2/26-27 あれはいつだった? 第39話
直子と旭はミラノの町を歩いていた。
婚前旅行とどちらともなく言って笑った。
旭の友人で旅行会社に勤めている人に頼んで
格安の便のファーストクラスをとってもらい
ついでにヨーロッパで訪問する町のホテルも予約してもらった。
すでにイタリアはフィレンツェ、ローマと見て
直子の友人のいるミラノに入った。
ミラノの後はパリを回って帰国する予定だった。
直はイタリアが好きなんだね と旭が言った。
筆者:なぜかこっちの晃が先頭で出るようになった。
なぜだろう?
旭はフランスの訪問先を増やしたかったけど
イタリアで3都市をまわると時間的余裕がなかった。
好きよ、私に才能があったら音大でオペラ歌手を目指したかったの
と直子が初めて言った。
音楽って好きだけではできないのよ
才能の欠乏はどうにもならないわ。
うんと旭がやや暗い顔で答えた。
音楽だけじゃないよ、
才能の欠乏は努力や技術の向上だけじゃどうにもならない。
ある程度のところまでしか行けない。
それだって相当なものだけど・・・・
直子は旭の顔をチラっと見た。
旭、何かなりたいものがあった?
自分の中で問うた。
あれは土日に祭日の金曜と有給を加えた旅行だった。
次はフランスにもっと滞在したいんだけど
と帰りの便の中で旭は直子に言った。
旭は突然思い出した。
あの時の写真。
どこに置いただろう、と思いながら
自分の引き出しをひっかきまわした。
それから直子の机、今は寝室のベッドの足元に置いてある。
あの時、全部捨ててしまった?
2番目の引出しがきれいに整理されていた。
一番下に長方形の本みたいのがあった。
開いてみたらアルバムだった。
あった!
旭はそれを持ってリビングに戻った。
それは二人があちこち旅行したときの写真だけ収まっていた。
初めに日本の写真があった。
旭の祖父の使っていた別荘だった。
そこで旭は友達を読んでBBQをやった。
でもその時はまだ直子はいなかった。
なんでこんな写真を?
旭と彼の友人が並んでいる写真がキャンプファイアをバックにあった。
でも1ページ目だけだった。
それからフィレンツェ、ローマ、ミラノ、そしてパリ。
その後言った北欧はまだ整理されていなかった。
直子の写真あんなに撮ったのにない。
別に入れたのかしら?
直子の引出しをもう一度見てみると
分厚い表皮のアルバムがあった。
そこには直子と旭だけの写真が整列してあった。
真ん中へんのページに直子のセミヌードがあった。
小柄だけどバランスのとれた直子が旭の注文に応じてポーズしていた。
旭が選んで着るのを強いたいろんな下着をつけて・・・・
でもフルのがないと探してみると
数枚の写真が封筒に入ったままアルバムの後ろに挟んであった。
考えてみるとこれらは直子に渡してなかった。
自分の引出しから直子は出して、自身で整理したのだ。
旭は2冊のアルバムを旭のベッド横のナイトテーブルの奥に
入れた。それからまたひっぱりだすと、ベッドについた
引出しをあけた。
そこにはフルカラーのいろんな直子用の下着が入っていた。
その一番奥にアルバムを仕舞い込むと引出しをしめ、
ベッドカバーを下した。
あとで何枚か選んで額にいれよう。
でも旭にとって幸か不幸か忘れてしまった。
それらの写真はずっとずっと後になって旭のいないところで
発見されるのだった。
直と旅行の思い出
夢
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