中学受験総合~大日本帝国の楽しい家族団結力

中学受験算数~大日本帝国の楽しい家族団結力

ドップラー効果の計算問題の解き方 ~汽笛は何秒間聞こえるか?~

2020-10-05 06:59:21 | 日記

中学受験での志望校合格を目指す上で、

実際の理科の学習で最も大切なのは「根本原理を理解すること」です。

これは間違いありません。

 

テクニックしか覚えていない人は、

少し違う聞き方をされただけで対応できなくなってしまうからです

 

しかし、一部の難関校を目指す場合などには、いかに解き方が分かっても、

効率よく問題を処理していかないと時間が足りなくなってしまいます。

 

スピードと正確さ……

一見、相反する二つの要求を満たさなければ、やはり合格は見えません。

 

では、どうすれば 「速く」 「正確に」 解くことができるのか?

その答えは、「根本原理を理解した上でのテクニック」を使うことです。

 

 動いている物体が出す音の聞こえ方

 

まずは、次の例題をご覧ください。

 

<例題>秒速17mで岸壁に向かって垂直に進む船が、岸壁から3.4km離れた地点を通過したときから10秒間汽笛を鳴らし続けました。この船に乗っている人は、岸壁からの汽笛の反射音を何秒間聞きますか。

ただし、音の速さは秒速323mとします。

 

苦手な人も多い問題だと思います。

この問題を普通に解く場合は、音と船との旅人算になります。

ほとんど算数ですね。

 

しかも、汽笛は10秒間鳴らし続けていますので、

鳴らし始めた瞬間と、鳴らし終えた瞬間とでは、音の出発地点が違うのです。

理科20200803_01

この問題を普通に解く場合には、まずは鳴らし始めの音を何秒後に聞くか求めます。

つまり、上の図のように、3.4km(=3400m)を往復する距離で、

船と音が出会う旅人算ですから、

3400×2÷(17+323)=20(秒後) に初めて反射音を聞きます。

 

次に、鳴り終わりの音が出た場所は、船が進んだ分だけ岸壁に近づいていますから、

岸壁からは 3400-17×10=3230(m) 離れた位置です。

この鳴り終わりの音も、鳴り始めと同様に船と出会いの旅人算で考えると、

3230×2÷(17+323)=19(秒後)

ただし、これは、鳴り終わりの音が出てから船に出会うまでの時間ですから、

汽笛を鳴らし始めてからでいうと、 10+19=29(秒後) です。

 

つまり、反射音が聞こえるのは、汽笛を鳴らし始めてから20~29秒後ということになり、

29-20=9(秒間) と求まります。

 

テクニックを使ってみよう!

さて、この問題は計算しやすい数値にしてありましたが、

音の速さを毎秒340mとするような実際の問題では、この解き方では計算が面倒です。

そこでテクニックを使ってみましょう。

 

音の速さが一定なら、音をだした時間に比例して音波は長くなります。

この音波の長さに注目するのが、今から説明するテクニックの根本原理です。

 

音を出している物体(発音体)や、音を聞いている物体(受音体)が近づけば、

その分だけ音波が縮められて短くなり、音も短く聞こえるのです。

 

先ほどの「音の旅人算」の図の中から、矢印部分だけを取り出して考えてみます。

今回の問題では、船の速さと音の速さの比は1:19になっていますので、

船を出た音が反射して再び船に出会うまでに進んだ距離の比も1:19です。

 

つまり、比の大きさを数字で書き込むと、このようになります。

理科20200803_02

ここで、音を受け取る側だけでなく、音を出している側も動いていることを考えると、

旅人算の状況図としては正しくありませんが、次のように書くことができます。

理科20200803_03

本来、船が止まっていれば、往復で20の距離を音が動いていたところですが、

船が動くことで、青い部分(聞く側)と赤い点線部分(出す側)の合計2が短くなります。

これを、20の中で2にあたる長さ(全体の10分の1)だけ音波が縮められると考え、

それに比例して音の長さも短くなるとイメージするのです。

 

10秒間鳴らした汽笛は、その10分の1にあたる1秒間分短くなって、

9秒間だけ聞こえることになります。

コツをつかめば簡単なので、ぜひ試してみてください!

 


いろいろな力~静電気力①~ フレーフレー大日本国民

2020-10-05 06:55:51 | 日記

今回は、静電気力を扱います。磁力に比べてはるかにマイナー度を帯びてきました。

それでは今回の入試問題です。

 

問題(芝浦工大柏中 表現を変えています)

1.次の( )内の適語を選びなさい。

静電気は空気の湿度が(① 高い・低い )と発生しやすく、湿度が(② 高い・低い )と発生しにくい。

 

元の問題では季節とともに聞かれています。冬に静電気が発生しやすいことは経験的に知っていてほしいところ。正解は①低い②高い

 

2.髪の毛を下じきでこすると、髪の毛が下じきに引き寄せられます。これは下じきと髪の毛をこすり合わせたときに、髪の毛が+(プラス)の電気を帯びて、下じきが ー(マイナス)の電気を帯びたからです。

このことから、+の電気とーの電気の間には引き合う力がはたらくことがわかります引き合う力の大きさはそれぞれの物体が帯びている電気の量や物体どうしの距離によって変わることがわかっています。次の表は+の電気の量、ーの電気の量、物体どうしの距離、引き合う力の大きさの関係を表したものです。空欄あ、いを埋めなさい。
0522_ooki_1

 

2乗に反比例のパターン。磁力と共通しています。暗記は不要ですが、このほか、距離と明るさなどでも登場します。与えられたデータの使わせ方は完全な典型題です。

(あ) aとb、aとcを比べます。一方の電気量が2倍、3倍になると、力も2倍、3倍になります。この2つが同時に起こるので、(あ)に入る数は
2×3=6

(い) aとe、aとfを比べます。距離が□倍だと、力は0522_ooki_1:shikaku倍になっていることをつかんで、(い)=0522_ooki_1:55

3.ーとーの電気どうしには、反発する力が働くと予想した。これを確かめるために、次の道具①②③を用いてどのような実験をすればよいか。30字以内で答えなさい。

なお、ストローとティッシュをこすり合わせるとストローはーの電気を、ティッシュは+の電気を帯びることがわかっています。

①糸でつるしたストロー ②ストロー ③ティッシュ

 

実験内容は予想がつきやすいですが、字数制限がきつくなっています。
「帯電させる」というフレーズまで押さえておくと、字数が大幅に節約できます。

(解答例)2本のストローをティッシュでこすり、近づけて動きをみる。

 

今回の問題で、新たな疑問が浮かんできました。早速問題にしてみます。

 

補充問題1

乾燥しているときのほうが静電気がたまりやすいのはなぜですか。

 

補充問題2

体に静電気をためる装置に触れた人は、髪の毛が逆立っています。なぜですか。

 

手ごわい問題になってしまいました。

解答解説は次回に続く…


いろいろな力~静電気力②~ みせよう大日本

2020-10-05 06:54:29 | 日記

今回は、前回に引き続き静電気力を扱います。
まず、前回浮かんだ疑問から解決していきましょう。

 

・前回の補充問題

補充問題1

乾燥しているときのほうが静電気がたまりやすいのはなぜですか。

 

空気が乾燥している冬に静電気の放電に遭遇することが多いのは、経験的にはわかっています。
ではなぜ乾燥している時に静電気が溜まりやすいか、まで考えがおよばないのでは?

 

■解答例 たまった電気が空気中の水分に放出されるから

 

実は、静電気のたまりやすさに空気中の水分が大きく関係しているのです。水分そのものが溜まった電気を逃がす働きがあるため、湿度が高い状態では静電気が溜まりにくい、ということだったのです。
 

ところで不快な放電を防ぐ方法としては、ドアノブに触る前に壁などに触れてたまった静電気をゆっくりと逃がすのが有効なようです。まあ予測できていればの話にはなりますが(笑)
 

手からドアノブへの放電も、溜まった電気を逃がすという点では同じことなのですが、金属だと瞬時に電気が流るために衝撃があるということなんですね

 

補充問題2
体に静電気をためる装置に触れた人は、髪の毛が逆立っています。なぜですか。

 

静電気を生じる装置に触れた人にたまる電気は、電圧で表すと10000ボルトにもなるそうです。いくら電気がたまっても、流れなければショックはありません。装置に触れた人(大体髪の長い女性)の髪の毛が逆立っている様子は、見たことがある方も多いと思います。頭上に下敷きがあるわけでもないのになぜ逆立つのでしょうか。

 

■解答例 同じ電気に帯電するため、髪の毛同士が反発するから。

 

体に電気がたまるということは、-か+のどちらかに帯電しているということです。ということは、髪の毛1本1本に、同じ電気がたまっている状態。同じ電気は反発する性質をもつので、髪の毛同士も強力に反発して逆立つというわけだったのですね。

 

それでは今回の入試問題です。まずなじみの薄いものに対して、わかりやすい導入がなされています。解くだけで、勉強になる、ためになる、そんな良い問題の特徴を備えてた問題です。

 

問題(芝浦工大柏中)

髪の毛を塩化ビニル製の下敷きでこすると、逆立てることができます。これは、異なる2種の物質をこすり合わせることで電気を帯びたからです。この現象を帯電といいます。(中略)この場合には髪の毛は正に帯電し、下敷きは負に帯電しているということが言えます。

 

問1

日常生活を送っているなかで、知らず知らずのうちに帯電している人が金属製のドアノブに触れようとしたときに、指先とドアノブの間で火花が出て、バチっと音がしました。このような現象を何と言いますか。漢字2字で答えなさい。

 

■解答例 放電

意外と使用頻度の低い、なじみが薄い言葉かもしれません。コンデンサーに蓄えられる電気も、やはり静電気です。使う前にショートさせて、溜まった電気を「放電」してから使います。

 

問2
自然界で起こる問1の現象として雷があげられます。雷を発生させるための電気は、(        )によって溜まっていきます。
(        )に当てはまる文を20字以内で書きなさい。

 

静電気の例として雷を取り上げています。雲に静電気がたまるところまでは知っていても、どうやってたまるかまではなかなか考えがおよばないのでは?

■解答例 雲の中で氷の粒がこすれ合って帯電すること

かなりハードルの高い問題でした。

それでは次の問題です。

 

問3
垂直に流れ落ちる水に、正に帯電したガラス棒を近づけると、図のようになりました。

20200625_2

これに対して、負に帯電したストローを近づけた場合、水はどのように落ちますか。次の①から③の中から選びなさい

 

20200625

 

選択肢問題に改題しています。正に帯電したガラス棒にひき寄せられるのだから、負に帯電したストローには…

この問題は次回までの宿題とします!お楽しみに。