メカロクの写真日記 3

花/虫/鳥 を 中心に据えた 写真日記で 「メカロクの写真日記 2」 の 後継ブログです

1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report-5 <試験結果>

2015年10月30日 | BORG ハード/使いこなし
「1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report」シリーズ、最終回の今日は「試験結果」の特集です。

といっても、細かい数値が並んだ表をお見せしても判り難いので、試験結果をグラフにしたものをご覧頂きます。

先ずは、下の<撮影倍率-1>グラフと、<WD(ワーキングディスタンス)-1」>グラフで全体の傾向を掴んだ上で、<撮影倍率-2>グラフと、<WD(ワーキングディスタンス)-2>グラフをご覧頂ければ、「B0」「C0」「E0」だけで撮影倍率 0(無限遠)~0.94 倍を切れ目なくカバーする、つまり、等倍マクロには僅かに及ばないものの、かなり近くまで迫ることができるし、WD の点でも問題はなさそうで、それ以上の撮影倍率を求めなければ、少なくとも撮影倍率と WD の点からは、他の組合せは必要ないことが判ります。
 *記号の意味は次の通り。
   A・B・C・D・E:レンズとヘリコイドの組合せで、具体的には各グラフに「凡例」として表示。
   その後の数字:中間リング等の追加状況を示し、具体的には次の通り。
    0:中間リング等の追加なし
    10:10mm 中間リングを追加
    16:16mm 中間リングを追加
    26:10mm 中間リングと 16mm 中間リングを追加
    36-90:BORG 36ED で使用している、長さ 36-90mm のヘリコイドを追加

<撮影倍率-1>グラフ
 試験した全ての組合せの「最小撮影倍率」と「最大撮影倍率」をグラフ化したもの。


<WD(ワーキングディスタンス)-1」>グラフ
 試験した全ての組合せの「最大 WD」と「最小 WD」をグラフ化したもの


<撮影倍率-2>グラフ
 「A0」「B0」「C0」「D0」「E0」の「最小撮影倍率」と「最大撮影倍率」をグラフ化したもの


<WD(ワーキングディスタンス)-2>グラフ
 「A0」「B0」「C0」「D0」「E0」の「最大 WD」と「最小 WD」をグラフ化したもの。


ただ、撮影倍率 0.94 倍まででは、ドアップ好きの私には物足りない場面も出て来そうで、その解消のために今回の試験での最大倍率 2.62 倍まで切れ目なくカバーするには、<撮影倍率-3>グラフと、<WD(ワーキングディスタンス)-3>グラフのように、「E16」「E-26」「E-36-90」を追加すれば良いことになります。

<撮影倍率-3>グラフ
 「B0」「C0」「E0」「E16」「E26」「E36-90」の「最小撮影倍率」と「最大撮影倍率」をグラフ化したもの


<WD(ワーキングディスタンス)-3>グラフ
 「B0」「C0」「E0」「E16」「E26」「E36-90」の「最大 WD」と「最小 WD」をグラフ化したもの


でも、いつもポケットに入っている、バヨネット式の中間リングを1~2個追加するだけの「E16」や「E26」は兎も角、ねじ込み式のヘリコイドを、BORG 36ED から取外して追加しなければならない 「E36-90」は、組替えがかなり面倒になりそうで、最大撮影倍率が 1.44 倍の「E26」までに留め、それ以上の撮影倍率が欲しい時は、最終的には画質の比較になりますが、扱い易さの点からは、焦点距離がもっと短いレンズを逆付けした方が良さそうです。

ところで、今回は撮影距離も測定していますが、接写時には、撮影距離よりも WD の方が重要なので、ここまでに撮影距離の測定結果は、ご紹介しませんでした。
しかし、その測定値を眺めていて、ちょっと面白いことに気付きましたが、今までのような「株価チャート」用に手を加えたグラフでは、値の大小関係が逆転しても判らないので、それが判り易いように折れ線グラフにするとともに、その傾向がハッキリ判る「D」と「E」の各組合わせに限定した、<撮影距離>グラフを、ご紹介します。

<撮影距離>グラフ
 「D」と「E」の各組合せの「撮影距離」をグラフ化したもの


このグラフでは、逆付けしたレンズとボディーとの間に挟むヘリコイドや中間リングなどの長さの総和を大きくして行く、つまりレンズを繰出して行くと、撮影距離は小さくなるが、ある一定の値近辺(今回の場合 200mm 弱)で最小値に達し、それを超えると再び大きくなって行くことが判り、<WD(ワーキングディスタンス)-3>グラフ等で WD がなかなかゼロにならない(*1)ことの説明ができそうです。
 *1:WD が小さくなると、カメラを自動的に遠ざけて、レンズ先端が被写体にぶつかるのを回避して
   呉れているような感じです。

ということが判ったので、測定はしていませんが、試しに、BORG 36ED の現在の鏡筒からレンズを外して新ヘリコイドの先に取付け、全てのピント調整装置(ドロチューブ×1、ヘリコイド×2)を最伸長した先端(*2)に、BORG 50mmF2.8 を逆付けして、PC のモニター画面に向けて見たところ、驚いたことに、モニターの RGB 画素をハッキリと確認でき、そのときの WD は、目測で 40-50mm 程度もありました。
 *2:カメラ側マウント面からの鏡筒長さは、何と 300mm 程度もありました。

「これは逆付けだからか? それとも順付けでも同じなのか?」との疑問が湧いたので、上記状態で BORG 50mmF2.8 を順付けに付替えて見たところ、WD は半分程度になるものの、こちらでもモニターの RGB 画素をハッキリと確認できました。

更に、広角レンズの場合は、中間リングを追加すると結像位置が撮像面よりも前に出てしまい、ピントが合わなくなることも多いのですが、「焦点距離が 50mm もあると、状況が大きく変わるのか? それとも、引き伸ばしレンズだけの特殊事情なのか?」確かめるために、上記状態の BORG 36ED の鏡筒先端に、ZUIKO 50mmF1.8/ZUIKO 28mmF2.8/ZUIKO 24mmF2.8 を順付け方向で押し当てて見たところ、24mm(ピントが合わない)以外は、モニターの RGB 画素をハッキリと確認できました。
 *逆付け方向は試していませんが、一般的に WD は 逆付け>順付け なので、多分、逆付けも
  使用可能でしょうね。

イヤイヤ、このときは驚きの連続でした!

1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report-4 <試験内容>

2015年10月29日 | BORG ハード/使いこなし
「1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report」シリーズ、今日は「試験内容」の特集です。

この試験は、カスタマイズ前とカスタマイズ後のいくつかの組合せ(*1)について、それぞれのピントリングを最も縮めた(最縮長)場合(*2)と最も伸ばした(最伸長)場合の、撮影距離(*3)・ワーキングディスタンス(以降、WD)(*4)・画面長辺内に写った長さを実測し、それぞれの場合の撮影倍率を計算するものです。
 *1:今回は、一昨日の写真(初期仕様=購入時の仕様)および昨日写真を示した4種の組合せ
   と、初期仕様および昨日の<写真3>と<写真4>の組合せについては、比較的簡単に実現
   できるため 時には使用して来た、10mm/16mm/26mm(10mm+16mm)の中間リングを
   加えた組合せ、<写真5>と<写真6>については、もっと大倍率を望む場合を想定して、
   BORG 36ED で使用している 36-90mm ヘリコイドも加えた組合せの、総計22種類とした。
  注:「初期仕様=購入時の仕様」としたが、カメラマウントを [5012] から [5011] に交換して
    いるので、厳密には「購入時の仕様」とは異なる。
    ただし、「光路長」は両者同じなので、試験結果には影響がない筈。
 *2:「初期仕様」および「順付け+新ヘリコイド」の各「中間リングなし」の場合、最縮長時は
   オーバーインフになるか無限遠近くにピントが合うかの何れかで、被写体実長の測定は
   不可能なので、試験はせず、撮影距離と WD は「無限大」、撮影倍率は「0」とした。
 *3:撮像面から被写体までの距離。
 *4:レンズ先端から被写体までの距離。今回は、レンズの先端を昨日の<写真3>~<写真6>
   と同じ状態とし、可変長フードがある組合せでは可変長フードを最も縮めた状態とした。

実際の試験手順は次の通りです。
 1.窓ガラスに、30cm のプラスチック製直定規を、長さ方向が水平になるように貼り付ける。
   *窓ガラスにプラスチック製直定規を貼り付けるのは、透過光を利用することで、シャッター
    スピードを稼ぐとともに、見易い画像を得るため。
 2.三脚にカメラ微動装置(「スライドレール」などと呼ばれるもの)と雲台を挟んでカメラを取付け、
   定規の目盛と撮像素子(レンズ)が正対するように、カメラの高さや傾きを調整する。
   *「手ぶれ補正:OFF」、「低振動モード2秒」に設定し、リモートケーブルを使用する。
 3.レンズ等の組合せとピントリングを所定の状態に調整し、背面モニターを見ながら、三脚を
   前後に移動してピントを粗調整した後、定規とレンズとの正対度を確認し、必要に応じて
   再調整する。
 4.背面モニター(*5)の「拡大枠」を、目盛線が少なくとも1本は入る位置に調整し、最大倍率
   (14 倍)で「拡大表示」して、カメラ微動装置でピントを微調整する。
   *5:私は、背面モニターには眼のピントが合い難いので、通常の写真撮影なら外付 EVF を
     覗いてピント調整するところだが、EVF が邪魔になって、下記 *6 の方法による「撮影距離」
     の測定が難しくなるため、已むを得なかった。
   *目盛線はハッキリしているようでも、「拡大表示」すると境界がハッキリせず、ピント調整は
    想像していた以上に大変で、ピンぼけ写真もあった。
    そういえば、以前に、BORG 77EDII をカスタマイズして、撮影距離の試験を行った時には
    ステンレス製直定規を使ったが、その時も目盛にピントを合わせるのは大変で、ステンレスの
    地肌の見え具合でピントを合わせる方が、楽で確実だったことを思い出した。
   *なお、試験が終わりに近づいた頃に気付いたが、ピントを合わせた後で身体を移動すると、
    築後三十数年かつ安普請の床が撓んで三脚が傾き、ピントがずれることがあった。
 5.ピントが合ったらリモートケーブルのボタンを押してシャッターを切り、撮影距離(*6)・WD(*7)
   をスチール製巻き尺で測定して記録する。
   *6:今回は、カメラ上面に表示されている「撮像面マーク」から、窓ガラス面までの距離。
   *7:今回は、*4 に示すレンズ先端から、窓ガラス面までの距離。
 6.撮影した測定写真を PC モニターに表示し、μ4/3 規格の画面長辺の長さ(17.3mm)を、
   画面長辺内に写った直定規の長さ(目盛間隔数)で除して、撮影倍率を求める。

では、その試験状況の写真と、全試験の中で撮影倍率が最も小さかった測定写真および最も大きかった測定写真をご紹介します。

<写真1> 試験状況:逆付け+Wヘリコイド+36-90mm ヘリコイドの最伸長時


<写真2> 撮影倍率最小(17.3/154.8≒0.11 倍):初期仕様の最伸長時


<写真3> 撮影倍率最大(17.3/6.6≒2.62 倍):逆付け+Wヘリコイド+36-90mm ヘリコイド
  の最伸長時

1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report-3 <カスタマイズ内容>

2015年10月28日 | BORG ハード/使いこなし
「1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report」シリーズ、今日は「カスタマイズ内容」特集として、現在までに施したカスタマイズの内容について、ご紹介します。

なお、このカスタマイズは、前回の「1.寄れない(最大撮影倍率が小さい)」の解消を最大の目的としており、カスタマイズに踏み切った切っ掛けは、 フォトパスの「MFレンズ コミュ」(*1)の「MFでマクロっちゃいました」トピで、トピ主の ぎょらん さんが、アメリカの eBay で扱っている M42 マウントのヘリコイドをご紹介されていて、その調整幅(36-90mm)の大きさと価格の安さ(*2)に惹かれて BORG 36ED 200mmF5.6 用に調達し、その後更に検索して、このレンズのカスタマイズに使えそうなパーツをいくつか見付けてしまった(笑)ことでした。
 *1:「写真・コメントの更新が4週間連続して無い場合」に該当してしまったようで、残念ながら、
   10月20日を以って「終了」となったが、10月28日現在、未だ閲覧は可能。
 *2:支払額は、\5,855(送料込)。
   因みに、昨日の写真にある「M42ヘリコイドS」は、直販特価で税込 \10,286(送料別)。

その中で一番大きな貢献をしたのは、カメラ側が μ4/3 マウント、レンズ側が M42 マウントの 17-31mm ヘリコイドで、支払額は \6,911(送料込)でした。
その時には、レンズを逆付けで使うために、M37→M42 の逆付けリング(支払額:送料込 \1,166)と、このリングに接続するために BORG 50mmF2.8(フィルターねじ:M37.5)および MZD 14-42mmF3.5-5.6(フィルターねじ:M40.5) のフィルターねじ径を変換するステップダウンリング2枚(支払額合計:送料込 \968)も同時に注文しています。
 *MZD 14-42mmF3.5-5.6 を逆付けすると、広角端では物凄い撮影倍率になりますが、撮影倍率
  が非常に大きいことと、ズームレンズのために扱いにくいこと、電磁絞りのため絞りの調整が
  不可能ではないが非常に面倒なことなどから、実戦には未投入で、撮影倍率等も未測定。

では、このカスタマイズに使ったパーツをご紹介します。

<写真1>:新規購入品を含む7パーツを3ユニットに再編成したもので、左から、
 レンズユニット:引き伸ばしレンズの前後にアダプターを取付け、前後とも M42 オスとしたもの。
 M42ヘリコイドS(M42_11-17mm):引き伸ばしレンズ購入時にセットになっていたヘリコイドで、
   昨日説明済み。
 新ヘリコイド(M42→μ4/3_17-31mm):新規購入品


<写真2>:<写真1>の左側の「レンズユニット」は、次のパーツで構成されている。左から、
 M37→M42 逆付けリング:新規購入品。
 M37.5→M37 ステップダウンリング:新規購入品
 BORG 50mmF2.8:引き伸ばしレンズ本体(フィルターねじ径 M37.5)
 スペーサー:オーバーインフ(レンズの無限遠側の遊び)を削減し、その分、接写できるように
   するためのパーツで、引き伸ばしレンズ購入時に付属していたけれど、μ4/3 機では
   使用しない(これを挟むと無限遠にピントが合わなくなる)ため遊んでいたパーツ。
 M42P1→M39AD:引き伸ばしレンズ購入時にセットになっていたアダプターで、昨日説明済み。


次に、この3ユニットの内、「新ヘリコイド」はカメラ側に固定で、残る「レンズユニット」と「M42ヘリコイドS」の取付け順を変えたり、「レンズユニット」の前後の向きを変えることで可能な4種類の組合せを、E-P5 に装着した写真でご紹介します。

<写真3>:レンズ順付け+新ヘリコイドで、無限遠にもピントが合います。
 *レンズ先端側には「M42ヘリコイドS」を装着して、可変長のレンズフードとしており、外観上の
  大きな特徴となっている。


<写真4>:レンズ順付けですが、Wヘリコイド(新ヘリコイド+M42ヘリコイドS)として、<写真3>よりも最大撮影倍率が大きくなるようにしたもので、一定の距離よりも遠方にはピントが合いません。
 *レンズ先端側には逆付けリングとステップダウンリングがあるため、レンズの傷防止と、多少の
  レンズフート効果が期待できる。


<写真5>:レンズ逆付け+新ヘリコイドで、<写真4>と同様、1枚目よりも最大撮影倍率が大きくなるようにしたもので、やはり、一定の距離よりも遠方にはピントが合いません。
 *レンズ先端側には<写真3>と同様、「M42ヘリコイドS」を装着している。
 *<写真4>よりも最大撮影倍率が大きくなることを期待していたが・・・


<写真6>:レンズ逆付け+Wヘリコイドで、最大撮影倍率は最も大きくなりますが、ピントが合う距離の範囲は一番狭くなります。
 *最大撮影倍率が最も小さい<写真3>の状態から、「レンズユニット+M42ヘリコイドS」を外し、
  前後逆に取付けるだけで、最大撮影倍率が最も大きい4枚目の状態に変換できるため、
  重宝している。
 *レンズ先端にはアダプターを付けているものの、レンズねじの方が突出しているだけでなく、
  レンズの前玉(本来の後玉)がレンズユニットの先端から殆ど引っ込んでいないため、レンズの
  傷防止と逆光時のフレアー等の防止には、注意が必要。
  ・レンズフードとして、M42 の延長筒でも付けたいところだが、<写真6>の時以外は、その
   延長筒を別途携行する必要があり、組換えにもひと手間多く掛かるため、悩ましいところ。


今までは、逆付けすると撮影倍率は変更できずピントはカメラの前後で調整するしかなかった(*3)レンズ(ピント調整が全群移動式または固定式の単焦点レンズ)でも、<写真5>や<写真6>の組合せなら、ピントリングの調整で撮影倍率もピント位置もかなり自由に変えられるので、「逆付けの自由度が飛躍的に向上した!」といえ、私にとっては、これが、今回のカスタマイズで得た最大のメリットといえそうです。
 *3:長さ可変の中間リングもあるにはあったが、入手はかなり困難だった。

1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report-2 <気になる点>

2015年10月27日 | BORG ハード/使いこなし
「1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report」シリーズ、今日は「気になる点」の特集として、このレンズを3ヶ月余り使って見て、「ちょっとなぁ~!」と感じた点を列挙して見ます。
 *特別な義務も報奨もありませんが、私も一応は BORG の「モニター」を拝命していますので、
  心理的にブレーキが掛かることがないとはいえませんが、今回に限らず、基本的には、感じた
  ままを、素直に、遠慮することなく述べる心算です。

1.寄れない(最大撮影倍率が小さい)
 *最初から判っていたこととはいえ、最短撮影距離が長く、このため最大撮影倍率が小さいこと
  は、マクロ好きの私にとっては、他の多くの点では気に入っているレンズだけに、非常に残念。
   ・最短撮影距離や最大撮影距離については、先日実測したので、このシリーズで、
    後日報告する。
   ・ポケットに常備している 10mm や 16mm の中間リングを挟むと、かなり寄れるようになるが、
    中遠距離にはピントが合わなくなるので、アップとロングの双方を撮るときは面倒。
 *最短撮影距離がカメラレンズの一般的な「50mm 標準レンズ」の最短撮影距離よりも長いのは、
  このレンズを、ミラーレスカメラに取付けるには、次の写真のように沢山のパーツを組合わせる
  必要があり、無限遠にピントが合うようにするためには、ピント調整用ヘリコイド(以降、ピント
  リング)の最縮長(最も縮めたときの長さ)を短くせざるを得ないためと考えられる。
   ・写真のパーツは、左から
     引き伸ばしレンズ [2850]:「引き伸ばしレンズ」には、ピントリングがない。
     M42P1→M39AD [2850]: L39(M39 ねじ)マウントの「引き伸ばしレンズ」を、
       「M42 パーツ」に接続するためのマウントアダプター。
     M42ヘリコイドS [7840]:ピント調整用のヘリコイド。調整幅は僅か 6mm。
     M42P1→M49.8AD [7843]:「M42 パーツ」と BORG の各種カメラマウントを接続する
       ためのねじ変換アダプター。
     カメラマウント マイクロフォーサーズ用 [5011]:BORG のレンズをマイクロフォーサーズ
       (以降、μ4/3)機に装着するためのマウントアダプター。


2.(前項 1.を含め)使い勝手が悪い
 *ピントリングの前後幅が狭い上に、カメラボディーに近過ぎて、ピント調整が遣り難い。
 *逆に、絞りリングは前後幅が広い上に、レンズ先端近くにあって使い易いこともあり、私だけ
  かも知れないが、ピントリングと間違えて操作してしまうことが良くある。
 *絞りリングのクリックが弱くて、ピントリングと間違えて操作しても気付きにくいし、間違いで
  なくても、不用意に動いてしまう虞もある。
 *絞りリングに表示されている絞り値がレンズ先端側に向いている(*1)ため、撮影者側からは
  逆向きになって読みにくい。
   *1:引き伸ばし機に装着した場合には下向きになり、この方が読み易い。
 *フィルターねじが M37.5 という特殊なサイズで、各種フィルターや逆付けリングを使うには、
  ステップアップリングかステップダウンリングで、ねじ径を変換する必要がある。

3.丸ボケ(多角形ボケ)が硬いと感じることがある
 *特に、明るい丸ボケや小さな丸ボケの場合に、ボケの周囲に光が集まる傾向が見られ、二線
  ボケの原因にもなっているのではないか?

以上、かなり厳しいことも述べげましたが、このレンズを入手してから3ヶ月半余りの間、次回にご紹介するようなカスタマイズを施しながら、MZD 60mm MACRO、BORG 36ED に次ぐ第三のレンズとしての地位を保っているということは、「それなりに気に入っているレンズ」ということであり、文句ばかりいっても仕方ないので、光学設計に直結する 3.以外についての、私なりの改善案を考えて見ました。

これは、このレンズが「引き伸ばしレンズ」を名乗っているとはいえ、今どき、「引き伸ばし機用レンズ」として購入する人は殆ど居ない筈なので、現行品を残すかどうかは別として、大多数の「カメラ用レンズ」として購入する人向け(*2)に、光学設計はそのままで、鏡筒を使い易くする案です。
  *2:1回目のときにご紹介した「デジカメ Watch」の記事では、次のように記載されており、
    これには、BORG の意向が反映されているものと考えられる。
      そうした中 BORG 50mm F2.8 は、はじめから撮影レンズとして使うことを考慮して
      生まれた“引き伸ばしレンズ”となっているのがおもしろい。トミーテック(*3)によると
      引き伸ばし用レンズの光学設計を活かしつつ、実写テストをしながらパーツの
      チューニングを施しているという。
  *3:BORG 発売元の会社名。
 *上に掲載した写真のパーツ5点の内、左の3点を一体化する。
   ・5点全てを一体化することも考えられるが、BORG が扱っている全てのマウント規格用を
    揃えるのは困難だろうし、カスタマイズするには、「M42 ヘリコイドシステム」など
    他社を含む多様な「M42 パーツ」を利用できる「M42 マウント」の方が、ずっと便利。
  この3点を一体化することにより、次のようなメリットが生まれる筈。
   ・一体部の全長が長くなるため、調整幅が広いピントリングを組込むことができる。
     → 無限遠に合焦できるようにしたまま、現行品よりも寄れるようにできる、つまり、最大
       撮影倍率を大きくすることができる。
   ・ピントリングの前後幅を広くした上で前に出すことができ、ピント調整が遣り易くなる。
   ・絞りリングの前後幅を狭くした上で後ろに下げると、ピント調整の際に間違えて絞りリングを
    回す虞が小さくなる。
   ・販売数に依るが、別体3点よりもコストを抑えられる可能性がある。
 *絞りリングのクリックを、もう少し強くする。
 *絞り値の表示は、通常のカメラレンズと同様に、撮影者側に向ける。
 *フィルターねじは、一般的なサイズにする。

以上、BORG では、開発時に検討された項目ばかりでしょうが、敢えて提案させて頂きました。


1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report-1 <レンズの紹介>

2015年10月26日 | BORG ハード/使いこなし
7月30日付の「150710_茅ヶ崎・浄見寺周辺-1 <姫檜扇水仙-1>」で初登場、「新導入の BORG 50mmF2.8(引き伸ばしレンズ)の試し撮りを兼ねて」と述べているだけで、このレンズについて、それ以上のご説明はしていませんでした。

また、9月19日付の「2015 年の彼岸花-1 <150827/0910/11_小出川-1>」では、「新ヘリコイド」と「Wヘリコイド」という語句が登場、次のように述べていますが、詳しいことをご説明するのが延び延びになっていました(汗)
  8月の下旬から、BORG 50mm 引き伸ばしレンズの構成を変更して、無限遠にピントを合わせる
  ことが可能なまま、最短撮影距離を短くすることができ、その上に、今までのヘリコイドを挟んだ
  り、逆付けできるようにもしたので、詳しいことは別途ご説明することとして、8月26日以降撮影
  分の記事では、通常のものを「+新ヘリコイド」、それに今までのヘリコイドを挟んだものを
  「+Wヘリコイド」、レンズを逆付けしたものをヘリコイドの種類によって、それぞれ
  「 逆付け+新ヘリコイド」「 逆付け+Wヘリコイド」と表記することとします。

という訳で、今日から「通常写真記事枠」2本とは別に「特別枠」を設け、「100604~ M-BORG 77EDⅡ ST Report」シリーズに倣って名付けた、「1507~ M-BORG 50mmF2.8 ST Report」シリーズをお届けすることとし、初回の今日は、「レンズの紹介」特集とします。
 *M:MEKAROKU's  ST:Special Tuned

「引き伸ばしレンズ」というのは、いうまでもなく、引き伸ばし機に装着して銀塩プリントを作る際に使用するレンズですが、フィルムに記録された情報をできるだけ忠実に印画紙に投影するように設計されており、小さな原版をシャープに拡大できる解像性能を備え、歪曲収差や色収差など諸収差が極限まで補正されているのが特徴といわれていています。
それだけに、撮影レンズとしても高い解像性能が期待できるとあって、昨今はマウントアダプターを使ってカメラに取り付ている人も少なくないそうです。
BORG では、このような人のために、「M42 ヘリコイドシステム」なるもの(*1)を、かなり前から提供しており、BORG の責任者である中川さんも熱心なユーザーのようで、「引き伸ばしレンズ」による作例も沢山発表されています。
 *1:リンク先は最新のものであり、ここ1~2年で追加されたパーツも多数掲載されています。

その中川さんの、「引き伸ばしレンズ」に対する熱い思いが昂じて(?)、昨年の6月27日には、BORG ブランドの純国産「引き伸ばしレンズ」 50mmF2.8 が発売され、好評のようです。
カラー写真、続いてジタルカメラが普及したため、「引き伸ばしレンズ」の需要が殆どなくなってしまい(*2)、新規に開発する企業は皆無に等しいようなので、このレンズは、多分、現時点でも「世界最新の引き伸ばしレンズ」だろうと思います。
 *2:実は、引き伸ばし機用の需要激減に伴い、ニコンは2006年に、引き伸ばし用レンズ全種に
   ついて販売終了を発表したが、発表の後、産業用 CCD カメラの撮影レンズとしての注文が
   殺到、一定のニーズを確認でき、名称変更とコストダウンをして生産継続することを決定した
   とか・・・

詳しいことは、BORG の製品紹介ページや「デジカメ Watch」の「BORG 50mm F2.8 撮影用として現代に蘇った引き伸ばしレンズ」をご覧ください。

私は、発売以来1年余り、指を咥えて見ていましたが、今年の7月3日、数量限定の「BORG夏の引き伸ばしレンズお買い得セット」というセールを機会に注文し、7日頃(正確な日にちは失念)に入手しました。

では、このレンズを E-P5 に装着した写真をご覧ください。

 *都合により、(BORG の)カメラマウントを [5012] から [5011] に交換して頂き、この写真の
  撮影時には、[5012] は手元になかったため、カメラマウント(カメラに最も近いパーツ)の
  外観が、初期仕様(購入時のもの)とは僅かに異なります。