか。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「レバノンは、湾岸の富豪がお金を持ち込み、金とコネの力で決まる」「政府はキリスト教マロン派から大統領、イスラム教スンニ派から首相、イスラム教シーア派から国会議長を出して“シマ”を分け合っており、ゴーン被告は『マロン派の客人扱い』と考えられる」と解説する。

 微妙な均衡を保つレバノンだが、1982年には大統領が、2005年には元首相が暗殺されている。最近では腐敗や格差拡大に不満を持つデモも起きている。

 中東情勢にも詳しい軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「レバノンはひと握りの人間に富が集中しており、国の負債が大きく、インフラ整備や福祉などに支出する予算が組めない状態にある。多くの人は生活が厳しくビジネスマンも国外に脱出しており、富裕層への反感や不満がデモ、強盗、テロなどの形で爆発する可能性もある。民衆のフラストレーションがゴーン被告に向き、身の危険にさらされるかもしれない」と語る。

 日本では、ゴーン被告の国外逃亡に対して怒りの声が強いが、欧米諸国、特にゴーン被告が国籍を持つフランスでは、今回の行動に理解を示す向きも多いという。

 元通産官僚で、フランス国立行政学院(ENA)にも留学した評論家の八幡和郎氏は「世界では、刑事被告人の海外逃亡は珍しくないうえ、長期間、身柄を拘束して『人質司法』と呼ばれる日本の司法制度への不信感も根強い。欧米諸国の理解を得るためにも、日本でも保釈後の被告にGPS発信機を装着し、行動を監視する制度を整備すべきだ。人権派や左派野党は反対しているが、先進国では常識だ。欧米並みの司法制度、監視体制を整えることは、日本の国益にも合致する」と語っている。


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