ダライ・ラマ自伝 |
『ダライ・ラマ』を継ぐ者は
世襲でも実力でも人気でもない。
継ぐ、というより、生まれ変わりを、
様々なお告げによって見つけ出される。
この第14世のダライ・ラマは、
第13世の遺体が示す方角の湖に向かった高僧が、
湖面に文字や地方の僧院や小さな家が浮かんでくるのを
“視た”ことによって見いだされた。
わずか3歳の男の子は、
ダミーと一緒に並べられた13世の遺品をことごとく見事に当てた。
それがこの人の、波乱の半生の始まり。
中国のチベット強奪、インドへの苦悩の亡命、
そして世界平和を願う活動。
この人の凛とした温かさや人間らしさ。
読むたびに理想の人だなぁと思えてくる。
占星術がきわめて重要な文化であるとされている
チベットの宗教的かつ政治的最高指導者であったのに、
自分は信用していなかったと言う。
「そもそも人生のもっとも重要な日であるべき誕生と死の日は
占星師と相談して決められるものではないのだから。」
………ほんとに。
まったくもって理想の人。