6/10 中村浩子 And then 第２４話

6/10 中村浩子 And then 第２４話


益田先生から電話を受けて雄二はとりあえず警察に相談した。

翌日、月曜日警察は病院に行ったけど、益田は昨日から休暇でいなかった。



雄二は浩子が一人で何かやるとは思えなくて、警察にヤンヤン行って探してもらった。


地下鉄の防犯カメラを見てもらったけど浩子という写真は見つかっていない。


益田はできるだけ防犯カメラに映らないルートを浩子に教えて、浩子はそんなことは

夢にも思わず、益田の言う通りに病院裏についた。

病院到着後はなにも残っていない。

そして解剖が終わり、ブルーシートに包まれるまで１時間もかからなかった。

事前に熊が多く出没するところのチェックまでしていた益田は車に乗ると

まっすぐ現地に向かった。　

あえて場所は書かないことにした。


フフフ益田を浩子の反応を思い出すたびに笑いが出た。

子宮を切り離した後、乳房にとりかかったとき

浩子がお腹が痛いと言った。

益田はここは暖房の効きが悪いから冷えてガスがたまったかもしれません。

遠慮なく出してください。

そう言いながら出せるものなら出してみなと思っていた。

そして血を吸いとる布を変えた。

流れると掃除が面倒だったから。


出血多量で益田が乳房にとりかかったころ、浩子は意識がうすらいでいた。

そして乳房の上半分にメスを入れ、下半分にもメスを入れるころには

浩子は意識がなかった。

乳輪を一周して乳首はなんなくカットできて、それを浩子に見せても何のリアクションも

浩子からなかった。

益田は浩子が嫌いだったから、切っとった浩子の部分をホルマリンのボトルに入れて

本館の解剖室の隣の小部屋のホルマリンの瓶を保存してある中に並べても

なんの感情もわかなかった。


熊の餌事件は長いこと発覚されなかった。

その辺りは自然のままで、誰も立ち入らなかったからだ。


雄二は途方にくれた。

しかし、諦めなかった。

彼女のスマホの履歴は警察が調べた。

スマホそのものは見つかっていなかった。

益田とのやり取りは電話番号で確認はできたものの、

浩子がいなくなった当日はなんの履歴もなかった。

浩子は益田先生に会いにいったんです。

あんなに嬉しそうに、通常は地下鉄に乗っての外出なんか

喜ばないのに。　僕が送っていけばこんなことにはならなかった。

雄二はどんなに悔いたことだろう。

でも益田は浩子が着かないからと電話してきた。

途中で誘拐？

考えにくい。

事故？　何もニュースはない。


益田は古い建物が解体されることも計算に入れてあったので

後始末の問題がなかった。

排水溝に流した大量の血液も、もしかしたら、床に落ちた浩子の髪の毛も。

浩子の衣類はバラバラにあちこちのゴミ袋に入れた。

それも込みで建物は解体された。


浩子が行方不明になってから雄二と益田は会うこともなかった。

益田から浩子が来ない電話は雄二の頭の中で益田を部外者にした。

雄二は益田に会う前に浩子に何かあったと思いこんだから。


益田は休暇が終わり、勤務が再開されたあとも、雄二に電話するようなことは

しなかった。

できるだけ、自分の存在を雄二の頭・記憶から消し去りたかった。


それは浩子が山中に捨てられてから２年くらい経過していた。

県道からハイウェイにまもなく入る道の中央に何か骨らしきものが発見された。


人骨？　それはあまりに傷んでいて、決定的に人骨と断定できなかった。

しかし、それから間もなく、山中の路でどの部分かわからない骨が発見された。

それは道の中央にあって、何か小動物が食べていた残りだった。

車は動物がいるのでゆっくり走り、動物は食べていたものを残して逃げた。


車に乗っていた人たちは好奇心で動物が食べていたものを見に行った。

ね、これ、人間の手首に見えない？　と、一人が言った。

拾うのは気が進まなかったのでスマホで撮った。

そして最初に見つけた交番でこの写真を見せた。

巡査は転送してもらった写真を管轄の警察に送った。


管轄の警察は人骨の可能性を考えてその地域を捜索したのだ。


その結果、熊が隠した餌の残りが発見された。