贋・明月記―紅旗征戎非吾事―

中世の歌人藤原定家の日記「明月記」に倣って、身辺の瑣事をぐだぐだと綴る。

大倉崇裕『福家警部補の挨拶』は本歌に似すぎ

2007-03-05 21:00:23 | 読んだ本
大倉崇裕『福家警部補の挨拶』を読んだ。

倒述ミステリの短編連作集である。

倒述ミステリと言えば、TV番組の「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」シリーズが有名。

「これは、まさに、コロンボシリーズだな」

と思いながら読んで、

「テイストがいささかあのシリーズに似すぎている。
だとすると、特徴を出すためには探偵のキャラを作るしか特徴を出すのはむずかしいな。
それにしては、この福家警部補というのは、いささかキャラの立ち方が弱い」

などといった感想を持って読み終わったのだが、解説(小山正)を読んで、納得。

コロンボシリーズに似ているのは当然。
まさに、それの影響の下にというか、それの本歌取りとして書かれたものらしい。

解説の「本歌取り」という表現には、その方面を研究している者としては、いささか抵抗があるが、まあ、言いたいことはわかる。

倒述ミステリというのは、どうしてもこういったテイストにならざるを得ないのかな。

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