贋・明月記―紅旗征戎非吾事―

中世の歌人藤原定家の日記「明月記」に倣って、身辺の瑣事をぐだぐだと綴る。

『鴨川ホルモー』を読む

2006-07-24 21:31:50 | 読んだ本
万城目学『鴨川ホルモー』を読んだ。

初めて読む作家だが、本作が第4回ボイルドエッグズ新人賞の受賞作で、デビュー作だから、はじめて読むのは当然。

「ホルモン」ではなく、「ホルモー」。
なんだか、よくわからない。
中身を読むと、どういう時に用いられる言葉かはわかるが、まあ、「あちめ、おけ」みたいなもの。
あっ、「あちめ、おけ」というのは、神楽歌で、神の降臨を喜ぶ時の発声です。

京都市内の東西南北に位置する4大学対抗のサイキック・バトルみたいな話である。
サイキック・バトルというと、やや血なまぐさい感じもするが、これは、もう少しのんびりしたもの。
もっとも、式神や「オニ」みたいなものを使って戦い、それらは消滅してゆくのだから、よく考えると、なかなか血なまぐさいかもしれない。

ただし、テイストとしては、大学のサークルを舞台にした青春小説である。

ちょっと頼りない男子学生の主人公。
変人の友人。
主人公のライバル。こいつは、サークルのヒーロー的な存在だが、自信満々で、ちょっといやなタイプの男。
サークルのマドンナみたいな女子学生。男主人公があこがれるが、ライバルにとられてしまう。
変な髪型で、めがねをかけた、ぱっとしない女の子。ただし、頭は切れて、サイキック・バトルでは切り札的存在。

以上のような登場人物。
本当に絵に描いたような「よくある登場人物」である。

驚くことに、変な髪型のめがね女子は、最後に髪型を変えて、めがねをとると、びっくりするような美少女になって、この子が、実は主人公を大好きだったという展開となる。

これも、信じられないくらい「よくある話」。

全体に、あまりに「よくある話」だが、読後感は悪くない。

「菅原」「安倍」「芦屋」「高村」(篁か)「早良」「楠木」という登場人物名は、いかにもサイキック・バトルにふさわしいが、これもちょっとやりすぎか。

最新の画像もっと見る